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 エルフ族のメドメールは冷に接近し心中を話す。


「実は……エルフ族の国は今、深刻な状況になってます。人族の国に接してはいますが、国交はなかった。エルフは独立した国。タリヌ王女を中心とした平和な国でした。エルフ族には特殊な能力が備わっている。薬草から回復薬をそれが100年ほど前に異変がありました。商人ヤリッチが来て我がエルフ族の国を支配してしまったのです。ヤリッチはタリヌ王女を支配しています。そして回復薬をエルフ族に作らせると、他国に回復薬を交易して利益を出している。私がこのピルトの町に来たのは、命令されて来たのです」


「なんだって……それではあなたは回復薬を売りに来たのは強制的に来ていたと……」


 ミーコが真実を知り耳を疑う。


「はい、本来はエルフ族は国から出ることはありません。他国との交易も必要性のある物だけでした。それがヤリッチは回復薬が金になるとわかると、エルフを強制労働させて作られせています」


「ヤリッチとか言う人に、反対するエルフはいないのかな? 例えば戦って追い出すとか」


「それは無理でした。ヤリッチは下級魔人のひとり。我々には勝てない相手。しかもヤリッチには中級魔人のギガースもうしろだてにいて、勝ち目はありません。誰もヤリッチには逆らわずに生きています。しかし冷さんの噂は聞いてます。あのガーゴイル、ゴーレムも倒したと……。それなら相談にのってくれるかなと思ったのですが」


 メドメールは冷に頼めばヤリッチにも勝てると考えて相談にきた。

 しかしもし失敗したらメドメールは痛い目にあうのもわかっていた。


「彼が冷だと知っててきたと……。それがヤリッチにバレたらどうなるの……ヤバいのでは」


「殺されるでしょう……。裏切り者として、私の変わりなどいくらでもいますから、別のエルフ族が販売しにくるでしょう」


 そこで名前があがったガーゴイルが補足して、


「殺されるのをわかってて、ここに来たのは勇気がいります。私はあなたが知ってる魔人のガーゴイル。今は冷と一緒のパーティーにいる。しかし相手がヤリッチとは……厳しい相手かも」


「ええっ、あのガーゴイル……」


 メドメールは目が点になる。


「ちなみにゴーレムもいますが」


「……………………」


 ゴーレムはメドメールにウインクするが、メドメールは反応に困った。


「ガーゴイル、その言い方だとヤリッチの名を知ってるのかい? 私は聞いたことのない名前。ギガースなら知ってる名前ですけど」


「ミーコ達にはギガースは有名人でしょう。同じ中級魔人なので私もギガースもお互いに知った仲です。しかし商人ヤリッチはそこまで有名人ではない。むしろ知ってる方が少ないかも。ヤリッチは下級魔人と言われていて、悪名高い魔人と。酷いことも平気ですると聞きます。しかしギガースと手を組んでいたとは知らなかった。ギガースが関わるならとても複雑。一筋縄ではいかなくてよ」


 ガーゴイルは複雑な顔をしてメドメールに言った。

 相手に同じ中級魔人がいれば、危険性は相当に高いから。

 その時にゴーレムも加わり、


「ギガースが関わるならこの話に口を挟むのは避けた方がいい。いくら冷が強いといってもギガースとヤリッチと関わって得しないだろう。それにエルフ族の問題でしょこの話は、なら冷や人族が助ける道理はない。エルフ族が自分で解決すればいい」


 ゴーレムはエルフ族ならエルフ族で解決ろと厳しい意見をした。

 確かにゴーレムの意見には的を得ていた。

 人族には関係ないといえば関係ないから。

 ゴーレムに言われてメドメールは、


「ゴーレムさんのおっしゃる通りです。人族を巻き込むことになるかも、だから私が間違っていました、すみません、変な話を持ちかけてしまい、この話は聞かなかったことにしてください……」


 メドメールは頭を下げて帰ろうとした。

 その時に冷が彼女に、


「待ちなさいメドメール、俺は今の話は忘れるわけにはいかないよ」


(相手に魔人がいると聞けば、尚さら無視なんかできっこない)


「……でもゴーレムさんと、ガーゴイルさんが、手を引くと……」


「普通なら手を引くだろう。しかし俺は違う。相手がヤリッチだろうが、ギガースだろうが、怖くはない。むしろ歓迎といいたい」


「やめておくのよ冷……。ギガースにあえて戦いを挑むなんて、もしあなたが死ん……だら……」


 ガーゴイルは切実な想いで語る。

 冷にはギガースと関わって欲しくないから。


「ガーゴイルの気持ちはわかった。俺が心配なのだろ。嬉しいよその俺を想う気持ちは。けど俺が逃げるってのは受け入れられないな。要はエルフ族の国からヤリッチを追い出してやればいいだけのことだよな?」


(ヤリッチを追い出して終わりだろ、簡単な話だよな。それにメドメールはとても可愛い。こんな可愛い子が困っているのを放っておけるわけない)


 冷はガーゴイル、ゴーレムが危険性を説いていたのを完全に無視。

 その理由がメドメールが可愛いから。

 魔人をどこまでバカにしてるのか。

 ガーゴイルが聞いたら怒るのは避けられない。


「ちょっと……私の話を聞いていたの!!!!」


 ガーゴイルが怒るとリリスが首をかかえて、


「ガーゴイル、その男は説明しても無駄だ。なぜならその男はバトルマニア。強い相手と戦うのが趣味。戦ったあなた達ならわかるでしょ、その男の異常さが。異常なまでの戦闘欲と性欲を持った男よ」


 リリスは冷を端的に言い当てる。

 アリエルとミーコも同じ意見。


「…………確かにリリスの話は当たってる」


「おいおいゴーレム、そこは否定してくれてもいいだろ!」


「嘘偽りない」


「ガーゴイルまで納得するなっ!」


(確かにその面はあるが、何も知らないエルフの前であえて、言う必要ないよな)


 リリスが冷の性格を解説するとガーゴイル、ゴーレムは納得した。

 

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