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「ゴーレム、あなたの能力はさすがというしかないです」
「まぁ女神に褒められるとは思いもしなかったけど」
アリエルに褒められ照れ笑いする。
魔人と女神は本来は敵。
それがこうして笑顔でいるのは珍しい。
「女神と魔人が仲良くしてるのが面白いです。私達はゴーレム様とともに、人族を相手にしてきました。当然に勇者、女神なども同じく敵。それなのに今はアリエル、さらに勇者の血をひくというミーコも一緒にいる。不思議な巡り合わせ」
「ボーガ、女神と勇者は敵という考えは変えなくてはね」
「そうね、こんなにわかり合えるとは……」
シールドに言われて頷くボーガ。
「全部、全部、冷のなせる技よ〜〜ね!」
ガーゴイルは冷を絶賛するが、周りは冷遇していた。
ガーゴイルの考えにもうついていけてない。
それにしても魔人の能力は圧倒的と言えるのを再確認する冷。
他のメンバーとは一線をかす。
あらゆる能力値が違いすぎる。
冷はこの二人がアリエル達にいい意味で刺激となればと思う。
(やはりガーゴイルとゴーレムの動きはいい。アリエルやミーコはかなり刺激になるだろう。最近はマンネリ化してきたと思っていたから、能力の底上げには良い。かくいう俺もひよっ子の頃は強い人に憧れ、刺激を受けたものだ。彼女達も同じく、向上心を持ってもらおう。まぁ部屋でニート状態であった俺が向上心と言うのも変ではあるが)
初日の道場は順調に進んだ。
冷は自分が描いた計画がいい方向に向いてきていると感じる。
いずれは出会う可能性のある魔人。
その日がいつになるかはわからない。
それまでに出来るだけの事はやっておきたい。
勝てる可能性を1%でも上げられれば、やる意味があると。
やがて汗を大量にかいていく彼女達を見て、ニンマリと楽しむあたりは、不安もあるが……。
*
冷が道場での初の訓練をしている時に、冷に願いをしている者がいた。
エルフ族の少女である。
名前はメドメール。
メドメールは道場に向かっている。
冷に話があってのこと。
道場に居ると知り、行けば会えると信じた。
なぜかというと、どうしてピルトの町に来たのかという問いと関係している。
エルフ族は国から出ないのに、わざわざ人族の国へ来た理由。
言ってはいけない理由がある。
他人に漏らしたら終わりになる。
どうしても誰にも言い出せなかった。
エルフ族が町を歩く姿に人々は、気になっていていた。
振り返りメドメールを怪しむ。
エルフ族が珍しいからであるのに、小走りしているから余計に怪しまれる。
冷は違うのでは?
真剣に話にのってくれると考えたメドメールは道場に到着。
道場の中へ。
*
冷はもうそろそろ訓練を休憩にしようかと思う。
(だいぶ動いたから、みんな疲れてきただろう。ここらで休憩にしようかな)
「みんな、手を止めていいぞ、休憩にしようかなと思う」
「は〜い!」
「待ってました〜〜!」
「喉が乾いたよ〜」
それぞれがひと言を言いながら、手を止める。
アリエルは女神なのに情けないが、喉の乾きには勝てない。
ミーコは勇者だろうと、休憩は必要があるという考え。
リリスはもう終わりたいとなった。
「もう終わりでもいいだろ」
「まだまだ時間はある。リリスなら出来る」
「軽くいいやがって……」
悔しいがちょっぴり嬉しさもあるので反論しない。
全員が集まり休憩にていると、そこへ敷地内にメドメールが現れる。
足音と扉の開く音でガーゴイルがいちはやく察し、
「誰だ!!」
「……あの〜お邪魔します〜」
「ん……あなたは先程会ったエルフ族。なぜここに?」
ガーゴイルはエルフ族が何を企んでいるかわからない。
気を緩めずに理由をきく。
「話がありまして……冷さんに」
「俺に? ははぁ〜、さては俺のファンになった。それで握手して欲しいから来たのかな?」
(エルフ族にも俺のファンが出来たのかな)
「いいえ違います」
「アホかお前は」
リリスに馬鹿にされると冷は悩む。
完全にファンだと思っていたから。
ファンでないとするとエルフ族と冷に接点はなかった。
冷はエルフ族を知らないし、初めて会ったばかり。
「じゃあどう言う話かな〜」
(他に思いつかないぞ)
「話はエルフ族に深く関係している。とても重大な話なのです……。私の名はメドメール。ご存知の通りエルフ族です。誰にも話せない内容でいっさい秘密にしてきました。しかし冷さんになら内容を言ってもいいかなと。もしかしたら内容について相談にのってくれるかなと……それでここに来ました」
メドメールの話す声はとても小さく自信のない話かたであった。
広い道場にかき消されるくらいに。
そんなメドメールに冷はいたく心が動かされる。
「話してみてくださいメドメール。俺には無理な相談などない。必ず相談にのりましょう。こちらにどうぞ来て話して」
(ここまで相談に来たからには、余程の深い悩みがあるに違いない。知らない振りは俺には出来ない。内容だけでも聞いてあげよう)
冷はメドメールを呼んだ。
メドメールはゆっくりと道場の中に来るのを冷はじっくりと観察。
メドメールは信頼されていないのだから、メンバーは要注意する。
しかし冷だけは……。
(エルフ族のメドメールか……とても胸が大きくてゆさゆさ揺れてます〜)
たったひとり冷だけは、要注意せずに体のラインに注目していた。




