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武器、防具屋の看板が前に立てかけてあるのを発見したミーコが、
「このお店にしたらどうかな?」
「品揃えのありそうなお店だし、入ろうか」
(ゲームに出てきそうな雰囲気のあるお店だな)
立てかけてある看板を見て入店。
入るとズラリと剣や盾、鎧などが並んでいる。
店員の女性が対応する。
「いらっしゃ……………………い、れ、れ、冷さんですかもしや」
店員の女性は冷だとわかると、強烈に驚いてしまう。
しかもガーゴイルとゴーレムもいる。
魔人を間近で初めてみるので、接客もぎこちなくなる。
「はい、冷です、いきなりですが、軽くて動きやすい服を探してるのです」
(たくさんあるから、選びきれないだろうから)
「それならば、こちらにかけてあるのが軽装着になりますね。ただし防御力は低いですが」
「みてみます」
店員にすすめられてあったのは、薄くて軽い服が並んであった。
初心者向けの防御力が低いが低価格だとわかる品物。
冷が欲しいのは、その様な手頃な物であった。
(あくまで訓練用。冒険に出るわけではなく、汚れてもいいような軽いのがベストだろう)
アリエルやギャン達はその品物に寄り、選んではどれがいいのかと話し合っている。
どれよ大して違いはない。
「私はこれがいいかな」
「色がいいわね、私はこっちの青いのが可愛い」
「形がいいのがあるし、迷ってしまうわね」
選びながらも、中々決まらないで時間はたっていた。
「みんな、好きなのを選んでいいよ。俺が払うからさ」
(やはり女の子なのか、服を選ぶとなると時間がかかる。俺からしたらどれも同じなんだけど。なぜこんなに時間がかかるのか。ここらへんは、日本の女の子と変わらないのかもしれない)
冷はひたすら待つことにした。
全員が決まったの品物を冷にみせる。
どれも薄手で麻や衣で出来た感じの品物である。
多少のデザインが違う程度で、ほぼ同じ。
半袖でスカート状の物や、短パン風な物、胸が大きく裂けていて、過激な感じの物など。
冷は実際に彼女達が選んだのを見て、刺激を受ける。
「うん、良いんじゃないかな。これを購入しようか」
「お願いします〜」
「全部購入でよろしいですか」
「全部購入します」
(安い価格だろうし問題ない、あとは武器がいるよな)
「購入ありがとうございます」
「それと武器もみたい」
「どうぞ、ご自由に」
次は武器。
拳闘なら空手風にすれば必要ない。
剣道やナギナタならば、簡易な武器、木製の品物で十分となる。
刃はなくてもよい。
むしろない方が怪我がなくてよいくらいである。
木製でも当たれば相当に痛い。
防具をつけていても、実はかなり痛いのである。
よく見ると木製の剣が数本ある。
これならば訓練で使う分ならこと足りる。
冷は木製のをもってみて、
「これなんか木製で訓練にはもってこいだよな」
(剣道やナギナタなどを想定したらピッタリだな)
「初心者の冒険者みたいね」
「それで十分だと思う」
「じゃあ購入しようか」
(これを人数分、購入で決まりだな)
冷が店員に購入をしようとした時にシールドが、
「ちょっと待って」
「なんだい? 他に欲しいのがあるのかい」
(シールドは、盾を使うからな、きっと盾が欲しいのかもな)
「いいえ、このくらいの木製の剣ならば私が作れますけど……」
冷の見立てと違う答えであった。
シールドに木工の技術がある。
この程度の剣ならば加工する。
「なるほどな、シールドなら加工できるか。その点は全く考えていなかったよ。作れそうかい?」
「はい、作ってみますよ」
「……では、購入はキャンセルということに……」
「すみません、キャンセルします」
(シールドが加工技術があるのは、忘れていたよ。さっそく作ってもらおう。ダメなら購入しに来ればいい。ダメもとでシールドの技術を拝見したいのもある)
結局は木製の剣はキャンセルし、衣服だけ購入した。
まだ信用しきれていない冷にゴーレムが、
「冷はシールドが作れるか疑問を感じています? シールドの技術は冷は直接見たわけで」
「見たことは見た。あれは俺もびっくりしたよ。でも剣となると細かい作業になるよな。相当に細かい技術で加工するようだぞ」
(この盾を使って細かい作業をするイメージが難しいです。大雑把にに丸太をぶった切るイメージだからな)
「シールド、あなたの技術をみせてあげなよ」
「ゴーレム様、任せてくださいな。さっそく切ってみせますから、丸太が欲しい」
「丸太か、材木屋に行って必要な分を手に入れるか」
(ゴーレムが自信を持って言うのは、俺も期待したい)
そこで材木屋に出向き丸太を入手。
シールドの盾を使った木工技術の開始となる。
冷だけでなくアリエル達も半信半疑の様子に。
「大丈夫かな〜シールドは」
とても作れないのではと心配する。
シールドはみんなが見守る中、盾を構えると、丸太を剣に削り落とす作業に取り掛かるのだった。




