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 道場には道具置き場も用意されていた。

 冷は自分で図面を描いてあった場所に向かってみる。


「確かここが道具置き場として部屋を作っていたけど……あるな、うん、十分にスペースはある。ここを道具置き場としよう」


「道具置き場とは、防具とか武器のことですか?」


「よく使うのを置いておくと便利だろう。訓練用のを購入してもいいよな。冒険の時と訓練用と2つ必要だもんな」


(ここに置くといざ、冒険の時に不便。お金はあるからみんなの分の道具をこの際だから購入しておこう)


 冷は道具が必要と判断し、購入を決める。


「冷が購入してくれるのよね。お金は持ってるのだし」


 ミーコがお金の話になると首を突っ込む。


「まぁ、俺が払うのが筋だろう。安いので十分だし。本来なら道着もいるのだけど、この世界にはないだろうから、動き安い訓練用の衣服も一緒に購入だな」


「色々と準備がいるの、面倒だ」


「道着にはつきものなんだよリリス。慣れれば問題ない」


(道着に縁のないリリスには、面倒に思えるのは仕方ないかな)


「それと、気になる点もあります」


 シールドが手を上げる。


「なんだいシールド」


「道着とやらに着替えるわけですよね、そうなると着替える部屋はどうなりますか?」


「更衣室だな。もちろん作ってあるはず、見に行こう」


(図面では更衣室も作っておいた。ゴーレムが造ってくれていれば、あるはずです)


 冷は更衣室のある方に向う。

 冷の構想通りに部屋はあった。

 特別何もない部屋はガランとしていた。


「ここを更衣室としよう。更衣室とは着替える部屋だ。みんな始まる時と終わる時にこの部屋に来て着替える。汗もかくだろうから」


「なるほど、よく考えてある。これなら安心して着替えられます」


「安心して?」


(安心してとは気になる発言だな)


「冷に着替えるのを見られないのは安心ですという意味です。おかしいですか?」


 ボーガが当たり前のことを述べる。

 

「俺だけ、のけもの?」


(おいおい、俺は着替えるの別にしろと……)


「だって、恥ずかしでしょ」


「恥ずかしいことない。俺は君たちの体を見て、筋肉量や無駄な肉がないかをチェックする。見るのは大事なことだ」


(これは本当のことですが、単に見たいのもある)


「なんだか、変な理由に聞こえます」


「そうよ、変です。お願いですから冷は別室で着替えて」


「アリエルまで言うか! わかったよ、俺は別室としよう。ちょっと寂しい気もするが」


「じゃあ私は冷と同室でいいです〜」


 ガーゴイルは別室を拒否し、冷と同室を望んだ。


「ガーゴイルは訓練を勘違いしてるような」


「ミーコ、私は勘違いしてません。いつでも一緒にいたいだけですよ」


「それが勘違いなんですけど……」


 ミーコはガーゴイルにこれ以上言っても無駄だとわかり、会話をやめる。


「それではガーゴイルだけ冷と同室と決まりで」


「ありがとう」


「ありがとうって、楽しそう」


「みんな、訓練は厳しくいく、決して楽しいだけではないぞ」


(ガーゴイルはよくわからないが、みんなには言っておこう)


 ひととおり道場を見学し終える。

 実際の道場と比べてもひけを取らない完成。

 床が硬いという点を除けば満足のいくものとなる。

 広さも十分にあり、人数が増えてもぶつかることはない。

 狭いとぶつかる危険があるが、心配はいらない広さ。

 空気口もしっかりと造ってあり、暑くなるので空気の入れ替えも必要があるが、対応してある。

 見学は終えて外に出ることに。


「これで見学は終えよう。この後は必要な物を購入だな」


(次は必要な備品を揃えよう。町には訓練用の衣服も売ってると思う)


「訓練用の衣服なら防具屋に行くのはどうです、きっと安い衣服は揃えてあるはずです」


「それがいいな、防具屋に行ってみよう」


 先ずは武器、防具屋に向かう。

 買い物にいくのは冷にとっては新鮮である。

 

(女の子を連れて買い物か。緊張するよなこれは。しかもガーゴイルとゴーレム達も参加して人数が倍増。これでは目立ちすぎだろ)


 事実、町の人々の視線は釘付けとなっていた。

 これ程までに女の子を引き連れて歩く者はいない。

 冒険者パーティーであっても、男女混合が普通。

 割合も男性が多くても女性も少なからずいるもの。

 それが冷ときたら、男性は冷だけ。


(やたらと俺が見られてる気がする。そりゃそうだよな、こんな美少女を多人数揃えたら目立つよな)


 冒険者パーティーというより、ハーレムの団体にしか見えない。

 異様な視線の中、武器、防具屋に向かった。

 冷は知らないが道場を出た後に、騒ぎになっていた。

 なぜなら昨日まで何も、いや道場の土台部分程度しかなかった。

 広い土地にはまだ柱もなかった。

 それがいきなり見たこともない建築物が立っていた。

 驚かないわけがない。

 通りかかった人々は騒ぎ始める。

 

「なんなんだこれは?」


「いったいどうなってる、昨日はなかったぞ!」


「さっき、冷が出てくるのを見たらしい。冷が関係してようだ」


「冷……なら、あり得るな。あの人はわからないことだらけだから、近寄らないことだ。みんなに伝えておこう」


 道場だとはわからず、得体の知れない物だから、近寄らないと伝える。

 別に危険性はゼロであるが、人々には理解の範囲を超えているので、結論は危険となった。

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