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 ギャン達は迅速に材木が置かれた位置に向かう。

 材木を両手で抱えると、土台部分にまで運ぶ。

 それも早足であり、巨大な材木を軽々と運んだ。

 それをゴーレムの指示通りに立たせて、ゴーレムとともに作り出した。

 シールドが盾を持ち出してきた。

 盾を使い柱を叩き出す。

 すると柱は地面に打ち込まれていった。

 その様を見た大工達は、


「な、な、なんだ今のは……盾を使い柱を打ち込むのなんて見たことないぜ、それにあんな重量のある材木を簡単に待ってるぜ、どうなってんだ!」


 驚きの連続であった。

 常識的に考えたら材木を運ぶのは無理。

 しかし魔族の彼女には特別に重く感じなかった。

 この程度なら持てる重さである。

 人族の男が数人で運ぶ重量なら持てる重さとなる。

 驚異的な速さで柱を作る。

 道場の形も無かったのに、アレよという間に道場の形が現れてしまう。

 全ての材木を打ち込み全体像が作られるのにかかった時間は僅かであった。


「なんてこった……もう柱の部分は完成してしまったぜ! 夢でも見てるのか俺たちは!!!」


 さらに作る速度は上がる。

 手を緩めることはない。

 ゴーレムはここで自分のスキルを出すことにする。


「みんな、よくやったよ、ここからは私の番」


「ゴーレム様のクレイブロックですね、また見れるなんて!」


 ギャンはゴーレムのスキルを期待して待つことに。

 ボーガとシールドも下がる。


「こ、今度は何をするのか……」


 大工はゴーレムの動きに注目する。

 目の前で起こっていることが現実なのか疑い始める。

 次にゴーレムはスキルであるクレイブロックを開始。

 ゴーレムの足もとにある土。

 土を掴むと土は形を変形していく。

 角ばった正方形の壁へと変化していった。

 壁を次々と作り出した後に、柱に合わせて貼り付けてしまう。

 それもピッタリと合っていく。

 壁はすべての柱に固定して、見る間に1階部分は完成していた。

 さらにすすめていき、2階以上の部分も完成させてしまった。

 クレイブロックは土から粘土質の固形物を作り出せる。

 そして固形物を好きな形に変形可能。

 ゴーレムは建築用に壁の形にしておき、壁をつけていったのだった。

 壁のデザインは冷の図面を見てある程度は把握していた。

 図面を見て経験から作り上げたまでであるが、外観は冷の想像通りに完成したと言っていい出来栄えであろう。

 ゴーレムは完成を終えると、


「どうだい大工さん、これでも無理って言えるかい?」


「い、い、い、い、いいえ、凄いです、とてつもなく凄い、僅かの時間でいっけんの建築を作り上げてしまつた。信じられないですぜ」


「わかってくれればいい」


 ゴーレムは大工が実力を認めたので、それ以上は話さなかった。


「さすがゴーレム様、お見事です〜わわ〜」


「ありがとうギャン、あなた達の協力もあってのことよ」


 ギャンは駆け寄りゴーレムの腕を褒め称える。

 そこで大工は大変なことに気がつく。


「あ、あれ、今、ゴーレムとか言ってましたか……まさか魔人のゴーレムなわけないよね」


「私の名はゴーレムですが」


「魔人!!!!」


 大工は魔人だとわかると後ずさりする。

 女の子にしてはあまりにも凄腕で、変だなと思ったが魔人だとは考えつかない。

 冷は大工を説得しにいき、


「大丈夫です。魔人とはいえ、現在は俺の仲間。安心してください。暴力はふるいませんから。腕だけを見てどうでしょうゴーレムの腕は?」


(余りの速さと正確さにびっくりだよ。俺の描いた図面とまるっきり同じじゃないか。戦いでは使わないが、使い方によっては凄いスキルだな)


「とんでもない超凄腕ですぜ。申し訳ない、魔人だからなのかわからないが、異常なまでの速さの腕をしている。まさに建築の神とも言えるくらいだぜ」


「建築の神か。ちょっと嬉しいな」


 ゴーレムは大工に褒められて嬉しがる。

 作った経験はあっても他人に褒められた経験はなかった。

 ゴーレムにとっては初の評価となり、心が跳ねる感じであった。

 ギャン、シールド、ボーガと微笑み握手し合う。


「俺もマジで凄いと思った。ほぼ完成してるだろこれ、俺が通っていた道場そのものだ。ぜひ中も見てみたい」


(驚いてしまうよな。まるで組み立てるよにして作ってしまったのだから)


「これから使うのなら、見てみたいわ」


「リリスから見たいとは、成長したもんだな」


「見るくらいいいだろ!」


 リリスは訓練は嫌だが道場はどんなものか知りたかった。

 それはリリスだけではない。

 アリエル、ミーコにしても同じ。

 見たことのない建築にミーコは、


「不思議な外観してる。この世界にはない造りね。この道場ってので冷は鍛えられてきたわけでしょ」


「そうだよ、俺はとても厳しい訓練を受けたな。その基礎があってここまで強くなれた。さぁ入ってみよう!」


(楽しみだな、昔懐かしい気持ちになる。幼い頃の記憶が残っているからだろう)


 まだ時間がかかると思われた道場は、ゴーレム達の活躍もあって、1日で完成までしまった。

 冷は早いことに越したことはないと思う。

 大歓迎していて、いつでも道場を使った訓練を開始できると考える。

 大工も図面では見ていたが、いざ完成形を見てみて圧巻であった。

 とにかくデカイし、圧倒的なスケールの建築に。

 本来なら仕事がなくなってしまい困ってしまうが、相手は冷と魔人。

 とても文句は言えない。


「あの〜〜〜〜冷さん、私達はこの後どうしたら、完成したら仕事がなくなってしまいましたが?」


「そうだな〜、俺も困ってしまうよ、1日で完成させるとは思いもしなかったから、悪いけどこれで作業は終わりにしていいよ、だけどお給料は全額払いますから心配しないで」


(大工にも悪いことしたかな。仕事を奪ってしまったわけだし、給料は満額払うのがいいだろう。金には困ってないからいい)


「ありがとうございます冷さん」


 大工は満額もらえるとわかると笑顔になる。

 冷は道場の中に入ることにした。

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