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アリエルとギャンの悪ふざけがあったおかげで、風呂は賑やかな時間となった。
冷も怒るに怒れず、苦笑いするしかなかった。
(全くアリエルめ、自分の胸の無いことを言われて、腹を立てたのだな。全く困ったな、後でたくさん触ってやろう。まぁ、知らずともアリエルに直接言ってしまうギャンもどうかと思うが)
風呂で疲れた体をリフレッシュさせ、まったりとくつろぐ。
あとは寝る時間。
ベッドでギャンを待つことにした。
ほどなくして、全員が部屋に。
シールドが髪をとかしつつ、
「温まりました。もう寝る準備ですか」
「寝る準備だけど、寝るにはまだ早い。なぁギャン、キミはアリエルを怒らせただろ、どうしてかな?」
「……そ、それは、アリエルの胸が……」
「胸が小さいと言いたいのかい」
「はい、アリエルがそこまで怒るとは思わなくて……」
「怒ってなどないけどね!」
アリエルはあからさまに怒っているのがわかった。
「ギャンとアリエルは勘違いしているのだよ」
(勘違いを俺が教えてあげよう)
「勘違いですか?」
「アリエルにも言えることだが、女の子の胸が大きければ良いと思い混んでいる。それだからアリエルは、けなされたと思ったのだろう。しかし女の子の魅力は胸が大きいことが全てではないのだよ。その証拠にアリエル、シールド、バスタオルを取ってみな!」
冷は取ってみな!といいながらも、瞬速でアリエルとシールドを裸にしてしまう。
すると2人とも胸は大きくない姿が現れた。
「な、なに、するのよ冷!」
「恥ずかしがるなシールド、俺は決して胸の大きさだけで彼女達を見ていないのさ。この通りとても可愛いだろギャン?」
(アリエルとシールドはペチャパイである。しかしそれを補うほどに、体のラインが綺麗であり、そそる形をしている)
「確かに、流れるようなラインをしていて、魅力があります」
ギャンはじっくりと見定めて言う。
「……ありがとうギャン。そう言われると恥ずかしいけど、私は女神なのに胸がないのが気になっていたのよ。魅力的と言われると嬉しい気がする」
「私もギャン、ボーガ、ゴーレム様が大きいので、私だけ小さな胸に気になってました。しかし冷に魅力があると言われたら嬉しいです」
シールドも裸のまま嬉しいとなる。
冷としてはアリエルもギャンもどちらも良い体をしていて、どっちがいいのかの決められないだけのこと。
実際は裸を見て楽しんでいた。
「そうと決まればお互いに触ってみなよ」
(ギャンとアリエルが触り合うのは興味あるな)
冷に触り合えと言われて意味がわからない2人。
「どうしてかな……触りたいなんて思ってないし」
「仲直りの意味もある。だからお互いに触って欲しいのさ」
(怪しんでいるようだ。まぁ当然か。でも見てみたい気分なんだな)
「……分かりました、それではアリエル、触りますよ」
ギャンはゆっくりとアリエルに近づき胸に手を伸ばす。
「いいわよ、どうぞ」
アリエルは怯えることなくギャンに触らせる。
「んん〜〜」
アリエルは今まで経験したことのない感覚を味わった。
それは冷とは違う感覚で、魔族に体を優しく触れられる初の体験。
「とてもすべすべしている肌です」
「よしアリエルがギャンの体を触るんだ。もちろん服は脱がしてな」
(女の子どうしが触るのは面白そうだな)
アリエルは最初は抵抗があったが、ギャンの持つ魔族の体に触ってみたくなり、
「ギャンな体って柔らかいわね」
「んん〜〜、恥ずかしいかな」
2人が触り合うのをミーコ達はじっとかたずをのんで見ている。
ミーコがたまらず、
「見ているこっちが恥ずかしいけど……」
「冷は変態なのが、わかります」
ボーガはあまりの冷のする異常な行動にたじろいだ。
「こんな生活をあなた達はしてきたわけですか、よく続けてこれましたね。人族の冷が女神を、淫魔をも自由にしてる生活。世も末ではないかな」
ゴーレムはありのまま見て実感した。
知っている中でこんなにもむちゃくちゃな関係は知らない。
「う〜〜〜〜ん、もう我慢できないかも、冷、触ってよ〜〜〜」
「出たなガーゴイルのおねだりが!」
リリスはガーゴイルのおねだりが、遂に来たかと叫んだ。
リリスの叫びも関係なくガーゴイルは冷にダイビング。
冷はベッドに埋まる。
「うう〜〜〜ガーゴイル……」
(おいおい、急に来られても受け身ができないよ。それにしても圧迫感がハンパない胸してる!)
ガーゴイルの単独行動をキッカケに、ミーコ、リリス、ネイル、ゴーレム達はベッドから遠ざかるようにして避ける。
しかし冷は見逃しはしない。
すぐ様に全員をベッドに連れ込んでしまうと、逃げれないままに肌を露出させる。
ネイルは逃げることはないので、安心ではあったが、あとの者は散々と冷に思うままとなった。
木こりの作業では観戦していて、何もしていない冷は運動不足となっていた。
木こり作業が今後も需要がありそうなのは、嬉しく思った。
材木業が下火になっているとのことで、彼女達の力で協力していけば、今までよりも発展する可能性もある。
木こりと言えば男の仕事のイメージだが、それを変えられるほどのたくましさを冷は感じた。