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人々があまりの多さの丸太を運ぶのを見て驚く横を通り、材木屋まで行く。
店主を探して荷台車をみてもらうと、
「おお、先程の青年か、それで材木はどうしたか…………な! こ、これは、こんな大量に、どうやって集めたのだい!」
「彼女達の仕事でして、俺はただ見ていただけですよ。これだけあれば材木の職人として、十分に認めてもらえるでしょう」
(相当な驚きようだな。この時間でこの量は凄いてことか。俺には平均的な数がわからないから比較できないんだよな)
店主の驚くのは当然であった。
平均的な職人の集める量を遥かに超えていたのだから。
「じ、十分の量だよ、もちろん材木の代金は全てウチが買い取り払います、よろしいですか?」
「買い取りで、お願いします」
「品薄だったから助かります。しかし訊いてもいいですかな、どうやって集めたのか知りたいのです。常識的に言って、無理な量でしから、しかもきっちりと同じ大きさに加工までしてくれて、あり得ない速さ。教えてくれませんか、秘密を?」
店主は未だに信じられない顔をして言った。
店主は今居る男が冷だと知らないでいた。
しかもガーゴイルとゴーレムの魔人付きだとも。
仕事ひとすじであり、冷の名前は知っていたが、顔までは知らないでいる。
事情を察したミーコが、
「あの〜店主はもしかして、彼が冷だと知らないのでは、そして私達は冷の仲間だとも?」
「ええ、冷ですか。さぁ知りませんが…………て、まさかあの冷さんでしたか!」
「最初に名前を名のらなくて申し訳ありませんでした。俺は冷と言います。こに居るのはみんな俺の仲間で、木こりの経験があったから試してもらったのです。これだけ評価されるなら今後も継続的に取り引きしたいと思っていますが、どうでしょうか?」
(ギャン達の活躍する場を作りたい)
「こちらこそ、冷さんなら問題ありません。さすがは冷さん、お仲間も有能なメンバーなのでしょう。これだけ集められる職人は世界でもいないですよ」
「まぁね、ゴーレムの連れだから、有能なのは確証していい」
(数ある魔物から選ばれた3人なのだからな)
「そうでしたかゴーレムさんのお釣れ……ゴーレムて、あのゴーレム?」
店主は冷の時に驚いたが、ゴーレムの時には倍以上の驚きに。
「俺の新しいメンバーになったゴーレムだよ」
「よろしく」
ゴーレムは挨拶すると店主は冷や汗だらけになり、
「よろしく…………です」
こうしてギャン達の特技を活かした木こり作業は成功に終わった。
報酬も得て納得のいく1日となる。
冷は報酬以上に人々に受け入れられた感じがして喜ばしい気持ちに。
(単なる魔人や魔物との戦いのことしか頭になかった。けどこうして貢献していくのも悪くはないな。木工業にはこれを気に本格的に参加していきたい。きっといい成果がでるだろう。定期的に森に行ってもらい、材木を集めて材木屋と取り引きをしていく。町の発展にも繋がるはずだ。シールド達にこんな特技があったは、嬉しいオマケだよな。それに引き換え、リリスやアリエルには何かないのかよ。ありそうにないか……)
冷はリリスとアリエルを見て思ったが、口にはしないでおいた。
発言したら間違いなく口論となるであろうから。
材木屋との取り引きを終えてリリスが、
「かなり疲れたぞ〜〜宿屋な帰らせろ、そして飯にしてくれ」
「やはりな」
アリエルは吹き出しそうになりながら言った。
するとリリスはアリエルを見て、
「それどういう意味よ〜」
「そのままの意味よ!」
アリエルが食い下がらないところで冷が止めにはいり、
「わかった、わかった、リリス、宿屋に帰ろう。みんなも働いたから汗もかいてるだろうしな」
(今日のところは十分に成果があったからいいだろう)
「そうしてください」
宿屋に帰るといつものようにしてネイルに抱きつかれる。
ネイルの柔らかい感触を楽しみながら、食事とした。
食事は彼女達が分担して作っていて、早く用意される。
よく働いた分のためか、食事は会話もなくひたすら食べることに集中。
報酬があると喜びに変わることの経験を感じる冷。
(ほぼ仕事してこなかった人生だからな、材木屋から喜ばれるのは俺も嬉しい気持ちになるな。不思議なもので、日本にいた時には理解できなかった。働きたいとも思わなかった。つまらない労働としか考えていなくて、働いたら負けだとも思ってたな)
食事を終えて風呂の準備に取り掛かる。
彼女達はみな体力を使い、汗ばんでいたのを冷は知っていたので、
「みんな、お疲れさま、今日は働いたから疲れただろう、風呂に入って汗を綺麗に流しておこうか」
(働いたなど実は口実に過ぎない。何と言っても俺には彼女達の裸が1番の疲れを取る方法なのだからな)
「汗で気持ち悪いから、早く入りたいわね」
シールドも冷の意見に同意した。
風呂場ではゴーレム以外、バアちゃん、ネイルも揃う。
お互いに体を洗い合う。
アリエルがギャンの体を、
「洗ってあげますギャン」
「ありがとうアリエル。それにしても女神って、みんな胸はなきのかな〜」
ギャンは洗ってもらいつつ、つい余計な発言をしてしまう。
「何ですって〜〜〜〜〜!」
「えっ、どうかしたのアリエル、何か顔が怖いわよ〜」
「ギャンっ!」
アリエルはギャンの顔に石けんの泡をぶっかける。
顔は泡だらけとなり、
「く、く、何をするのか〜、これでは何も見えないわよ〜」
ギャンがアリエルにされて、ミーコが開設すると、
「ギャン、あのね〜アリエルに胸の件は禁句なのよ、気にしてるの平たいことを……」
「しまった〜平たいて言ってはダメなの、それを早く言って……何も見えない〜〜」
ギャンはふらふらと歩き出して前方不注意にも関わらず冷に向かう。
冷は嫌な予感がした。
「おいおい、ギャン、こっちに来るなってば!」
「冷……どこですか〜〜わぁ〜〜〜〜〜!」
ギャンはあえなく風呂に突入した。
その結果、風呂にダイブすることになり、お湯が全員の顔にかけられる。
ギャンは皆の冷ややかな視線を感じ、
「ごめん〜〜〜」