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せっせとギャン達が働き荷台車に積んでいくのをアリエル達もお手伝いする。
重いので苦労していて、
「断裁したとはいえ、だいぶ重いわね。リリスもコンビで運びましよう」
「ミーコも手伝ってくれよな」
「はいはい〜」
ミーコも手伝いに参加。
「アリエル、重いのはいい事だ。なぜならその分訓練にもなるだろ。運べば運ぶほどに腕の腕力は上がっているはずだ」
(木は持つとかなり重いのは俺も知っている。運ぶのだけでもいい訓練になりそうだ。クエストはしてなくても十分かもな)
「ミーコ、重たいか?」
「大丈夫です、金の……いえ、町の為なら頑張ります!」
「いま、金の為ならと言いそうになったよな」
リリスはミーコの言うことを聞き逃さない。
「違います、違います、リリスも頑張りましょう」
「頑張ってますよ!」
リリスは口では言っても、内心は面倒だなと思ってる。
リリスにとっては仕事的なのは、嫌いな分野であった。
しかしひとりだけ手伝なわないのも変なので、頑張るしかない。
ガーゴイルは飛べるので、運ぶのは楽である。
すいすいと荷台車に運んでいた。
そこでガーゴイルはゴーレムに、
「ねぇゴーレム訊いていいかな、こんな特技を身につけてるなんて私はしらなかったわよ」
「この特技は別に隠していたわけではないの。ただ魔族の森に居たからそこで生活する際に自然と身についた感じ。私のはスキルを使うけど。私のも役にたつような気もする」
「魔人も使い方しだいで人族に貢献できるってのは、難しくないのかも」
「ガーゴイルだって、何かしらあるはずよ。人族に素晴らしいと思わせる何かが」
「あるかしら…………う〜ん、これから考えてみようかな」
ガーゴイルはゴーレム達の成果に正直にうらやましいと思った。
冷が喜んでいるからで、人族に貢献するとか難しい話しではなく、冷に喜ばれたいと考えていた。
しかし自分が何をしたら冷が喜んでくれるかは、全く思いつかない。
ガーゴイルは冷に喜ばれたいという想いがつのるのだった。
魔人なのに変なのかと言えば変だろうと思うも、冷は他の人族にはない物を持っている、それは圧倒的な強さと魔人にも恐れない強い精神力にひかれてしまった。
冷は今回は見ているだけで何もせずに見守る。
かなり乗せられる荷台車の上に、彼女達の頑張りがあり、すでに積み上がる状態に。
ぴったりと積めるように丸太の形にシールドが加工してあるので、山積みとなっても崩れることはなかった。
「どう〜冷! こんなにも積み上がってますよ」
「凄いな、僅かの時間でこれだけ積めれば文句がないどころか、店主も驚くに違いないよ。ここらで終わりにして町に帰ろうか」
(これ以上積むと崩れる可能性さえある。ある程度で止めた方がいいだろう。それに荷台車を運ぶのだって力はいる。重たすぎて運べないなんてオチはなしにしよう)
冷が終わりと合図をすると彼女達はふぅ〜とひと息ついた。
そして作業を終えて帰ることにした。
「お疲れさまです〜」
彼女達はお互いに掛け声をだしていた。
大木は重量があるので体力を消耗していたから、終わったあとは爽快さが残っていた。
しかしまだ最後の課題を冷は考えていた。
「お疲れさま〜と言いたいところだが、俺は言わないぞ。なぜかわかるかリリス?」
(これで終わりと思っているようなら甘ちゃんだ、俺の訓練生ならば自覚していないとな)
「…………なんだろう、わからないから教えろよ」
リリスは少し考えたが、結局わからないので、考えるのを止めてしまった。
「教えろか、わからないなら教えてあげよう。これは訓練としても俺は考えてきた。そこでだ、この山積みにまで積まれた荷台車があるよな、これを町まで運ばなければならない。その課題を君たちにしてもらおうっていうわけ」
(これも訓練のいっかんだ)
「自分が楽したいだけだろ」
「違う、訓練はつね日頃から怠らないでやるのが1番成果がでる。毎日の積み重ねが大事なのさ。だから荷台車を全員で運ぶんだ」
「なにか、言い包められた感じするが……」
「リリス、やりましょう、冷が言ってるのだから私は頑張ります!」
「ガーゴイルは別。あなたは冷が正しいのでしょう」
「はい、冷は正しい」
「ダメだな」
リリスは苦しい顔をしたが、結局は荷台車を運ぶのを強いられた。
ガーゴイルだけは最も積極的である。
さすがに魔人だけあって、かなりの重量があるはずだが、森を抜けて町に帰るのであった。
ピルトの町に到着した。
冷は何のためらいもなく町を歩くが、人々は見たこともない光景に騒然となった。
それもそのはずで、冷が女神、淫魔を引き連れて、尚かつ魔人をも従えて歩く姿。
その上、荷台車でこれまた大量の、荷台車から崩れる寸前にまで積み上げられた木材。
その木材を汗だらけで運ぶのだから、誰もが釘付けとなる。
ゴーレムは視線を感じ、
「皆さんから視線を感じる。それも軽蔑されてる気がする」
「この木材を見たら誰もが驚くよ。ハンパない量だし」
「そうなると私の印象が少しは良くなるのかも」
「ゴーレムは有名な魔人でしょう、これしきではまだ信頼されることはないよ」
アリエルからズバリと言われて、
「う〜ん難しいな」
努力しても中々先は長いと教られた気がした。
「ゴーレム様、気長に行きましょう」
「気長にか」
「あははは、ゴーレム、気長に頑張れよな」