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 アリエルはスピアで付くのは考えもしていなくて度肝を抜かれ、


「な、な、なんて切り方なの」


「どう切ろうと切れればいい。それがギャンの切り方なのよ」


「じゃあボーガはどうやって切る気なの?」


「もちろんこの弓矢に決まってます!」


 ボーガは弓矢を取り出してアリエルの前にかざした。

 ひときわ大きな弓が現れるとアリエルは疑問がわき、


「まだまだ、まだスピアならわかる気がする。木を切る道具としては。しかし弓で大木は切れません、絶対に切れません!」


「いいえアリエル、私の弓なら切れる。スピアとは使い方が違いますが、木こりとして認めることになりますよ。それでは離れててください……」


「……大丈夫かしら」


 ボーガは不安がられるが全くきにかいさず弓を大木に向ける。

 矢を大木に合わせる。

 狙いを定めた大木はボーガの体よりも大きい。

 かなりの大木である。

 斧で切っとしても相当な時間がかかるであろう。

 あえてボーガはその大木を狙う。

 ボーガの矢は破格の重さと大きさ。

 男性ですら持つのも苦労する程の重さ。

 弓を使う男性冒険者でも使いこなせる者は、そうはいない。

 しかもボーガはとても背が低い。

 普通の女の子と比べても低い身長。

 このメンバーでも最も小さな身長にも思える。

 枝よりも太い矢を弓と合わせる。

 矢は大木に一直線に飛び、そのままぶち当たる。

 大木はアリエルの予想とは違った。

 大木の方が矢がつらぬかれて、真っ二つに折れてしまったのだった。

 それを見たアリエルは、


「こ、こ、こんな切り方があつたとは…………悪かったボーガ、あなたを低くみくびってました」


「いいえ、私を1流の木こりとして認めてくれればそれでいいのです。ギャンと私は大木を切るのが得意なのよ」


 ボーガは認められて嬉しがる。


「すげぇなボーガ、矢で大木を切るとは発想が面白い。ただし問題はある。こんな大きな大木、持って帰るのは困難だぞ」


 2人が切った大木は、ゆうに10メートル以上の長さがあった。

 このままの形ではとても荷台車には乗せられないのは、誰が見ても明らかとなる。


(この長さでは荷台車には乗せられない。どうしたらいいかな。俺がナギナタで切る方法もある。ナギナタは壊れない仕様だから不可能ではないが、時間はかかるだろう。今後全ての大木を俺が切るとなると手がかかり過ぎるのは減点だ。そうなったら木こりの作業自体を見直すしかない。最悪は廃止するかもな)


「冷の言うとおりです。これでは持ち帰れない。そこまで考えてなかった」


「アリエル、まだあきらめるのは早い。木こりの経験がある私達が何も策がないと思いですか。当然にも荷台車に乗せれる方法があります」


「…………難しいと思う。だって人の体よりも太い大木。これを切ったりするのは職人でも1日がかりでしょう」


「アリエルは私達には無理に思えるようですかね。シールド…………あなたの出番のようよ!」


「待ってました!」


 ボーガから名前を呼ばれて来たのはシールド。

 シールドはアリエルが不安にしていても自信満々で現れた。


「シールド……あなたがやると?」


「そうです、切った後の大木を加工するのは私の得意の分野。細かく断裁してみせましょう。そうすれば、簡単に荷台車に乗せられるはずですし」


「そこまで言うのなら、お願いします、まぁ無理だとは思うけど…………」


「シールド、アリエルはあなたには無理だと思ってるから、みせてあげなさい、あなたの才能を!」


「はいゴーレム様、女神もびっくりするほどに!」


 ゴーレムから励まされてシールドは折れた大木に近づいた。

 アリエルだけでなくミーコ、リリスは不思議がる。

 シールドが強がって言ってるようにしか思えないから。

 黙ってシールドの動きに注目すると、シールドは自分の持つ盾を持ち出してきた。

 盾はシールドが戦闘時に使う防具であり、自分の体がすっぽりと隠れてしまう程に巨大な大きさが特徴。

 重量は重く、一般的な盾とは比べ物にならない重量。

 とても並の冒険者では使いこなせない防具。

 それを軽々と持ち出してきた。 そして折れた大木の所まで来ると、大木の上に盾を持ち上げる。

 これだけでも凄いのだが、盾を勢い良く真下の大木へと突き落とした。

 大木が折れた音は森に響き渡る。

 地響きもあり、鳥達は驚いて羽ばたいていった。

 アリエルは衝撃的な切り方に驚いて、


「大木が盾で切れてる。なにこれ、あなたどういう力してるの?」


「盾の重量と私の力で見事に切れました。後はこの容量で同じようにして細かく切れば荷台車に乗せられますよね」


「すみませんでしたシールド、あなたを低くみてました。絶対にできないとか言ってしまい、謝ります」


 アリエルは渋々謝る。


「気にしてません、誰もが信じられないでしょうから。しかし私達の特技がこんな風に披露できるとは思いませんでしたよ」


「いや〜凄いよシールド。俺も驚いてしまうさ。考えもつかなかった方法だ。どうやって考えたのだ」


(発想が凄いな。盾の重量を利用して大木を断裁するとは。これなら細かく断裁可能だし、色々な形にも断裁出来るとなれば、可能性は広がるな)


 シールドの断裁は大きく評価された。

 

「この容量で次々と断裁していきますよ〜」


「スピアでどんどんと伐採します〜」


「弓矢があれば森の大木は全部切ってあげましょう〜」


「いやいや、全部切ってはダメでしょう!」


「じゃあ半分くらいに!」


「無理無理ボーガ、荷台車は1台しかないの。だから乗せられる分だけにしておけよな」


(注意しないと本当に全部切ってしまいそうだな。今回は俺は見てるだけで活躍の場はなさそうだ。荷台車に乗せたらまた材木屋に会いに行くとしよう。このペースだとあっという間に荷台車は容量オーバーになるな)


 冷が考えてる間にも荷台車に積まれていっていた。


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