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 ゴーレムの寝泊まりする部屋に扉を開けて冷が入ると、


「お邪魔します〜〜」


(驚かせてやろう)


「あれ、冷はアリエル達の部屋に寝ないの?」


「今日はこっちにしたい、構わないよね」


(嫌と言っても、こっちに寝ますけど)


「どうしますゴーレム様、冷はここで寝たいそうですよ。私は特に気にしませんが」


 シールドはゴーレムの方に向けて言った。

 ゴーレムはすでにベッドに横たわっている。


「私達4人と一緒に寝たいと……。何が目的なのだ」


「も、目的て言われると困るが、ほら、仲間になって間もないだろ。だから色々とお互いに知り合いたいなと思ってさ」


(色々とね……)


「そう言えばそうかもな。何も知らないのではわかりあえないこともある。シールド達とは長年の付き合いがあるが、冷達とはこれからだから。ベッドに来てください。それにシールド、ギャン、ボーガも」


「はい」


 ゴーレムは冷を不審に思ったが、これからの為にベッドに招いた。

 シールドとボーガ、ギャンもベッドに集まる。


「俺はゴーレムが土で出来ているなんて全く知らなかったよ。土属性の魔法スキルとも関係してるのかい?」


(どういう原理で土で出来ているのかはわからないが、この世界ではあり得る話のようだ。そこはあまり深く考えないようにする)


「生まれた時から土で出来ているんだよ、その為に水はどうしても苦手なんだ」


「それは困った体をしてるな」


「雨に濡れた場合は、調子が悪い。動きが鈍るし、戦闘力が落ちるのは否めない。これは短所だけど誰にでもあるだろ短所は」


「いやそんな短所は滅多にないだろ」


(そもそも土で出来ている奴なんて初めてだから)


 日本においては化け物となるであろう。

 ギャンが冷に疑問点をもち、


「冷にだって短所はあるでしょう、強いのは認めます、恐ろしく強いですが、ウィークポイントは?」


「ウィークポイントね……俺はもともとは女の子と会話するのが苦手かな」


(これは本当です)


「会話? つまり、おしゃべりしたり、楽しく話したりすることが出来ないと……。そうですかね、冷はミーコやアリエルとはかなりの量の会話をしているのを聞いてますけど」


「今はね」


(俺も驚いている)


「今はねと言うと、以前は会話が苦手で話せるようになったと」


「以前の俺は女の子との会話は皆無。ほぼゼロだった。それがアリエル達に会ってから、少しずつだけど女の子と会話していて、びっくりしている。なぜかあいつらといると会話ができた。不思議であるけど」


 事実、冷の会話能力は格段に上がっていた。

 アリエルやリリスには話しかけやすいのもあった。

 

(いつの間にか俺も女の子と会話しているよな)


「冷はこの世界に転生してきとアリエルから教わりました。つまり転生前と比べて成長しているとうわけね、強さはどうなのかな」


 シールドは気になって訊いてみると、


「もう比較にならないよ。最初に来た頃とはケタ外れに強くなったな。職業が無職狂戦士バーサーカーとなっていて、異常なまでにレベルが上がっていたから。魔人と戦える強さはなかったのに今では4人も倒したのはみんなびっくりしているよ」


「狂戦士バーサーカー……まず聞いたことのない職業です。存在すら知らないわ。これからは冷と一緒に冒険することになるのよね。そうなると魔人達とも遭遇する。ゴーレム様はどう考えてますか?」


「魔人とは繋がっていたし、魔族を復興させる目的はある。人族を滅ぼすのが目的さ。それは今も変わらない。冷には悪いが人族には滅んでもらうよ」


 あくまでもゴーレムは魔人。

 そう簡単に意識は変わらない。

 冷もそれはわかっている。


「人族が憎いか。俺には分からない理由があるのだろう。それは全否定はしないよ。魔人や魔族にも生きる理由があるのだからな。ただし俺の仲間になってくれと頼んだのは、君たちに魔人、魔王を暴れなくして欲しいのがある」


(やはりゴーレムの考えは人族を滅ぼすのか。その考えを何とか変えてもらわないとな。そして俺の強力な戦力として成長させたいのだよ)


「無理ですよ冷。ゴーレム様は有名な中級魔人。同じ中級魔人からしたら裏切り者となります。私だって魔族ですから、人族を助けて魔人と戦うなんてしませんよ」


「ボーガも同じか。てことはギャン、シールドもだろうな。俺は君たちにとても魅力を感じてる、戦いのセンスがあるから。いいセンスしてるよ。俺が鍛えたらもっと強くなれるんだけど」


「また言ってます、アリエルの言った通りに、冷は女の子を鍛えることに関しては異常な程に熱心だと」


「冷が私達をそのように扱いたいのはわかります。他の魔人はとても強力ですから。しかし立場的に無理です。魔人の立場から冷を応援していくのは。ガーゴイルは例外でしょう。あれは冷にどっぷりとハマっている。もう何を言っても無駄でしょう。ガーゴイルと私は違う。ガーゴイルと同じ目でみては困る。あくまでも王都の牢獄には入りたくなかっただけで、その点は感謝してる」


 ガーゴイルとしては王都の牢獄に留まるのは嫌である。

 冷の提案にのり王都から離れるのは悪い話ではなかった。

 しかし、冷に完全に強力するかと言えば違うとなる。


「要は俺を利用して王都から離れたわけだな。もちろん俺も利用されてるのは承知だ。知っててここまで来てもらったのさ。現状は魔族側の立場なのを俺が一気に変えてみせるよ」


(今日から必ず俺の方に考えを変えてみせる)


「考えを変えるようにすると……。どうやって変えるのですかな」


 ギャンは冷に近寄ると、大きな胸をさらした。

 ギャンは冷には従わないとばかりに言う。


「ふふふ、ギャンの言うとおり、魔族は魔族、あなたの奴隷ではないとだけは言っておきます!」


 ボーガも冷には従わない。


「分かったら自分の部屋にお帰りよ冷……」


 シールドは冷に帰るように言う。

 しかし冷に帰る気はない。

 逆にこの女の子達とのお楽しみを期待したいたほどであった。

 それで冷はニヤリと薄い笑みを浮かべる。


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