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「ああ〜いい湯だったわ」
アリエルは満足気に言った。
全員がお風呂から上がると、ゴーレムだけが部屋で待っていた。
「そう言えば温泉てのは、サイクロプスが管理していたのだったわね」
ガーゴイルが冷に温泉について、が訊くと、
「サイクロプスとの対戦後に源泉を開放しておいた。それでここにも温泉が来るんだよ」
「なるほどね、これはお金になるわ。サイクロプスめ、温泉を独占していて悪い奴。なんといっても気持ちいい!」
「ガーゴイルはお風呂が特に気に入った様子ですね」
「毎日入ります!」
「凄い……誰も冷がいるからお風呂に入りたいとは言わないのに、堂々と言ってしまうなんて……」
「俺がいるからとはなんだと!」
「ガーゴイルは冷を恐れていない」
「全く恐れることありません。なぜ恐れるのアリエルさん?」
「いやいや、おかしいでしょ。ギャン、シールド、ボーガの体を触りまくりでしょ!」
「構いません。私にはその何倍も触ってくれと言いますから!」
「はぁ〜〜、魔人て変な生き物かもな」
リリスは溜め息をついて言った。
「ギャン、冷に体を触られたとは?」
「ゴーレム様にも触られたことないけど、冷がやたらと触ってきました。許しましたけど」
「う〜む、体を触るときたか。用心しないとな」
ゴーレムは冷に警戒心を抱いた。
「お気をつけよ……無駄か」
「それだと俺が変態扱いだよな」
(ちょっと触っただけなのだよリリス)
「ご主人様は変態ではありません!!!」
「ネイルは俺を理解してくれてるな!」
「ネイルは特別よ、やはり変態です!」
「変態て、今頃気が付きましたの遅すぎ。お風呂に入り、なんだか眠くなったな」
ボーガが目をこすりながら。
シールドとギャンもどちらかと言えば、眠そうにも。
「そう言えばもう夜も遅くなってきたから寝るとしようか。俺は今日はゴーレム達の部屋にいって寝るからな」
(お風呂でのギャン、シールド、ボーガの体の余韻がまだ残ってる。また触りたいので)
冷がゴーレムた過ごすと言うと、アリエルは笑顔で、
「どうぞ!」
「嬉しくみえるが……」
「冷の気のせいでしょう。ゴーレムさん、おやすみなさい〜」
「おやすみなさい……」
ゴーレムはアリエルの態度に違和感を感じるも、隣の部屋に移る。
ギャン達も同じくゴーレムの後を。
「お前〜、ゴーレムは魔人だぞ、変態もほどほどにしろよ!」
「リリス、俺が負けると思うのかい?」
(魔人だろうと俺は負けるわけにいかないよ)
「負けるとか、おかしいだろ、普通に寝ろよ」
「忠告ありがとう、俺はお楽しみさせてもらうから、じゃあ明日!」
冷はリリスに手を振って部屋から出ていく。
(今夜はゴーレムとも楽しめそうだな)
冷が部屋から居なくなるとガーゴイルは不安な表情になる。
「置いていかれた〜」
「ガーゴイル、あなたそんなに冷が好きなの?」
「好き〜〜かな。ミーコは今日までいつも冷と夜を過ごしたのでしょ、それなら好きでしょ?」
「え……と、好きとか、言われると困る」
ミーコは照れてしまう。
「その顔はまんざらでもないな」
「ちょっとリリスったら、おちょくらないでよ!!!!」
「別にいいよ、好きなのは攻めたりしないぜ」
「もうリリスは、黙ってて!」
ミーコはいっそう照れてしまう。
「そういうリリスはどうなのかな?」
「わ、わ、わ、私は好きなわけない!」
「ずいぶんと慌ててますが」
「違う!違う! 好きなわけない。単なる助っ人だよ。アレは強いからボディガード的な存在なんだよ!」
「ボディガードに毎晩あんなことされてるて、変なボディガードだこと」
「ボディガードだから、たまにははな……」
リリスは強がるのだがガーゴイルにはミーコと同じく好きなように思えた。
「そしてアリエルは?」
「ま、ま、ま、まさか、変態を好きになったら神族の名が汚れます。神聖なる女神が。だから魔人を倒すだけの男よ!」
女神が人族に遊ばれていたら一大事である。
よって強く否定した。
「……私はどうしてらいいかしら…………」
ガーゴイルはどうしたらいいのか悩み、アリエルに相談をお願いした。
「どうしたらとは……。嘘だと思うけど行きたいの?」
「行ってもいいかな……」
「……ご自由にどうぞ」
アリエルはあきれるようにて返事をした。
ガーゴイルの冷への執拗なまでの想いに。
魔人の意外な一面を見た気がした。
ガーゴイルがいなくなるとリリスが、
「なぁアリエル、魔人はもしかしたら変態なのでは?」
「私も思った。ちょっと考えについていけませんし」
「冷も居ないことだし、早めに寝るとするか」
リリスが寝ろよと言うとネイルが、
「ご主人様がここに帰ってくるのを待ちます!!」
「勝手に待ってろ!」