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 宿屋に戻ると冷はゴーレムに訊きたいことがあった。

 不明な点は色々とあって、話し合うのがいいので、この際全部訊きたかった。


「あのさゴーレム、一度訊きたかったことがあるのだけど。シャーロイ家についてなんだ、なんでシャーロイ家を選んで俺たちを襲ったりしたのかな?」

 

(ゴーレムはシャーロイ家と組んで俺たちに攻撃してきたんだっけか。なぜかなと不思議に思ってたんだよな)


「そうだったな、まだ説明していなかったか。あれはガーゴイルが冷に負けたと聞いて仕返しをしたいと考えていたのだった。そこでこの地域も国の南部に位置しているのはしっていると思うが、南部地域で強い支配権を持つシャーロイ家の貴族が浮かんだ。あのシャーロイ家は現在の国のハンマド国王にいい印象がないのは知れていた。自分たちこそ国王になれると思っていて、そこを利用したのさ。シャーロイ家の姉妹は直ぐに話にのったよ。それで冷と騎士団のナニらを始末する。始末すれば魔人にとっても言うことはない。シャーロイ家も国王の持つ騎士団が弱体化するので良しとなる。これが冷を襲ったぜんぼうだよ。もちろん成功すると思っていたから、こうして冷と部屋にいるなんて想像もしなかった」


 ゴーレムは隠すことなく洗いざらい全てを冷達に話した。

 今さら隠しても意味がないと考えてのこと。


「シャーロイ家は上手く騙されたわけです、ゴーレム様に」


 シールドは自慢げに言う。


「それだとシャーロイ家の姉妹はどうなるかと言えば、きっと王都では牢獄にいますよね、刑罰を受けるでしょう、なにせ国に反逆したとして」


 ミーコはシャーロイ姉妹のことが気にかかっていた。


「刑罰は避けられないわ。どう考えても刑罰だわ。構わないけど、私達を襲ってきた貴族など、刑罰になろうと知ったことではないよな」


 リリスも同じ意見となる。


「刑罰は酷いな。俺はさせたくない。彼女達を牢獄から出したい!」


(だってとても可愛いかったし、凄くいい腕してて、鍛えれば強くなれそうだから。このまま刑罰だなんて我慢できないっす)


 冷はミーコ、リリスとは逆に助けたいとなる。


「お前らしいな、助けたいとは。まさか姉妹が可愛いからとか思っているのではないよな?」


「ち、ち、違う違う! 俺は純粋に姉妹を殺すのはもったいないですと言ってる。殺せば南部の地域と王都は今よりも亀裂が入るだろ。恨みが深くなり国王だって損をするとおもうよ」


 リリスは冷が不純な気持ちで助けたいと言ってるといい、その視点は見事に当たっていた。


(リリスめ、恐ろしく鋭い視点でついてくるな。可愛いからに決まっている)


「確かに冷の言うことは、一理ある。殺せばシャーロイ家の一族は永劫ずっと恨み続けるわね。でも助けたいのと助けるのは別。助ける方法がない」


 アリエルは助ける方法を考えたが全く思いつかなかった。


「無理でしょう。国王がもし助けるのに賛成したら、国民からしたら情けない国王となりますよ」


 ミーコは国王が認めないと思う。


「それに私達魔族と組んでのこと。魔族と組む者を許すはずない」


「ボーガの言うのもわかる。でも俺としては助けたい。国王に会って話を聞いてもらうしかないよな。それにシャーロイ家にも伺う。俺の考えに賛同してくれるのかを知りたい」


(俺が動かないとダメそうだな。果たして国王は頷いてくれるか)


「無理よ冷、すでに私とゴーレムも無理矢理に認めさせたのよ。軍師コロナも冷を敵視している。これ以上は難しいわよ。国王を怒らす可能性もある。そしたら私をまた牢獄に入れろとかなったら、寂しいの」


「ガーゴイルの言うのは俺も困る。絶対に君を離すつもりはないから。国王には近いうちに会いに行くとする」


(最初はシャーロイ家の方にしておく)


「ダメだと言ったら?」


「たとえガーゴイルのお願いだとしても行くよ」


「この男は自分勝手に決めて、周りを振り回すのが好きなのよ。これまでも大変な目にあってる」


「アリエルよ、まだまだ俺のことがわかってないな。俺は振り回すことで君たちを強くしたいと考えてるのだよ!」


「余計なお世話です!」


 しばらく部屋でくつろいでいた。

 冷はシャーロイ姉妹が気になってしょうないけど、国王を説得させる自信がなかったのが本音であった。

 そうこうしていると夜になって、食事をすませる。

 人数が増えたので料理も大変になる。

 ガーゴイルとゴーレムも加わり、肉料理から野菜まで揃えた豪華な料理。

 賑やかな食事時間となる。

 食事を終えて満腹になりミーコがお風呂の準備をしていて、


「皆さん、お風呂の準備が出来ましたよ〜」


 お風呂の源泉はもちろん温泉である。

 

「入りま〜す!」


 アリエルはお風呂と聞き直ぐに反応した。


「じゃ、私も入るかな」


 リリスも風呂場に向かう。

 そこでキョトンとしているのはガーゴイル。

 アリエル、リリスの行動が理解できないでいる。


「お風呂とは?」


「あら……ガーゴイルはお風呂って知らないのかしら。魔人は風呂に入ることがないとか、お風呂は熱いお湯に、まぁ冷が温泉を開放したおかげなんだけど通っていて、その温泉のお湯に体を浸かるのよ」


「熱いお湯に体を……それで何の効果がありますか。まるで想像もつかないですが」


 ガーゴイルは生まれてから一度もお風呂に入った経験はない。

 アリエルの言ってる意味がわかりかねた。


「気持ちいいのよ」


「気持ちいいですか」


「説明するよりも入ったらわかるは。ガーゴイルも服を脱いでごらんよ」


「う〜ん、冷……どうしたらいいかしら?」


 冷に確認してみると、


「俺も入るから一緒に入ろう!」


(ガーゴイルとお風呂にか、なかぬか楽しめそうな予感)


 冷は密かに嬉しいのを悟られないようにした。


「冷が一緒に入るなら入ります〜」


「よし、決まりだな」


 ガーゴイルの入浴は決まった。

 しかしまだゴーレムとギャン達は、悩んでいる。

 そこでミーコはゴーレムにも誘いをかける。


「ゴーレムもどうぞお風呂に?」


「無理なんですお風呂は。なぜかと言うと私は入れない理由があるから…………」


「入れない理由が…………」


 ゴーレムはミーコの誘いを断る。

 仲間になってから初めてみせる真剣な顔であったため、周りは緊張感に包まれる。


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