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この世界に来てから冷の能力値の素早さは格段に上がっている。
すでにアリエル達には認識出来ないほどに速く動けて、服を脱がす作業に、時間を要しないのである。
(俺の素早さについてこれるかな、いつも無理なんだけどね)
気がつくと、服を脱がされており、アリエルは冷の姿が見えないので両手で体を隠した。
「あ、あ、アリエル、もう脱がされてる!!!」
「ええええっ」
ミーコが指摘すると、そこで初めて自分が裸にされているとわかり、声を上げたのだった。
「冷はどこ?」
リリスが首を振り探すが、あまりの素早さに冷を見つけられずにいる。
「リリス…………あなたもう」
「しまった!! そういうミーコもよ!」
「いつの間に!」
リリスに続いてミーコも脱がされていて、大きな胸をおしげもなく晒している。
その姿を堪能するのが冷である。
「君たち……俺の素早さを認識出来るようにならないとな」
(三人とも驚くのも無理もない。俺の素早さは猛烈に上がっているからな。それにしても、いつ見ても素晴らしい体をしている。鍛えられてよりいっそう体が絞れてきたのかもな。腰の辺りのくびれも生まれているし)
「なんなのこれは……。冷は彼女達をどうする気よ、仲間じゃないみたいですけど…………」
三人のあわれな姿に仲間割れでと起きたのかと思うガーゴイル。
これがいつもの日常なのだと知らないのだから、混乱するのも無理はない。
このあり様を見て、動揺しない方がおかしい。
「正体を知ったようね、この㊚の正体よこれが!」
リリスが必死に抵抗して体を隠しながらガーゴイルに教える。
「正体…………」
「ガーゴイルはそのままいていい。最後のお楽しみってことで。それからネイルは自分で脱げるよね?」
「はい〜〜〜主人様〜〜」
ネイルは率先して服を脱ぎ捨てる。
脱ぐことになんの抵抗もないようで、冷に向かって抱きついていく。
冷はガーゴイルだけ残して三人をベッドに連れ去っていき、ネイルも加えた四人を抱きしめる。
アリエルのお尻を掴むと手に感触が伝わる。
(アリエルのお尻は柔らかいなあ、胸が低いけどそれを補う程の感触がある)
アリエルが恥ずかしくなるが、さすがに冷から逃れる術はなかった。
顔を赤くして無抵抗になる。
ミーコは三人の中では最も素早さがある。
しかし冷から逃れるまでにはとても素早さが足らない。
たわわな胸を掴まれてしまい、もう逃げ道はなくなる。
アリエルのように体をベッドに寝かされてしまい、冷の自由にされるのに時間はかからなかった。
(ミーコの胸を触るのは楽しみなんだよな)
次にリリスが標的となる。
ベッドの上で格闘するも、結果は明らかである。
どんなにリリスが殴ろうとも、冷からするとじゃれ合いしてる感じとなってしまう。
しだいに無抵抗となると、冷に対して殴ろうとしなくなる。
(リリスが帰ってきて良かった。居なくなったと考えたら、ショックは甚大であったろう。もう二度と手放さいようにしっかりと抱いておこう)
三人とネイルはベッドで冷のやりたい放題にされる。
体力の数値は計り知れないほどに上昇しており、休みなく何度も何度もベッドの上で。
「うう……、やめなさ…………い」
「そうで…………すよ…………」
「これしきで…………淫魔が…………」
こうなると冷の思うつぼとなり、ネイルも疲れ果ててしまい、ベッドに寝そべった。
ベッドは冷の独断場となる。
その光景を初めから見ていたガーゴイルは口が開いたままになっていた。
「…………大丈夫ですかアリエル…………」
「…………もうダ…………メ」
アリエルは聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で答えた。
「…………冷、いつもこんな風にしてるの?」
ガーゴイルが冷に言った。
普通に考えたら見てられない姿になったアリエル達。
その一部始終を見たのだから、冷を嫌いになる。
ミーコは最後の力をしぼってガーゴイルに伝える。
「…………は、早く逃げてガーゴイル…………、危ない、この宿から逃げるのよ!!」
「…………逃げる?」
ガーゴイルはミーコから危険さを伝えられて戸惑っている。
確かに今なら逃げるチャンスもある。
冷はミーコが腕を掴んでいて、ガーゴイルに向かわせないようにしていた。
ガーゴイルは冷に顔を向ける。
冷はしまった!と思った。
「ミーコ、放すんだ!」
(しまったな、ガーゴイルとのお楽しみがなくなる。ミーコめ、邪魔しないでくれ!)
「嫌よ、放すもんか!」
「そうだとも、今よ、仲間になった日にされることはない!」
リリスとアリエルも冷を動けないように固定し、ガーゴイルに協力する。
ガーゴイルの為を思って言った。
ガーゴイルには長く居て欲しいとの彼女らの気持ちの現れでもある。
仲間になった初日にこれでは、嫌われて別れるのは、めにみえていたから。
「…………アリエル、ミーコ、リリス、もう放していいの…………私なら心配ないから」
「なぜだ!!」
「私達の気持ちを察してちょうだい!」
「これでも精一杯です、もう冷を動けなくできるのは!」
ガーゴイルは、なぜか逃げる素振りはなかった。
どうしてなのかアリエルらにはわからない。
逃げようと思えば逃げれたのに、あえて逃げないように感じられた。
不思議に思えた。
「だって、だって、だって……………………私も冷にされ…………たい…………あの時みたいに…………」
こともあろうか、ガーゴイルの口から出た言葉は部屋にいた者を震撼させた。
真逆の発言である。
危険どころか、されたいと言ったのだった。