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アリエルは通路で大声で怒鳴った。
ガーゴイルとゴーレムを仲間にしたから怒ったのである。
「そう、怒らないでアリエルさん……。俺だってアリエルとミーコに相談したいけど、それは無理だっただろ。勝手に仲間にしたのは謝るが、認めてくれ」
「もう〜、本当に自分勝手に決めて。あなたをこの世界に転生させたのは魔族と魔人を倒すためなのよ。それが最大の目的なのに仲間にするなんて、知りません!」
「アハハハ…………。ミーコは認めてくれるよな」
アリエルはプイッと顔を背けてしまった。
アリエルはあきらめてミーコに確認を取る。
(目的が違うか。魔人を倒すのに仲間にするのも悪くはないと思うけど。ミーコならアリエルと違うよな)
「魔人さんに確認してください。私は構わないです。むしろ、魔人を倒したのだから、たっぷりと国王から奨金が貰えるわよね……」
ミーコは魔人どうこうよりも、金に目がくらんでいた。
「この期に及んで金かい……」
(ミーコにきいたのが間違いだったな)
「これからが大事です、ピルトの町に帰るのはどうですか。王都には要件は済んだのですし」
「帰るとしよう。新しい仲間も増えたことだし、落ち着こうか」
冷はいったんは町に帰るのがいいとした。
ギャンも牢獄から戻されてメンバーに加わる。
「ゴーレム様!!」
「おお、ギャンか、今日から冷のメンバーに加わることになった。ギャンもだぞ」
「はあ〜?」
ギャンはなぜ?ですかとなるが、ゴーレムに説明されて納得する。
新しいパーティーメンバーでの出発を歓迎するのもあった。
(帰るとしよう、馬車よりも飛行した方が速いだろうから、飛行します)
「俺は飛行してみんなをピルトの町まで順番に運ぶ。ガーゴイルも協力頼むよ」
「わかりました。運ぶのは両手で二人が限界ですよ」
「私が飛行してきた魔物は王都付近で帰したからもういないのでお願いする」
ゴーレムを運んできた魔物は王都まで来たら騒ぎになるからであった。
「よし、では飛行するよ!」
こうして冷とガーゴイルで仲間のメンバーをピルトの町まで運ぶことに。
何度か往復することになるが、それでも馬車よりも圧倒的に速かった。
ピルトの町に全員が到着した。
以前と変わらず、平穏な空気が流れていた。
それは冷が凱旋するまでの話。
町の人々は冷の姿を見るや、
「皆さん、ただいまです!」
「おお〜冷! みんな、冷が帰ってきたぞ〜!」
「生きてるぞ〜!」
町の人々は冷がゴーレムとの争いに巻き込まれているのは、知っていた。
ギルドにも伝わっていて、噂となっていた。
直ぐに人々の群れが集まり、冷達を囲む。
「凄い人々の集まり、これは……」
ガーゴイルが理由がわからずに人々が集まるので敵かと思う。
「心配ない、みんな冷を歓迎してるの。この町では冷は英雄なんだから」
「英雄ですか、となると私は英雄の彼女ってこと」
「はあ〜、彼女って、ガーゴイルは何で彼女になったの。告白されたとか冷に?」
「こ、告白なんて、するかよ!」
(告白など俺ができるわけない)
「告白ではないです。私の方から彼女になったの。なぜかと言うと、恥ずかしい話ですから後で話します」
「そうしてくれ」
(ここで話す内容じゃないからな)
「気になる」
ミーコは疑うようにして冷を見る。
「とにかくだ、冒険者ギルドに行こうか…………。俺達の帰りを待ってる」
冷は話の流れを変える。
(ギルドに報告しておこう。新しい仲間の登録もあるしな。魔人が登録できるかどうかは行ってみてだ)
人々の注目を集めながらギルドに入店した。
店内はクエストを探す冒険者であふれていた。
冷がゴーレムと接触したのは、すでに有名である。
冒険者の中にはゴーレムに冷が勝つと言う者もいたが、殆どの冒険者はゴーレムが強いと結論していた。
入店するやユズハ店員から、
「いらっしゃいませ……あら、冷さん!! 帰ったのですね!」
「帰りました。ユズハさんに報告したいことがあって」
「わかってます、冷さんが無事に帰ったてことは、ゴーレムが強過ぎて勝てないとわかり、危険を感じて戦いを避けたのですね、だからこうして無事に帰ってきたのよね!」
ユズハは冷がゴーレムには勝てないと決め付けていた。
ユズハの決め付けは他の職員も、それにギルド店内の冒険者も同じ。
生きているのは戦いを避けたと思ったのだった。
「違いますって! 俺はゴーレムが怖くて逃げてきたのではないですから!!」
(まいったな、俺は完全に逃亡してきたと思われてるな)
「えっと……逃げてきてないなら、どうしたのですか?」
「ゴーレムに勝ったとわかって欲しい!」
(負けてなんかいないよ。それだけゴーレムは強いと有名なのだろう。他の周りにいる冒険者もハテナマーク出てるし)
「!!!! 勝った…………のですか」
「勝ちました」
「!! 嘘〜!!!! 倒しちゃったなんて、嘘みたい。魔人を、それもゴーレムですよ、さすがの冷さんです、負けるわけないか。ゴーレムって弱いんですね、ほら名前ばかり有名で実は案外大したことないってありますが、正にそれ、おびえて損しました。ゴーレムがいないなら怖くはありません、いい迷惑でした」
ユズハはゴーレムが居るとは知らずにペラペラと悪口を喋りまくった。
冷と仲間達は、ユズハに合図で知らせようとしてるがわかってもらえず、冷の後方から顔を覗き気味に出したゴーレムはユズハを見て申し訳なさそうに、
「……あの〜〜〜〜弱くて悪かったです、ゴーレムですけど」
「…………。ゴーレムさん…………。どういうことかな…………」
氷のように固まってしまうユズハ。
それと周りにいる冒険者も固まってしまい、誰も会話することなく静まり返る。
「あの〜〜初めに言ってなかったけど、この子はゴーレムなんです。どうしてここにいるかと言えば、初めに言っておくべきだったか、俺との対戦で俺が勝った。その結果がゴーレムの仲間ごと俺の仲間のパーティーメンバーに入る。つまりは仲間入りしましたか、ご挨拶に来たんですよね」
(う〜ん、先に説明しておくか、悩んだがまさかユズハさんがゴーレムにあんな風に言ってしまうとはな。まいったな、ゴーレムは怒ってないようだけど、怒ったら大変だ。国王との約束で魔人は騒ぎを起こさないとある。さっそく約束を破る結果となりえる。ゴーレムには怒るの我慢してもらおう)
冷が心配したのはゴーレムだが彼女は意外と平静となる。
「別に……気にしてません。私がゴーレムですから今後はよろしく」
「!!!!! は、は、は、い、こちらこそよろしく…………」
ユズハは震えながら頭を下げる。
冒険者達も身震いが止まらない。
中にはゴーレムだと分かると気絶する冒険者も複数いた。
ギルドは魔人が来店するなんて誰もが想定していない。
あいた口がしまらない。
冷は安心したその後に問題は起きる。
「あなたね!!!! ゴーレム様が弱いとかなんとか言ったわよね、訂正しなさい、そして私はゴーレム様の子分の魔族ボーガよ!」
ゴーレムよりも前に出てきて文句をつけだしたのは、ボーガであった。
「ま、ま、魔族の方でしたか。す、すみませんでした! どうかお許しを…………」
ユズハは即座に謝罪した。
魔族と聞いて殺される覚悟をして言う。
「まぁまぁボーガ、落ち着こうか、国王との約束があるでしょ」
ボーガを落ち着かせるように言ったのはミーコ。
「ミーコ、この女性はとても失礼ですよ、ゴーレム様の悪口を」
「別に私は気にしてなんかいないからボーガ、下がりなさい」
「わかりましたゴーレム様」
ゴーレムのいうこと素直にきいた。
「良かった……、ボーガ、頼むぜ騒ぎはダメからな。それとユズハさん、気にしないでいこう、いつも通りに元気だして」
冷は冷や汗をかいていて、ボーガに忠告しておく。
(危ねーところだった、ユズハさんが完全に恐怖感で真っ青になってるじゃないか。後で王都に連絡とかしないでね。いきなり約束を破ったとかなってしまうから。この状況だとなりかねないが……。ボーガにも教えなくてはならないな。色々と教えなくてはないないことが有りそうだ)
「はあ…………元気だして…………元気出ますかねこの状況で…………」
ギルドに新メンバーのゴーレム達を紹介したら、この結果が。
国王との約束は、町の人々に迷惑をかけない、騒ぎを起こさないとあった。
気をつけてはいたが、このあり様に。
この先、大丈夫かと冷は頭を抱えるのであった。




