表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/351

142

142



 シャーロイ姉妹は国王に命じられて三人とも牢獄行きと決まった。


「姉さんだけに罪を押し付けはしませんでございます。姉妹はいつも一緒です」


「そうだよ、お姉。三人一緒なら怖くないもん。それにしてもムカつくのはコロナだよ。あいつは前に会った時から嫌な感じしてたもん」


「言えてる。昔からそうだよ。よくガーゴイルを連れて行った、普通に考えられない行動。もし冷がゴーレムを倒したら……。まぁ関係ないか、倒しても倒さなくても、私達には影響ないかな」


「いえ、ゴーレムが勝てば王都を破壊しに来ます。ギャンを取り戻す為に。そうすればそのすきに私達も脱獄してしまうでございます」


「なるほどゴーレムに期待するか……。どうなるかな」


 三姉妹は半分以上はあきらめていたが、ゴーレムが王都を破壊するのなら希望はあるとなった。

 そこへビジャ姫が現れる。


「どうして反乱などしたのです。無謀とも言える策に思えます」


「あなたは、ビジャ姫……。昔からシャーロイ家には現在の国王に反体制的な面があります。それはシャーロイ家こそ国王の座にふさわしいという想いから。それが根底にあって、ついゴーレムの誘いに乗ってしまいました。今思うと、ゴーレムに利用されていたのだとわかります」


「やはりシャーロイ家は国王を毛嫌いしているのね。その噂はかねてから聞いていました。あまりシャーロイ家は信用するなと。でもまさかこんな事態を引き起こすなんて。しかし魔人ゴーレムがそもそも誘いに出なければ、あなた達は何もしなかったはず。魔人ゴーレムが悪いとなれば、刑も軽く済むことも可能性がある。私はそうお父様に相談しておきます」


 ビジャ姫は話を聞いてゴーレムが悪かったと考えた。

 それならば三姉妹に罪を被せるのはかわいそうだとなる。


「ビジャ姫はウチラを助けてくれるもん! ありがとうだもん!」


「よろしくお願いしますでございます!」


「わかりました、失礼します」


 三姉妹は姫はの対応に喜んで期待を込めると、ビジャ姫は縦に頷き牢獄を後にした。


 ギャンも同じく牢獄に入れられた時に近くの牢獄から声があった。

 サイクロプスの声である。


「君は確かギャンとはないかね」


「あなたはサイクロプス……。お久しぶり。ガーゴイルと一緒には行かなかったのですね、魔人ならゴーレム様を応援しますよね」


「行かないよ。俺は別にゴーレムにも冷にもどちら側にもつかない。ゴーレムは普通にいったら勝つだろうからな」


「もちろんです。ゴーレム様は負けません。ですから必ず王都に助けにくると思っていて、何にも心配していません。その時はサイクロプスも脱獄しましょう」


「脱獄か、魔人にしては情けない言葉だけど。この牢獄は特別な仕様で、俺の力では破壊できないように作られている。どうなるか、冷が勝つのか、ゴーレムが勝つのかを楽しみにしておくとするよ」


 サイクロプスは冷が勝つのではとも少し思っている。

 冷と戦ったことのあるサイクロプスには感じたのであった。

 

「サイクロプス様の方が強いですよ。ゴーレムよりも!!」


「うるさいヘスティもいたのね」


「うるさいとは何だ!!」


 ギャンからするとヘスティは死んだと思っていたから、多少びっくりしてしまった。




 城の内部では早くも噂がたっていた。

 シャーロイ家が反乱したとなり、三姉妹が牢獄に入ったと。

 兵士は直ぐに噂話を伝えていく。

 たちまちシャーロイ三姉妹は直ぐにも処刑だろうと伝わる。

 とても美少女なのにかわいそうだと。

 城の兵士から王都の町に至るまで時間はかからなかった。

 

 王都が騒然となるさなか、冷はガーゴイルとゴーレムを引き連れて飛行している。

 すでに王都の手前まで来ていて、町の上空に達しており、町の人がにぎわう通りに着地することにした。

 町の人は上空から何か降りてくるので注目となる。


「あれを見ろよ、何か降りてくるんじゃないか!」


「本当だ! 逃げろ!」


 町の人は危険を感じて遠のくと、その地点に冷達は降り立った。


「あ、ごめんなさい俺は冷です、驚かしてしまって、別に何も怪しい者ではないですから」


 ガーゴイルとゴーレムの魔人を連れてくる時点で十分に怪しいのだが。


(みんな驚かしてしまったようだな。ここから城までは近いはず。ゴーレムもいるから、直接に城に降り立つのはマズいと思っていて)


「ここは皆さん驚くと思うわ」


 ガーゴイルも予想していた。


「あはは、もう降りちゃったから今さら飛行するのも変だし、歩いて城まで行こうか」


「何もなく歩いて行ければな、お前らしい失敗だよ」


 リリスも呆れてしまう。


「あの冷さんか。それなら安心だ」


「冷さん、ちょっとお隣にいる女性は誰ですか?」


 町の人の関心は見慣れない女性に集まる。


「えっと、ガーゴイルとゴーレムです。でも安心して欲しい。彼女は何も攻撃はしないから、普通にしていて」


 冷は魔人は安全だと説明したが、どう考えても無理があった。


(ゴーレムは暴れない約束してるから大丈夫なんだな)


 しかし人々はその名が魔人だとわかるのに時間はかからなかった。


「あ、あ、あ、あ、あの有名なガーゴイルとゴーレムですか!!」


「はい、私はガーゴイルです」


「私はゴーレムです」


「みんな〜〜〜〜避難しろ〜!」


 人々は魔人なのだと認めた途端に、一目散に散らばっていった。

 殺されたくはないの一心で。

 

「あ、あの〜大丈夫だから、俺がいるからさ〜」


 冷の声は残念ながら聞かれることはないまま消えていった。

 

「言った通りだろ。怖がって行っちゃった」


「……まいったな」


(驚かしてすみませんです)


 冷達は城に向かってあるくことにしたが、行く先々で悲鳴が轟いた。

 かつてないほどに町は騒然となった。

 城に到着した冷は兵士に止められる。


「冷さんですか?」


「はい冷です、国王に会えます? ゴーレムを呼んできて、ガーゴイルも一緒で、話があると」


「はい…………ゴーレムですか! この女性がゴーレムなんですか」


「私じゃマズいかしら」


「い、いえ、とても綺麗なのでびっくりしていて、国王に伝えて来ます!」


 城の入り口にいた兵士は、ゴーレムが名前と違い綺麗なのに驚く。


「皆さん驚いてるようです。特にゴーレムには」


「あなたも変わらないと思うけど」


「それどう言う意味よ」


「同じ化け物ってことよ。人族から見たら」


「化け物ね、この胸をみせたら女の子としてみてもらえるかな」


 ガーゴイルは大きく膨れた胸を揺らしてみる。


「!!」


 冷は思わず見入ってしまった。


(そんな風にしたら兵士も困るだろうに)


 そこへ兵士が帰ってきた。

 ガーゴイルは兵士に向かって胸を晒して露出してみた。


「!!!!」


 兵士は目が点になり、伝える内容も吹き飛んだ。


「ガーゴイルったらズルい。私のも見てくれるかしら?」


 今度はゴーレムが胸をはだけた。

 

「!!!!」


 兵士は二人の胸を間近で見て、何をどうしたらいいのか困ってしまった。


「!!!!」


 困っていたのは兵士だけでなく冷もである。


(あれまっ! ゴーレムの胸はガーゴイルと比べてもひけをとらない。迫力満点な胸をしている!)


「…………すみません、お二人とも胸をしまってください」


 兵士は申し訳なさそうに言った。


「少しは人族らしく見えたかな」


「アホか……」


 リリスだけは冷静に二人の魔人が頭が悪いと判断していた。


「あの〜お二人さん、胸をしまったら……」


 冷が注意すると胸をまた鎧に隠した。


(さすがにこんな状態で国王には会わせるわけにはいかないだろうに)


 兵士からの許可が降りて入城した。




 国王は側近のコロナとライン、ビジャ姫といた。

 そこで冷の帰りを告げられて、尚かつゴーレムもいると聞かされて混乱した。


「ご、ご、ゴーレムが来たか!」


「それも冷が倒したらしくガーゴイルとゴーレムと二人揃って待っているそうです」


 軍師コロナが兵士から伝えられた通りに国王に伝えた。

 コロナも殆ど信じられない気持ちであった。

 

「揃って会いたいとか言われてもなぁ〜、困るよな。てことはゴーレムを倒したとして、ゴーレムとガーゴイルは牢獄に入れるのでよろしいな」


「牢獄の準備は出来てます。至急牢獄に行かせましょう。暴れ出したら大変なことになりますし!」


 ラインは魔人を危険視していて、早く死刑にしないかと思っていた。


「やったぁ〜〜! 帰ってきたのですね冷が! 早く会いたいわ。言ったでしょコロナ、冷は必ず帰ってくると、そしてゴーレムを倒してくると」


 ビジャ姫は話を聞いて飛んで喜んだ。

 軍師コロナとラインとは対称的である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ