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「ゴーレム達は飛行できないよね、俺とガーゴイルは飛行して帰るけど」


「大丈夫だ、飛行の件なら問題ない。飛行可能な魔物がいるんでね。その魔物に運んでもらえば、追いついて行ける」


「へえ〜便利な魔物もいるんだな」


(鳥形の魔物がいても不思議はないか。ガーゴイルだって、一応は魔物なのだしな)


「それでは出発とします。ガーゴイルは俺と一緒にな。リリスは俺が運んでいくから」


「大丈夫かな、絶対に手を放すなよ。放したら終わりだ」


「大丈夫だ。絶対に放さないよ」


 冷はリリスの体を掴んで空中から運ぶ。

 ガーゴイルも冷についてきて飛行する。

 一方のゴーレムは自分では飛行することは無理なので、魔物を三匹呼びよせて、魔物にゴーレムとシールド、ボーガを運ばせるように命令した。

 王都に向かって出発。

 冷と魔人が二人と一緒に飛行している光景はなんとも異様な光景と言える。

 この風景を見かけたら誰でも狂気にかられて逃げ出すだろう。

 それ程までにインパクトのある集団であろう。

 




 冷が王都に向かってる間にナーべマルとナニ達は王都に到着していた。

 馬車の為、冷が飛行するよりもだいぶ時間がかかった。

 

「ねえナニ、やっと到着したけど、冷はどうしてるかな。今頃はゴーレムを探しているかな」


「あの男のこと。あきらめるような男ではなさそう。私達はこの件で国王に説明するのは、シャーロイ家の三人娘を反逆者として差し出すことよ」


「僕はその考えに従うよ。ギャンも一緒に」


「ギャンは面倒だな。もしかしたらゴーレムが取り返しにくる可能性がある。ゴーレムが王都に来たら一大事だよ」


「もう連れて来ちゃったから兵士が出迎えにくると思う。ほら、僕の言った通りでしょ」


 ナーべマルが言ったらその通りに兵士が現れる。

 兵士は馬車が王都に来たので入行の許可証を提示させる必要がある。


「お待ちください。許可証の提示をお願いしま……ナニ、さんでしたか。申し訳ありません。どうぞ」


「ありがとう」


 兵士は騎士団のナニだと顔を見てわかると、失礼しましたと素通りさせる。

 ナニのレベルまで来ると許可証は必要がないからで、それも複数台ある馬車でもで、馬車は城まで止まらずに走る。

 兵士も中までは確認していなくて、中には魔族のギャン、シャーロイ家の娘がいると知ることはなかった。

 

「城に到着したが、兵士が止めるでしょう」


「多分ね。名前と身元を教えてと。そしたら正直に言うかな」


「国王よりも軍師コロナとラインはうるさいと僕は思う。あれは極端に頭が硬いから、ギャンなんて城に入れたらブチ切れるよ」


「あの二人は来ないで欲しい。来たら面倒だな」


 城に入るとナニはシャーロイ家の三人娘、ギャンを降ろしておく。

 いつものように兵士が待っていてナニに尋ねる。


「ナニさん、お帰りなさい。それとナーべマルさんもですか。あれれ、後ろの三人の女性と……もうひとりの女性は…………人族ですか」


 兵士はギャンを見るや怪しく感じた。

 見た目がどう見ても魔族っぽいからであろう。

 

「人族ではない」


 正直に答える。


「誰でしょうか」


「魔族のギャンだと伝えて」


「はい、魔族のギャ……魔族ですか!! ナニさん、魔族を城に入れるのは無理がありますが」


「構わない。国王に伝えて、とても重要な魔族の女性だと。それとシャーロイ家の三人娘も一緒だと」


「はい…………」


 兵士は難しい顔をしたが、騎士団のナニには決して立場的に逆らえない。

 断ることなく、急いで国王に伝えに行く。


「僕も魔族はマズいと思う」


「らしい……」


 兵士から国王に会う許可が降りて、全員が一緒に通された。

 兵士は大丈夫かなと不安になったのは言うまでもない。

 応接間に案内された。

 室内ではハンマド国王、ビジャ姫、軍師コロナ、魔術士ラインが揃った。

 国王は室内の中央に座りナニ、ナーべマル、ラジッチを通した。

 国王の前に立つとナニ達は頭を下げる。


「ハンマド国王様、ただいま戻りました」


「よく戻ってきたナニ、それでこの三人の女性がシャーロイ家の娘だと聞いたが、本当にシャーロイ家なのか知りたい。実際に会ったことはあるのだが、顔までハッキリと覚えていないし、成長していてわからない」


「はい、間違いなくシャーロイ家の娘でした。確実に本人が言ってますので」


「ナニには冷を騎士団に誘いに行くように命令した。それでどうしてシャーロイ家が関わるのだ。繋がりがわからないのだよ」


「冷には会いました。そして騎士団に入団してくれると約束まで出来てました。それには冷の仲間のアリエルやミーコを使いました。彼女達を捕まえておくことで、冷は私達に逆らえなくなると思い作戦に出たところ、思った通りに冷は逆らえなくなりました」


「とてつもなく強いがアリエル達を押さえておけば命令をきく、弱点もあるわけだな」


「冷は命令通りに王都に連れていく途中のとこ。馬車での移動中にシャーロイ家の娘と魔人ゴーレムに遭遇してしまいました。理由があって冷と私は別行動になり、ナーべマルはゴーレムとの戦いになった。そこにラジッチも来たようです。シャーロイ家はなぜかゴーレムと結託していて騎士団を滅ぼすつもりでした。ナーべマル、ラジッチ、騎士団が滅ぼされる直前に冷が合流して、騎士団を守りました。冷の活躍でシャーロイ家の娘と魔族のギャンを確保しました。ただし魔人ゴーレムはリリスを連れて去ったとのこと。冷はゴーレムの行方を知るために我々よりも先に王都に向かったはずですが」


「うむ、冷ならもうとっくに来て去って行った……。ガーゴイルと一緒にな」


 国王は非常に悩ましい顔で言った。

 本来ならガーゴイルを自由になどしたくなかったが、いたしかたなかった。


「ええ! ガーゴイルと一緒にですか。僕には全く意味がわかりませんけど!」


 ナーべマルは国王の言ってる意味がわからないのである。

 当然であって、ガーゴイルを開放したらそれこそ問題になるから。

 国王は話しづらいのを悟り軍師コロナが話す。


「国王も冷のわがままに従ったのだが、あれは問題児だよ。冷は国を潰しかねない災いだ。勝手にガーゴイルを連れてゴーレムを探しに行ったきりだ。本当に帰ってくるのか疑問だし、ガーゴイルとゴーレムが組んだら一大事だ」


「僕もそう思いますが、冷は国を滅ぼす考えは無いでしょう。なぜなら興味がないから。何を考えてるのかわからないけど、その心配なら要らないと思います」


 ナーべマルは冷を信頼できる人物と思っていた。

 黙っていたラジッチは薄く笑う。


「ふふ……アイツしいな。ガーゴイルを連れて行くなんてよ。余程のバカ者じゃなきゃしないよな。アイツに任せておけば、何とかなるか」



「……果たしてそうかな……」


 冷を嫌うコロナは頷くことはなかった。

 そこにビジャ姫が、


「コロナ、私も信頼します。冷は絶対にゴーレムを倒してくるでしょう。ガーゴイルは冷に従っていましたから、コントロールしていると考えられます。それよりも今はシャーロイ家の処罰ですよね、お父様」


「うむ、シャーロイ、ルテリだったか、なぜ国に対して武力を使った。これは国への反乱と考えていいのか?」


「……お許しをハンマド国王様。魔人ゴーレムと盟約して反乱したのは間違いありません。ゴーレムにそそのかされてしまい、舞い上がっていました。深く反省しています……」


 長女ルテリは深く頭を下げる。

 反省しているルテリに魔術士ラインがくってかかる。

 

「バカ者か、謝ってすむか、許されるレベルじゃない。こうなったら、お前の親も呼ぶべきで、一緒に処刑にすべき重大な自己だよ」


「今回の一件は全て私の責任です。どうか長女の私にだけ処刑をお願いします」


「一族全員に処刑させましょう、国王?」


 ラインは国王に処刑を促した。

 ラインにはかねてから、シャーロイ家が好きではなかったのもあった。

 いつ裏切るかわからない存在であり、やはり反乱したかとなる。


「とりあえず三人とも牢獄に行かせる。処刑するかは後で決める」


「…………」


 三人とも黙ってしまう。

 処刑は覚悟していたが、実際になると気持ちは沈んでいた。

 

「それと魔族のギャンも牢獄に行かせる」


「ゴーレム様が助けに来てくれるのを待ってます」


 ギャンは三人とは違い、ゆとりがあった。

 ゴーレムが冷に負けるとは考えていなかったからで、直ぐに王都は破壊されると思っていて、牢獄行きも従うことに。


「後は冷が帰ってくるのかを待つしかない。私はきっと帰ってくると思います」


 ビジャ姫だけは冷を信頼していた。

 早く帰ってきてと心から願っていた。


「ビジャ姫、冷に対して信頼し過ぎています。もう少し警戒して欲しいものです。そのうち姫までたぶらかすかもしれません」


 コロナがビジャ姫に忠告とも取れる発言をすると、


「コロナは冷を嫌いなのですね。あなたこそ冷を信頼したら、すでに魔人を三人も倒しているのですから。あなたが倒せるのなら別ですが」


「…………そ、それは……」


 コロナはさすがに黙ってしまって、それ以上は何も言わなくなった。

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