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 冷達は大陸南部のとある町にいて出発し次の町を目指すと、まだ王都までの道のりは長く、いくつもの町を経由、その度に宿泊するのをくりかえす。

 冷は独りで馬車に乗らされて退屈で暇で飽きてきていた。


(ああ、暇だな。こんなに暇なのに何もやる事ないて最悪だ)


 馬車は本当に何もないし、日が暮れて町に着いて少しだけリリス達と会わせてもらえるのが唯一の楽しみとなる。

 

(町についたようだ。早く会いたいんです)


 その日もリリス達のいる宿屋でアレを楽しんでからお休みすると、その日も終わり、繰り返し繰り返すだけの時間が過ぎ、そうしてまた馬車は進んでいた。

 

(王都は遠いなぁ)


 冷が心底思っていたその時に、馬車が止まる。


(あれ、まだ町を出たばかりなのに、もう止まった……)


 なんだろうかと思うも、座って待っていた。

 

(直ぐに出発するだろうな)


 待っていても馬車はそのまま。

 あれ、変だよなと思い、馬車の外を見てみると。


(まさか、また敵が現れたんじゃ!)


 騎士団も外に出て集まっていたのが見え、何やら異変が起きたように冷には見える。


(何かあったな。俺も今回は行かせてもらう。前回は知らされなかったから)


 馬車を降りて冷は騎士団に向かい話をきいてみる。


「あの〜、騎士団さん、大勢集まってどうかしましたか?」


「れ、れ、冷さん。あなたは馬車に居てください。お願いします。そうナニさんに言われてますから」


「馬車に戻ってもいいけど、また前みたいに魔族が襲ってきたのではと思ってさ」


「い、いいえ、魔族ではありません。魔族でしたらもっと慌てていますし。ただ困ったことになりましたのは同じです」


「困ったこととは。俺にも教えて欲しい。力になれるかもでしょ」


 魔族ではないと知り安心はした。


(ゴーレムでなければ問題はないだろう)


 騎士団達はお互いに顔を合わせて、相談を始め、ナニの許可なく冷に教えて問題ないかどうかを。

 後でナニに怒られるのではと相談、だけど内容的には魔族ではないので教えることに問題ないとした。


「……えっと、冷さんの知りたい内容はですね、実は馬車が止まったのはある人達が助けを求めてきた為でして、その方とナニさんが今は話し合ってるようです。聞いた者の話では、この近くに住んでいる女性が盗賊にさらわれたようでして、この馬車は騎士団の所有物で旗もついてある。その旗を見て助けを求めてきたってわけです」


「なるほど、困ったのはわかりました。ナニも騎士団だし無視するわけにはいかないと」


(女性が盗賊にか、放ってはおけないよな)


「はい、盗賊に襲われているのを助けるのが騎士団の役目でもありますから」


「それなら簡単だろう。俺が手伝ってやるよ。ナニにそう伝えてくれ!」


 盗賊と聞いて俺の出番だとなる。


(盗賊相手なら馬車になど居られない、俺が必要だろうな)


「えっ……冷さんがですか! それはさすがに無理でしょう。たぶんナニさんが行くと思います。それにナーべマルさんまでいるし」


「その盗賊がもしゴーレム達だったら、どうする?」


「そ、それは、ヤバイですね……」


「そうだろ、俺が直接ナニに会って言ってやる!」


「!! それは」


 騎士団は冷の積極的な態度にたじろいでしまうと、結局は止められずナニのところへ向かう。

 相手が盗賊だろうが魔族だろうがどちらにせ冷は体を動かせると張りきる。


(ここのところ体を動かしてないから運動にはなるよな)


 前方で交渉中であるナニの周りには、交渉の相手は数人いて、全員が㊚であった。

 

「話はつまり、女性が3人ほど盗賊に出会い奪われたと。私達は騎士団ですから、放ってはおけません。今すぐに女性の救出に向かいます」


 ナニは㊚達の話真剣に聞いて、引き受けると言うのは、殺されたら大変であるし、治安維持の為にも必要である為、だが気になるのは目的である王都に行くのが遅れるのであるが、それは優先的には仕方ないとした。


「ありがとうございます。まさか騎士団の、あのナニさんと会えるなんて嘘みたいです」


「それで盗賊はどちらの方角に行きましたか?」


 ナニは詳しい行き先などを聞き、向かうと言い安心させたら、ナーべマルもそこへ来て同じく話しを聞くと、


「僕も一緒に行こう」


「いや待ってくれナーべマル。君と私が一緒に行ったらここが手薄になるだろ。もし私達が居なくて魔族が攻めてきたら危ない。それは避けたいので別行動としよう」


「僕と別行動にか、それが安全かもね」


「なので私が騎士団を連れて盗賊の対応をする。ナーべマルはここで待機しておいて欲しい」


「僕は構わないよ、君は大丈夫かい。盗賊とはいえ、何者かもわからないし数もわからないのだろう」


「こう見えても騎士団をまとめる立場なのだ。私が行かなくてどうする!」


「それもそうですね。僕はここで馬車を見張っています」


 ナニは盗賊の所へ、ナーべマルが居残ることで、2人は別行動に決まった時に、冷がやって来て、二人とも驚いた様子であった。


「れ、冷、どうやってここに?」


「君の部下に話は聞いたんだ。面倒なことに巻き込まれたようだな」


「冷には関係ない。馬車に戻りなさい!」


 ナニは突然の冷の登場に困ってしまう、理由は盗賊の件は秘密にしておきたかった。


「別に途中でどこかに逃げたりしないさ。盗賊なんだろ相手は、そしたら協力するぜ。ひとりでも協力者がいたほうが助かるだろ」


(俺ってマジで信用されてないな)


「……それはそうであるが」


 そこでナーべマルが困ったナニに、


「僕は冷とは戦ったことがある。戦力にはなるのは言えてる。必ずナニの指示通りに行動するのが条件で連れて行ったら?」


「な、な、なに、ひとごとだと思って!! それに面倒な冷を私に押し付けてないか!!! でも絶対に私の指示通りに行動するならばいいけど」


 ナニは冷に確認させると、


「わかった、ナニの言う通りに従うさ。それでいいぜ俺は。早く行動しないとその女性が危ない。今頃助けを求めてるはず!」


(てか、俺ってこの女の子には人気ないみたいだな。今のやり取りでわかった)


「た、た、助かります! あの冷さんがいてくれた方が盗賊も確実に倒せます!! お願いします冷さん!!!」


 冷が協力すると言って感謝した男達。


「ほら、この人も俺を必要としているぜ。どうするナニさん?」


「わかった。私と一緒に冷は盗賊の件を。そしてナーべマルには、ここは任せたよ。なにせアリエルらがいるからよ、絶対に守ってくれよな」


「うん、僕なら心配ないよ」


 ナーべマルは居残り、ナニと冷が盗賊を追いかけると決まって、冷としては立場的に従う立場だろうが関係なく、なまった体を適当に運動できたらいいという程度の考えであるから。

 騎士団は国の治安維持をするのが仕事であり、魔物と戦うのが主な仕事であるのは変わらず、やはり魔物が国にとって最も危険な存在であるからで、魔物以外にも盗賊という魔物程ではないが、厄介な者がいて、悪さをするのでその対応も仕事の1つである。

 国に住む人々からみて盗賊が出没する地域は安心して暮らせないし、引っ越す人も現れれば、その結果は今の国王の不信任に繋がってしまい、大損となると、国王としてはなるべく早く盗賊を退治したいのがある。

 いないに越したことはない。

 世の中はうまくいかないもので必ず盗賊らしき者は現れるのか常であって、ナニと冷は騎士団も連れて出発し、居残る形のアリエル達にも直ぐに伝わる。


「ねぇミーコ、リリス、どうやら盗賊が出没したらしくてナニと冷が出ていったってさ!」


「物騒なところです。魔族は出るし、盗賊はでるし。冷も行ったそうです」


 ミーコが冷の名を出すとリリスが、


「なに! 冷も。それなら大丈夫だろう。あいつなら殺されることはない。むしろ盗賊が可愛そうなくらいだ。馬鹿な盗賊だぜ!」


「盗賊も運が悪いです。私達はここで待機してましょう。休憩だと思えばいいです」


 アリエル達は馬車で待機する。

 冷のことなど心配など全くしていなかったのは、仲間としてそれはどうなのかだが。

 冷はアリエルらを置いていくのは心配はあって、万が一というのもあるから、でもナーべマルが待機するのなら大丈夫だなと思っていて、全く彼女達から心配されていないと知ったら何と思うだろうか。

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