表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/351

116

116



「冷は知らなかったようね、その感じだと」


「教えてくれアリエル!」


(めっちゃ気になる言い方だよ)


「冷が馬車にいる間にゴーレムの配下の魔族が襲ってきたの」


 真実を嘘なくアリエルは伝えると冷は目を見開いて、


「なんだって!」


(俺は今初めて聞いたぜ!)


「そしてナーべマルとナニと私達で協力して戦った。相手は3人で来ていて、私達が有利に戦ったわ。でも決して勝ったわけじゃなく、急に戦うのを止めてしまいいってしまった。リリスが居たのを知ったからだろう」


「むむ、なぜ俺を呼んでくれない!」


 魔族と聞いて悔しがる。


(魔族なら俺も呼べばもっと楽に戦えたよな)


「騎士団の人は冷を呼んだらダメだと。きっと展開が読めないからだと思うわ。冷が登場するとナーべマルもナニはもコントロール出来ないから。知らせようとしたけどね」


「俺って信用ないみたいだな。それとどんな魔族だったんだ?」


「それが魔族と言っても女性の魔族でした。3人とも。体格は良いし、鍛えられてる感じしたかな。まぁ冷の好みなのかはわからないけど、敵の魔族だしまさか好みってことはないわよね」


「なんだと、女性魔族か。しかもスタイルの良い。もちろん魔族で敵とあれば倒すに決まってるさ」


 てっきり㊚だとばかり思っていたから驚いてしまった。


(ちょっと見てみたかったな)


「スタイルの良いではなくて、体格の良いです!」


「俺にしたら同じだろう」


「どこを見て同じなんですか」


「鍛えられてる体は見ていて気持ちいいのさ」


(また来てくれないかな、その魔族が)


 冷は不謹慎にも会ってみたいと思う。


「それよりリリスが居るのを知ったからにはまたゴーレムが来ちまうだろ」


「そうなるわ。ナーべマルだってわかってるとは思う」


「ゴーレムが来ても俺は怖くないけどな。それより時間の制限があってあと少しの時間しか居られない。わかるよな君たち……」


 冷は魔族の話を聞いてショックを受けた後に、話を別の方へ変えようとした。


(せっかく会えたのだし、時間は限られてる。それにストレスがたまってしょうがないんだよ)


 薄々だがミーコは気づいたようで、


「その言い方には引っかかります。もしかしてアレを……」


 一瞬だけ間をおいて言った。


「その通りだミーコ。こうする!!!」


「まさか……だよね」


 アリエルは嘘だろという顔に。


「この時間でか!!」


 リリスも信じられないといった顔に。

 ミーコとアリエルとリリスは、気づいたら衣服を脱がされていて、


「……いつゴーレムが襲ってくるかわからないのに!」


「問題ない俺にはな!」


 そう言って3人を相手にベッドに直行。

 冷には関係なかった。

 ゴーレムだろうか魔人だろうが、誰だろうと知ったことではない。

 それよりも楽しみたい気持ちが勝っていた。

 いつもなら時間はたっぷりあるが、今日は違うので女神と淫魔と勇者を3人同時に楽しむことに。

 それでも時間の過ぎるのは早い。

 冷が思っていたよりも早く時間切れとなった。

 時間がきたのでナニは部屋に行き冷を連れ出す為、ドアの前に来ていた。

 そして部屋のドアが開けた。

 

「もう時間だ冷、あなたは別の宿屋に行ってもら……な、な、な、ななななななにをしてる!!!」


 ナニは冷を迎えに行くだけだと考えていたのに、部屋の中は予想もしていない展開となった。

 ベッドには冷とアリエルとミーコとリリスが寝ていた。

 それも半裸の状態。

 

「えっと、と、と、と、これは、いつものことでして……」


 ナニに見られて動揺する冷。

 だが言い訳しようにも、この状況を説明しようがない。


(いきなり入ってくるとは俺もびっくりです)

 

「い、い、い、いつもあなたはこんなことを?」


 ナニは赤面してしまい、言葉につまる。

 会いたいというから会わせたのは、色々と話し合うのに必要だと思ったからで、ベッドでこんな痴態をみせられるとは考えてもいなかくて。


「スミマセン、直ぐに着替えて出ますから」


 照れ笑いしながら、謝罪する。


(どう説明したら、いいのだろうかこの場面を)


「早くしてください……よ!」


 ナニは部屋から出て急いでドアを閉めた。

 そして冷が部屋から出てくると、


「急に入ってくるとは思わなくて……」


「わかりましたから、もう行きましょう」


「はい……」


(まいったな、俺は完全に嫌われた感じだよ。俺を見る目が冷たいし)


 確かにナニは冷を冷たい目で見ていた。

 あの僅かな時間で、こんなことを普通するかと思った。

 何を考えてるのかナニは理解できなくなり、やっと国王から聞いていた冷の評価を実感する。

 冷は確かに凄い能力者であるが、何を考えてるのか理解できないところがあると。

 宿屋を紹介して冷とナニは別れる。

 冷としては、ナニが変態的な目で見てきたのを見逃さないでいた。


(俺、恥ずかしいかも)


 案内された宿屋に今日はひとりで寝泊まりが決まって、久しぶりにひとりで寝ることになった。

 

(いつもはあの子達がいてくれたから、寂しいもんだ)


 寂しい気持ちを感じてベッドに横になった。

 一方、ナニはというと宿屋でナーべマルに会ってしまう。

 

「冷は部屋に戻したのでしょ」


「ああ……も、戻したから、だ、大丈夫だ」


「ん……どうしたナニ。いつもと違うように僕には見えるけど」


 ナーべマルには明らかに変に感じた。


「い、いや気のせいだろう。それよりも明日は出発しよう」


「そうだな。早く寝た方がいいよ。僕も早く寝る」


 ナーべマルは何かナニの様子が変だなと思ったが、気にしないようにした。

 ナニは自分の寝床にきて少々問題が起きていた。

 どうにも寝付けないのだ。

 あの冷を見たのが強烈に記憶に残っているからで、忘れようにも忘れられない。

 あの短時間で女の子を3人も相手にしていた。

 女の子は3人ともグッタリとしていて、力尽きているように見えた。

 とても信じられない光景に、ナニは困惑してしまった。

 結局は夜は遅くまで起きて寝るはめになった。




 

 翌朝になってミーコが目が覚めた。

 ベッドには見慣れた光景が広がる。

 アリエルの下着姿とリリスの半裸の状態だった。

 でも冷の姿はなかった。

 そこでリリスを起こした。


「リリス、起きて……」


「んん……もう朝か」


 ミーコに起こされて眠そうに起きるリリス。


「朝です。起きたら冷氏は居ないの」


「約束の時間が確か1時間だったから帰ったのだろう。おい、アリエル、朝だぜ」


 リリスはまだ寝ているアリエルを起こすと、


「あら、もう起きてたの。冷はここには居ない。帰ったようね」


「たぶんね。私も起きたら居なかったから。今日はこの後はまた馬車で移動みたい。王都に着くまで」


「また冷とは会えなくなるのね」


「あらアリエルは冷が居ないとダメなタイプ?」


「ち、違うってば、何ていうか、魔族がまた来たら嫌だなっていう意味」


「私は近くにいて欲しいかな冷氏に……」


「ミーコは冷が好きなの?」


「好きとかよくわからないけど……」


「むむ、ミーコ、冷を独占しようとしてるな。どうするよアリエル、冷を取られるぞ」


「私は別に冷の彼女でもないし、ミーコが好きなら勝手にすれば」


「私だって冷氏の彼女じゃないですよ!」


「ふふふ」


 そこでリリスが笑う。


「何がおかしいのリリス!」


「どちらも変わらないと思って。アリエルは強がってるけど冷が好き。ミーコは好きだけどハッキリ言えない。そうだろ?」


「な、なに、リリスったら、わかった風に!」


「もうこの話題は止めましょう。早く着替えます!」


 そこへナニがアリエル達の部屋に。

 部屋のドアを開けて確認しつつ、

 

「あ、あ、あ、あの、アリエル……起きてますか。出発しますから準備して外に来てください」


「スミマセン、こんな下着姿で……」


「ま、ま、まだ下着姿だった。こちらこそ、スミマセン」


「直ぐに着替えて行きますので」


 ミーコがナニに言うとナニはドアを閉めてしまった。

 ミーコにはナニの様子が変だなと思えた。


「今のナニ、変でした?」


「妙に顔を赤くしていたような気もするが、まぁ私達がこんな姿だからだろう。早く着替えた方がやさそうだ」


 リリスが着替え作業にはいりながら言った。

 部屋を後にしたナニはミーコが言った通りであった。

 実際に顔を赤くしていて、恥ずかしがっていた。

 まさかまだあんな姿だとは思わなかったのもある。

 それで昨晩の冷とのことを思い出してしまったのだった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ