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「冷は知らなかったようね、その感じだと」
「教えてくれアリエル!」
(めっちゃ気になる言い方だよ)
「冷が馬車にいる間にゴーレムの配下の魔族が襲ってきたの」
真実を嘘なくアリエルは伝えると冷は目を見開いて、
「なんだって!」
(俺は今初めて聞いたぜ!)
「そしてナーべマルとナニと私達で協力して戦った。相手は3人で来ていて、私達が有利に戦ったわ。でも決して勝ったわけじゃなく、急に戦うのを止めてしまいいってしまった。リリスが居たのを知ったからだろう」
「むむ、なぜ俺を呼んでくれない!」
魔族と聞いて悔しがる。
(魔族なら俺も呼べばもっと楽に戦えたよな)
「騎士団の人は冷を呼んだらダメだと。きっと展開が読めないからだと思うわ。冷が登場するとナーべマルもナニはもコントロール出来ないから。知らせようとしたけどね」
「俺って信用ないみたいだな。それとどんな魔族だったんだ?」
「それが魔族と言っても女性の魔族でした。3人とも。体格は良いし、鍛えられてる感じしたかな。まぁ冷の好みなのかはわからないけど、敵の魔族だしまさか好みってことはないわよね」
「なんだと、女性魔族か。しかもスタイルの良い。もちろん魔族で敵とあれば倒すに決まってるさ」
てっきり㊚だとばかり思っていたから驚いてしまった。
(ちょっと見てみたかったな)
「スタイルの良いではなくて、体格の良いです!」
「俺にしたら同じだろう」
「どこを見て同じなんですか」
「鍛えられてる体は見ていて気持ちいいのさ」
(また来てくれないかな、その魔族が)
冷は不謹慎にも会ってみたいと思う。
「それよりリリスが居るのを知ったからにはまたゴーレムが来ちまうだろ」
「そうなるわ。ナーべマルだってわかってるとは思う」
「ゴーレムが来ても俺は怖くないけどな。それより時間の制限があってあと少しの時間しか居られない。わかるよな君たち……」
冷は魔族の話を聞いてショックを受けた後に、話を別の方へ変えようとした。
(せっかく会えたのだし、時間は限られてる。それにストレスがたまってしょうがないんだよ)
薄々だがミーコは気づいたようで、
「その言い方には引っかかります。もしかしてアレを……」
一瞬だけ間をおいて言った。
「その通りだミーコ。こうする!!!」
「まさか……だよね」
アリエルは嘘だろという顔に。
「この時間でか!!」
リリスも信じられないといった顔に。
ミーコとアリエルとリリスは、気づいたら衣服を脱がされていて、
「……いつゴーレムが襲ってくるかわからないのに!」
「問題ない俺にはな!」
そう言って3人を相手にベッドに直行。
冷には関係なかった。
ゴーレムだろうか魔人だろうが、誰だろうと知ったことではない。
それよりも楽しみたい気持ちが勝っていた。
いつもなら時間はたっぷりあるが、今日は違うので女神と淫魔と勇者を3人同時に楽しむことに。
それでも時間の過ぎるのは早い。
冷が思っていたよりも早く時間切れとなった。
時間がきたのでナニは部屋に行き冷を連れ出す為、ドアの前に来ていた。
そして部屋のドアが開けた。
「もう時間だ冷、あなたは別の宿屋に行ってもら……な、な、な、ななななななにをしてる!!!」
ナニは冷を迎えに行くだけだと考えていたのに、部屋の中は予想もしていない展開となった。
ベッドには冷とアリエルとミーコとリリスが寝ていた。
それも半裸の状態。
「えっと、と、と、と、これは、いつものことでして……」
ナニに見られて動揺する冷。
だが言い訳しようにも、この状況を説明しようがない。
(いきなり入ってくるとは俺もびっくりです)
「い、い、い、いつもあなたはこんなことを?」
ナニは赤面してしまい、言葉につまる。
会いたいというから会わせたのは、色々と話し合うのに必要だと思ったからで、ベッドでこんな痴態をみせられるとは考えてもいなかくて。
「スミマセン、直ぐに着替えて出ますから」
照れ笑いしながら、謝罪する。
(どう説明したら、いいのだろうかこの場面を)
「早くしてください……よ!」
ナニは部屋から出て急いでドアを閉めた。
そして冷が部屋から出てくると、
「急に入ってくるとは思わなくて……」
「わかりましたから、もう行きましょう」
「はい……」
(まいったな、俺は完全に嫌われた感じだよ。俺を見る目が冷たいし)
確かにナニは冷を冷たい目で見ていた。
あの僅かな時間で、こんなことを普通するかと思った。
何を考えてるのかナニは理解できなくなり、やっと国王から聞いていた冷の評価を実感する。
冷は確かに凄い能力者であるが、何を考えてるのか理解できないところがあると。
宿屋を紹介して冷とナニは別れる。
冷としては、ナニが変態的な目で見てきたのを見逃さないでいた。
(俺、恥ずかしいかも)
案内された宿屋に今日はひとりで寝泊まりが決まって、久しぶりにひとりで寝ることになった。
(いつもはあの子達がいてくれたから、寂しいもんだ)
寂しい気持ちを感じてベッドに横になった。
一方、ナニはというと宿屋でナーべマルに会ってしまう。
「冷は部屋に戻したのでしょ」
「ああ……も、戻したから、だ、大丈夫だ」
「ん……どうしたナニ。いつもと違うように僕には見えるけど」
ナーべマルには明らかに変に感じた。
「い、いや気のせいだろう。それよりも明日は出発しよう」
「そうだな。早く寝た方がいいよ。僕も早く寝る」
ナーべマルは何かナニの様子が変だなと思ったが、気にしないようにした。
ナニは自分の寝床にきて少々問題が起きていた。
どうにも寝付けないのだ。
あの冷を見たのが強烈に記憶に残っているからで、忘れようにも忘れられない。
あの短時間で女の子を3人も相手にしていた。
女の子は3人ともグッタリとしていて、力尽きているように見えた。
とても信じられない光景に、ナニは困惑してしまった。
結局は夜は遅くまで起きて寝るはめになった。
翌朝になってミーコが目が覚めた。
ベッドには見慣れた光景が広がる。
アリエルの下着姿とリリスの半裸の状態だった。
でも冷の姿はなかった。
そこでリリスを起こした。
「リリス、起きて……」
「んん……もう朝か」
ミーコに起こされて眠そうに起きるリリス。
「朝です。起きたら冷氏は居ないの」
「約束の時間が確か1時間だったから帰ったのだろう。おい、アリエル、朝だぜ」
リリスはまだ寝ているアリエルを起こすと、
「あら、もう起きてたの。冷はここには居ない。帰ったようね」
「たぶんね。私も起きたら居なかったから。今日はこの後はまた馬車で移動みたい。王都に着くまで」
「また冷とは会えなくなるのね」
「あらアリエルは冷が居ないとダメなタイプ?」
「ち、違うってば、何ていうか、魔族がまた来たら嫌だなっていう意味」
「私は近くにいて欲しいかな冷氏に……」
「ミーコは冷が好きなの?」
「好きとかよくわからないけど……」
「むむ、ミーコ、冷を独占しようとしてるな。どうするよアリエル、冷を取られるぞ」
「私は別に冷の彼女でもないし、ミーコが好きなら勝手にすれば」
「私だって冷氏の彼女じゃないですよ!」
「ふふふ」
そこでリリスが笑う。
「何がおかしいのリリス!」
「どちらも変わらないと思って。アリエルは強がってるけど冷が好き。ミーコは好きだけどハッキリ言えない。そうだろ?」
「な、なに、リリスったら、わかった風に!」
「もうこの話題は止めましょう。早く着替えます!」
そこへナニがアリエル達の部屋に。
部屋のドアを開けて確認しつつ、
「あ、あ、あ、あの、アリエル……起きてますか。出発しますから準備して外に来てください」
「スミマセン、こんな下着姿で……」
「ま、ま、まだ下着姿だった。こちらこそ、スミマセン」
「直ぐに着替えて行きますので」
ミーコがナニに言うとナニはドアを閉めてしまった。
ミーコにはナニの様子が変だなと思えた。
「今のナニ、変でした?」
「妙に顔を赤くしていたような気もするが、まぁ私達がこんな姿だからだろう。早く着替えた方がやさそうだ」
リリスが着替え作業にはいりながら言った。
部屋を後にしたナニはミーコが言った通りであった。
実際に顔を赤くしていて、恥ずかしがっていた。
まさかまだあんな姿だとは思わなかったのもある。
それで昨晩の冷とのことを思い出してしまったのだった。




