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「エアーシュート!!」
「!!!」
ナニのエアーシュートが連発されてボーガは弓の攻撃が撃てない。
打つ間を与えないからである。
「これでは弓を引けない……。ウザったい攻撃だぜ!」
ボーガはエアーシュートを何とかかわして攻撃のチャンスを伺う。
ナニの方は絶対に時間を与えないようにした。
見るからにヤバそうな弓。
あの弓を撃たれたら不味いとナニは判断した。
「エアーシュート!!」
「ぬぬぬ……」
ナニはエアーシュートで優勢にしつつあるが、だがエアーシュートは遠距離攻撃は出来るものの与えるダメージは低くボーガを倒すには至らない。
そこにシールドが現れて盾でボーガをガードする。
「縦になる。今だ撃て矢を!」
「おお、シールドか。見てろよ、弓と矢を!」
エアーシュートを撃ったがシールドの盾に弾かれてしまう。
「なっ! エアーシュートが防がれた。盾の後ろから弓矢が……来たら」
矢は猛スピードで放たれて、ナニの体に向かってくる。
ナニはとても逃げれる状態ではなく、ピンチとなった。
美しいボディの少女の魔族であるが、攻撃はとても恐ろしい破壊力を持っており、相手を皆殺しにする力があった。
みかけとは全く違い、残酷さが際立つ。
女の子の魔族相手に大苦戦していた最中、馬車の中ではミーコが不安な顔をしていた。
「ねぇ外が騒がしい。何かあったのかな」
「そう言われると馬車は停車して動かない。爆発音みたいなのも聞こえた。何かしら……。リリス、ちょっと見てみてよ外を」
アリエルがリリスに訊いてみると、
「どれ、見てみるか……! あれは、ナーべマルとナニが敵と戦ってるぞ!」
「なんですって!」
「本当だわ、しかも敵は3人いるのにこっちはナーべマルとナニの2人。相手は姿から魔族みたいね。それも女の子の」
アリエルとミーコも外を見て驚く。
「どうするか、あの2人に任せるか。それとも私達も戦いに参加するか」
「冷は……」
「わからない。どこかの馬車にいるはずだけど」
「探しましょう!」
アリエルは馬車を降りて騎士団を見つけて、
「ねぇ、あれは敵なのでしょう。冷を外に出してあげてよ。そうすれば戦いは有利になるでしょ」
「それは出来ません。ナニさんからの言いつけで」
アリエルからの注文を跳ね除ける。
「だってあのままだと2人は勝てるかわからないわよ」
「絶対に冷さんは出すなと。なので冷さんは馬車にいてもらいます。気持は嬉しいですが」
騎士団は断固として冷を開放しようとしない。
もちろん冷が加わればより強力な助っ人になるのは確実だが。
「アリエル、仕方ない、私達の出番よ」
「このまま殺られるよりは戦った方がいい」
アリエルとミーコは戦う気持ちを表すと、リリスは、
「お前たちだけ戦わせはしない。私もいく」
「リリス!」
気持ちは1つになった。
冷はいなくても力を合わせれば、戦力になれると思った。
急いで戦いの地に向かっていき、ナニのピンチの時であった。
リリスがタイミング良くスキルを、
「ディープスピン!!」
ボーガの弓矢とディープスピンが合わさり、弓矢は吹き飛んでいった。
「これは……。リリス、君のスキルかい?」
「そうだよ」
「ありがとう助かったよ」
ナニは突然の加勢に驚いてしまう。
続いてミーコが剣を出して、
「聖剣ヴェルファイア!!」
「ううっ!」
次にミーコがギャンに対して剣を。
スピアと聖剣が合わさり火花が散る。
「君はミーコか。素晴らしい剣だ」
ナーべマルはミーコの剣さばきを見るや、感嘆した。
「協力します!」
ミーコの参戦にギャンは、
「……。新しい騎士団か? またも女の子か、どうしてこんなに女の子ばかりいやがる騎士団だな」
新たにアリエルとミーコとリリスが加わり、戦力は大きく上がった。
ギャンは何度かスピアで応戦した。
しかし数が不利だし、スキルにも手こずっていた。
そこでギャンはシールドに、
「どうもこいつら手強いぜ、どうするよ?」
「……いったんは、引き返すか。素晴らしい情報も得たし」
「情報だと?」
「ああ、アイツらの会話中でリリスとあった。あの中にゴーレム様の探しているリリスがいるのだろう。そうなると冷もいるかもしれない。さすがに冷は手におえない。ゴーレム様に報告をしよう」
「わかった……」
ギャンとボーガはシールドから撤退を求められて受け入れた。
貴重な情報を入手して、このまま戦うのも不利と感じたのもある。
「ここは、帰るとしよう。でもまた来るけどな、その時までお楽しみにな!」
ギャンが去り際に言った。
「そう言って私達が怖くなったのよ!」
アリエルが勝ち誇って言った。
「ありがとうとだけ、言っておく。僕も助けてもらった」
ナーべマルはミーコにお礼を言う。
「いいえ、あのままじっとしていれらなかったの。冷氏は外に出せないて言うから」
「冷は困る。彼は解放したら、今度は僕も危ない。だから冷は出すなと言っおいた。でも君たちが参戦してくるとは思ってなかったけど」
「まぁ冷氏は外に出たら確実に戦ってるわね。それにあなた達も敵となるでしょうから、意味がわからなくなる恐れはあった」
「それを聞いて出さなくて良かった。ただ気になるのは今の敵は魔族だろう。僕も戦ってわかる。そうなるとなぜ魔族がここに来たのかだ。もしかしたらゴーレムの仲間の可能性もあり得る。事実、ゴーレムというフレーズを言ったらしい」
ナーべマルは敵が魔族であり、しかも強力な魔族であったので不思議に感じていた。
「魔族はあまり遭遇しないと」
「しませんね、ましてあのレベルの魔族などそうはいない。それが現れた理由は必ずあると僕は思う。冷から聞いた話だ。ゴーレムがリリスを狙っているとの話。あれが本当なら今の魔族も納得がいく」
「だから言っただろ! 嘘じゃないってよ!」
リリスがナーべマルに怒るようにして言った。
言われたナーべマルはまだ信じられない様子をするしかない。
リリスが淫魔なのかは置いておいて、移動しなければ危険性があるので、
「とにかくここは危険だ。早く君たちは馬車にのってくれ。直ぐに出発とする」
「わかりました」
アリエルとミーコとリリスはまた馬車に戻らされた。
魔族は消えたので、ひと安心したのもある。
後に残ったナーべマルはナニに、
「あの子らの戦いを見たか?」
ナーべマルの指したのはアリエルとリリスとミーコのことであり、ナニもわかった。
「もちろん見たさ。情報では冷はケタ外れの強さとあり、仲間の女の子は普通以下とあった」
「僕もそう聞いていた。だけど持っている素質はピカイチだよ。決して普通以下ではないと思う」
ミーコの剣のさばきが印象的である。
「これは王都に帰ったら訂正しないとな。あの子らの情報を訂正する必要がある。それに魔族の女の子らもね。恐ろしい程に強いとね」
「うん、僕らも馬車に乗ろうか。急いで王都に向かおう」
ナーべマルも馬車に乗りこみ、再び馬車は出発した。
危険な魔族にいつまた遭遇するかもしれないからだ。
ミーコやリリスの戦いのセンスには驚いていたのも事実であった。
普通の冒険者と比べたらまだ荒削りなところもある。
経験を積んでいないのと感じた。
今後は経験を積んでいくと、彼女達のレベルや能力値も上昇する。
ある程度の成長で止まるタイプの冒険者が殆どと言えるが、潜在的にいって、まだ底が見えないように思えたのだった。
どこまで成長するのかと思わせる。
そのへん輪を一瞬だけナーべマルとナニは見たのであった。
一般的な冒険者にはまず見たこともない素質を。
彼女らも知らぬ間に確実にレベルアップしていて、ナニが持っている情報が古くなっていた。
それ程までに著しい成長と言えた。
成長は自分ではわかりづらいもので、本人達は魔族との戦いにも怯えることはなかったのは大きな成長であっても、普通に感じてる。
知らないのは冷ただひとり。
外でバトルがあったことすら知らない。
しかも彼女達の活躍もあったのは見ることすらできなかったのは、残念としかいいようがない。
冷にとっては楽しみの1つであるから。
場所の中で拘束されていて、暇をもてあそぶ。
(いつになったら王都に着くんだろう。長いな)