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 シュナイダー達は部隊を規則的に並べて進んでいて、全く隊列乱さずにであり、そこでひとりが視界に異変を感じた。


「シュナイダー隊長、あそこに見えるのは何でしょうか?」


 見えたのは人影にも思えて報告をし、様子を伺った。


「……何かいるのか。3人……」


「3人、こっちに向かっています。敵です!」


「まだピルトからはそうとう離れてるぞ。それなのにもう探知されたか。全員攻撃体勢に入れ。あの3人を倒せ!」


 シュナイダー隊長は敵と分かると迅速に隊を編成し、敵からの防御に備える。


「はい!」


 シュナイダーの部隊は迫りくる敵を発見し、こちらからも攻撃をしかけて、まず1つの部隊が先陣で前に進んだ。

 騎士団に対するのは魔族であるシールド。

 シールドの武器は大型の盾であって、盾を武器に進んでいき、迫り来る部隊を盾でなぎ払って、騎士団は悲鳴を上げる。


「うわぁ!!」


「盾は攻撃も出来るんだぜ!」


「なんだ、女の子なのに……こんな大きな盾を振り回せるなんて!!」


「死ね!」


 シールドの盾の前にことごとく潰されてしまった騎士団の前線部隊を見て、後続の部隊は怯えるしかなかった。

 さらに次に魔族ギャンが攻撃にうつり、ギャンは長大なスピアを持っていて、そのスピアを軽々と伸ばして部隊の真ん中に突っ込んでいくと。


「こんなスピア、見たことない……」


 受け身しかできない部隊は流血しながら倒れていく仲間をぼう然と見ていた。


「私にしか操れねえだろうな」


 スピアはまるで人間を串刺しにでもするような勢いで殺しまくって、ギャンは楽しそうに人族を殺しまくった。

 久しぶりに殺せるのを待ちわびていたからであり、その戦いぶりをみてシュナイダー隊長は恐怖した。


「俺の部隊が、たったの2人に壊滅させられた……しかもあんな女の子にだと。嘘だよな」


 わずか数分の出来事であった。

 たったの3人の女の子にかんぷなきまでにされて、残りはシュナイダーだけになるまで。

 悪夢を見ているようであった。


「ボーガよ最後の大将はお前にやらせてやるよ」


「グフフ、ありがとよ」


 ギャンが仲間のボーガに言った。

 ボーガはシュナイダーと対して、大型の弓を引いて、シュナイダーはあんな巨大な弓を引けるわけないと思っていたが、そこに弓が真っ直ぐに飛んできてシュナイダーを簡単に貫いた。

 騎士団のいち部隊は相手にならない程に力の差があった。

 圧倒的に騎士団よりも格上であり、逆にやり甲斐のなさを感じる。


「騎士団でこの程度かよ」


「他にも騎士団が集まるそうだ。近くに来てるのならその騎士団も全部潰してやろう」


「そうだな、まだ楽しめてないんでな」


 ボーガはシュナイダーから弓を引き抜きサヤにしまった。

 シールドとギャンとボーガは無傷のまま、次の騎士団を探した。

 軽い準備運動に近い戦いで、魔族の強さをまざまざとみせつけた。

 次の相手はどんな奴かと探していく。






 ナーべマル達は冷を厳重に鎖で手をかせて不自由にしていて、もちろんリリスたちが捕らわれてるからであり、冷としては仕方なく従うのだった。

 馬車も別々の馬車に乗せられて、顔も見ることが出来なくした。

 作戦は上手くいったがナーべマルには不安もあって、


「冷をこのまま騎士団に入団させても君がコントロール出来るのかよ冷を?」


「さぁね、するしかないだろう。上からの命令でここに来たのだ。なぜ私なのか知らないけど」


 ナニは国王からの命じられた使命に応えただけと。

 今後のことは考えていない。


「それはナニは信頼がおけたからだよ。僕からみてもナニが信頼されていると思えるし」


「ナーべマルはどちらかと言うと、自由行動するから頼りたくても頼れないんだよ」


「そうかな」


 ナーべマルとナニが話しているのがアリエルの耳に入っていて、アリエルはミーコとリリスで逃げないように見張られ、今の現状を後悔していて、


「私達のせいで冷はこうなった。もっと私達がしっかりしてれば」


「アリエルのせいではないよ。騎士団は数も多いしまさか町の人々に変装してると思わなかった」


「冷は騎士団に入団したら私も入団します。離ればなれは嫌だから」


「私もアリエルと同じく騎士団になります」

 

 ミーコも同じ道を選んでもいいと誓う。


「なんだよ、アリエルとミーコは騎士団に決定かよ。そんなら私も入団する。またひとりになるのはゴメンだしゴーレムに狙われるし」


 アリエルとミーコが入団すると言うと、リリスも入団といいだした。


「じゃあ話は決まったね」


 お互いに一緒にいたいという気持ちが強く影響していても、冷はそんな風に思われてるのも知らずに馬車で退屈していた。


(あ〜あ、移動はつまらねえなあ。アリエル達は大丈夫かな)


 移動していても面白くない冷は退屈でしかない。

 しかしその退屈も直ぐに終わることになった。

 馬車はゆったりと走っていたのだが突然に轟音が聞こえて急停車した。

 中に居たナーべマルは何事かと馬車の外に出る。

 すると1台の馬車が敵の攻撃を受けて破壊されていたのだった。

 騎士団の者がナーべマルに伝えにきて、


「ナーべマルさん、敵、敵の襲撃を受けました!」


「なんだって! どこにいるのかな敵は?」


 ナーべマルは突然の異変に緊張感を高める。


「すでに先頭の馬車とぶつかっておりますが……魔族でしょうか」


「魔族か……。ナニと僕は戦うから残りの馬車を避難させろ」


 万が一のことを考えて自分が戦う体勢を整える。


「はい!」


 明らかに異常な音にナニも馬車から降りてきて、


「敵は?」


「先頭の方向だよ。魔族らしい」


 ナーべマルが魔族と言うとナニはゴーレムを連想して、


「まさかゴーレムでは……」


「その可能性もあるね。リリスを追って来てるのかもな。僕は戦うけど」


「とりあえず戦うしかないな」


 ナニとナーべマルは先頭馬車に向かって走った。

 情報通りに先頭馬車を攻撃したのは魔族であり、ゴーレムの部下の3人。

 シュナイダーを潰してそのまま進むとこの部隊に遭遇したわけだ。

 ナニは驚く。

 

「たった3人か敵は……」


 驚いたのはたったの3人しかいないことである。

 おまけに女の子にしかみえない。

 それでもこの被害かと相手の実力が伺いしれた。


「僕から見ても、ハンパないようだけど強さが」


 ナーべマルとナニは3人の女の子魔族を見てかなりの強さと見抜いた。

 そのままナーべマルとナニに向かってきて、


「お前たち女2人で魔族と戦うと?」


 ボーガが笑いながら言ったらナニは、


「女の子だと思ってると痛い目に合うわよあなた達も女の子魔族かしら?」


「ほほう、それなら戦ってみますか。言っておくが魔人ゴーレム様の配下の魔族。ゴーレム様が動けば騎士団など怖くない!」


 最も恐れていた名前が口から出てきてナニは何のためらいもなく、


「ゴーレム……。私は騎士団のナニ。名前は聞いたことあるかな。エアーシュート!」


 風属性のスキルを放つとボーガに一直線に向かう。


「むっ!」


 ナニは挨拶がわりにエアーシュートを放つ。

 ゴーレムと聞いて逃げるわけにはいかなくなる。

 エアーシュートの1発がボーガの体をかすめると、


「おお、危ねえな姉ちゃん。コイツらはさっきのとは違うようだぜ。楽しめそうだなギャン」


「ああ、楽しめそうだぜ」


 ギャンもスピアを笑みを浮かべて構える。

 蹴散らした騎士団は弱すぎたからで、ナニのスキルを見てかなりの使い手であるとわかり、喜びの笑みであった。

 スピアをナーべマルに向かって突き進む。

 ナーべマルはスピアをとても防御できるとは思えず、横に逃げる。

 スピアはナーべマルの後ろの馬車を粉砕してしまい、


「すげぇスピアだな。当たったら死ぬね僕」


「今ので死ぬのが普通」


 ギャンはナーべマルに対して、一般の騎士団とは違うと感じる。

 今の一撃で死ななかったのを褒めてもいた。

 さすがにナーべマルもスキルを使わずには戦えないので、


「僕もスキル使う。フラワースパーク!」


「!!」


 ギャンはナーべマルから突然に発生された電気でスピアを受けてしまう。

 その為、大量の電気を受けてしまった。

 かなりの痺れがギャンに襲いかかった。


「言っておくけど、僕のは電気だから」


「……ちくしょう、痺れるな……」


 ギャンはフラワースパークでかなりのダメージを負ってしまった。

 それでも即死してないのがナーべマルには不思議であって、確実に殺した手応えがあったのに、スキルを使っても倒せるかわからないとギャンの強さを感じた。

 国王のいる王都まではかなりの距離がある。

 そこまでの間で敵の襲来を予感していなくはなかったが、ゴーレム以外でもこの強さには正直にいって戸惑う。

 もしここにゴーレムが来たらと考えてしまうナーべマルは、額から汗を流してしまう。

 ナニを見るとボーガと戦い苦戦しているのを知り、王都まで帰れるかなと思えてしまう。

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