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 ゴーレムは冷達の前から去っていったけども、追いかけることはしなかった。

 リリスも無事であるし、追いかけて戦うには強い相手であると実感したのもあった。



グランドシェイカーを覚えました


ライトブラストを覚えました


 

「リリス!! 無事で良かったわ!」


 アリエルがリリスに抱きついて喜ぶとリリスは、


「ちょっと気持ち悪いんだがアリエル……」


 あまり嬉しそうにはしていないが、助けにきてくれたのは正直に嬉しかった。


「なぜゆえに、リリスの所に魔人ゴーレムが来たのかな。誘拐しにきたとか?」


「俺も不思議に思ってた。リリスを仲間にとか言ってたぜ。よく意味がわからないこと言ってた」


(魔人がリリスをさらうとは。今後は要注意だな)


 冷も不思議に思っていたらリリスは言いづらそうにして、


「ゴーレムは言ってた。私は淫魔族の末裔、冒険者などしないで魔族側に来いと。その血が流れていると。もちろん拒否したわ。そんなのゴメンよって」


「なぜリリスが淫魔だと知っていたのかしら。きっと淫魔だという情報を得ていたのかも、そしてリリスが単独行動したのを気にさらいに来た。危ないところだったわね」


「ミーコの言うとおりだとしたら、大変な事態。もう単独行動は禁止しなくては。今後は禁止でいいだろ?」


(危ないところであったな。しっかり監視しなくちゃ)


「わかったわ。別に単独行動はしたくてしたわけじゃないから、問題ないぞ」


 リリスは冷の指示を問題ないというとミーコは、


「でもスキルの件で怒って……それで単独行動になったはずでは……」


「ああ、それなら気にしてないさ。単に訓練をサボれるかなって……」 


 リリスは正直に理由を言うとアリエルが、


「あんたね……こっちは心配しただからね!!」


「知らねえって、勝手に勘違いしたんだろアリエルがさ!」


 あっけなくケンカが始まったので冷は鎮めることに、


「わかった、わかった。それではネイルも心配してるだろうから宿屋に帰ろうか」


(復帰したらもうこのケンカか。まぁケンカも仲がいい証拠なのだと思いたい)


「宿屋に戻りましょう」


「ネイルも心配してるからな」


 冷の言ったように、宿屋ではネイルはリリスの安否を心配していて、落ち着かなかった。

 宿屋に戻るとネイルは、


「リリス!!!」


「なんだよネイル、抱きつくなよ!」


「あはは、いいじゃないか、ネイルが安心したからだよ」


 ネイルはリリスを見るや、走ってきてリリスに抱きつく。

 毛がふさふさしているのでリリスは、くすぐったいとなる。

 それを横で見ていたアリエルはリリスのことを考慮して、

 

「新たな魔人が現れて、これからどうしましょうか。ここの町に居るのはバレてるわけで、別の町に引っ越しするのもありかなと……」


「確かにここに居ると危ないのはある。宿屋に居るのもわかってるだろう。そうなると夜も危ないな。まぁ俺が一緒なら大丈夫だが」


(けどゴーレムのスキルは強力だつたな。スキルストレージに新しいゴーレムのスキルを獲得したようだ。後で試してみたい)


「冷氏、失礼ながらゴーレムとの戦いを拝見させてもらいました。かなり手こずっている様にみえましたが、ていうか、負けそうになっていたのでは?」


 ミーコが見たままを説明すると冷は、


「おいおい、それは違うぜ。俺は負けそうになってない、現にゴーレムは退散したじゃないか。俺の強さを知って逃げたに違いないさ」


(完全に決着したわけではなかった。なぜ最後まで戦わなかったんだ)


「それなら良いですが、ゴーレムはまた来る風な言い残しをしていたから心配なのです。やはり淫魔というネームはとても価値のある名前なのでしょう」


 淫魔を褒められてリリスは、


「そう言われると照れるよな」


「照れてる場合かよリリス! あなたのことなのよ」


「安心せよアリエル! 淫魔に誓ってこのパーティから抜けることは断じてない!」


 リリスが言いきるとアリエルは、


「それを聞いて女神的にもとっても安心しました。今後も訓練には出席は確定したってことだもんね!」


 アリエルの誘導するような会話にリリスは、


「てっ!!!! アリエルっ、それはズルいぞ!」


「ズルくないわよね、冷?」


「ああ、俺もハッキリと聞いたぜ。リリス本人からパーティは抜けないと。要するに訓練には絶対に参加するとな!!」


(以後は必ず訓練に参加してもらおう。ズル休みはダメ)


「うーーーん、汚いぞ!」


「はい、決定しました!」


 自分でパーティを抜けないと宣言したリリスは思わぬ失態となってしまい、訓練の強制参加が決定してしまい悔しがる。



 

 ゴーレムがマチに来たのを知らなかったピルトの町の人々は、ゴーレムのスキルであるグランドシェイカーによる大揺れに地震に大慌てとなっていた。

 巨大地震が到来して町の家屋が崩壊したり、ひび割れも起きた。

 人々は不安になり怯えていた。

 冷は今後のことを考えて移動することにした。


「みんな、さっきも話が出たけど、ここは危険もあるので別の町に移動しようか」


(すでに居場所はバレてるだろう。しばらくは移動しておくのも手だな。俺だけならいいが、彼女達の身の安全もある)


「はい、それが今は有効だと思う」


「冒険者ギルドには、言っておいてもいいかもよ」


「うん、ユズハさんも心配させたくないからな」


 話がまとまった時にネイルが冷に、


「ご主人様、私も一緒ですよね」


「もちろん一緒だよ、でもネイルにはもっと安全にしておくからな」


「と、いいますと」


「ネイルを危ない目に合わせたくはない。だから俺達と一緒では危険だ」


「では、どうしましょう」


「それならギルドに相談したらどう?」


 アリエルが提案したのはギルドのユズハにお願いしますということ。


「ユズハさんなら相談にのってくれそうだな」


(ギルドでネイルを預かってもらうのが安全かもな)


 とネイルに言うとネイルは冷にガッツリと抱き合ってきた。


(あはは……ネイルは可愛いよな)


 冷の決断に全員一致で賛成して宿屋を出る。

 エクセリア店員には心配かけないように、理由を言って留守にすると伝えておく。

 そのまま冒険者ギルドに行くと、ユズハ店員が出迎えネイルを見て、


「こんにちは冷さん、あら、珍しい方も一緒ですね」


「ネイルと言います。よろしくね」


「よろしくお願いします」


 ネイルはペコリと頭を下げて挨拶した。


「今日はある理由があって別の町に行くことになったので、それを伝えに来たのです」


(ユズハさんに少しでも会えないと寂しいなぁ)


「ええ! 町を離れると……。ちょっと悲しいですが、冒険者には旅は付き物です。冷さん達の成長に期待しておりますので、お気をつけて下さい」


 ユズハ店員はやや残念そうにしたが、止めることはせずに送り出すのだった。


「あと、相談なんだけど、このネイルを預かってもらえないかな?」


「えっ、ネイルさんをですか。事情はわかりませんがネイルさんを預かるのは問題ありませんよ」


 ユズハは何かしらの理由があるのだろうからと思いネイルの件を承諾する。

 ネイルは笑顔になって、


「お願いしますユズハさん」


 ネイルはギルド側で安全に守ってもらえることになった。

 冷としてもひとまず安心といえた。


「また必ず戻って来ますから。ネイルも待っててくれな」


「はい、ご主人様!」


「その時を待ってます。何しろ町は大地震が起きて危機となってますから」


「ああ、それなら俺が悪い。あの地震は俺が魔人のゴーレムって奴と戦ってしまって、ゴーレムがスキルを使ったのが原因だ。申し訳ないです」


(あれ、まだ俺がゴーレムと戦ったのを知らないのかな)


 冷はそんなに大事になっていると知らなかったので、素直に謝るが、ユズハ店員の顔には驚きが、


「な、な、な、な、なんて言いましか今、私には魔人ゴーレムと聞こえましたが、聞き間違いですよね?」


「魔人ゴーレムです」


 即答した。


(あれ、言わないほうが良かったとか)


「ええっ!! なんですって! あ、あ、あの中級魔人が町に来ていたと言うのですか。それは地震よりも大問題ですよ。なぜ町に来たのか知りませんが、大問題です。直ぐに王都のギルドに報告します!」


 ユズハ店員は顔面が蒼白となっているが、落ち着いて自分のやるべき仕事を考えて、王都の冒険者ギルドに報告する手はずとした。

 中級魔人が現れたのだから報告は当然であり、最悪は応援を依頼することになる。

 そこまでユズハ店員が驚くとは思っていなかった冷は、


「そうですか……、もっと早く言っておけば良かったのかな」


「言ってください! 相手は中級魔人ですよ! 普通は言いいますよ!」


「すみません」


「お願いしますから、魔人と会ったら報告して!」


「わかりました。報告します」


「なぜ、ゴーレムが……。嫌な予感します。冷さんはどうしてこんなに頻繁に中級魔人と遭遇するのですかね。あまりにも多過ぎます」


「俺も多過ぎだと思う。減らして欲しい」


(減らしてくれと言いたいが、誰に言ったらいいのですかね)


 言わなくても良かったかなと反省する。

 だがユズハ店員に言ったのは取り消せないので、やはり移動するのがベストだと思う。


(余計なこと俺は言ったかな……)


 しかしもうすでに遅かった。

 話が聞こえた周りの冒険者達の顔色。

 青ざめていた。

 顔面蒼白と言えばいいだろう。

 震えていて言葉も出ない。

 またも魔人がとなる。

 来すぎだろと。

 何人魔人がくれば気が済むんだと思った。

 何か後味が悪いが冷達は、ピルトの町を離れて別の町に移動するのだった。

 

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