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 宿屋を出て朝の訓練を行う。

 訓練は近くの空き地であるが、元気なのは冷だけであった。

 朝から訓練など無理なのは昨日のお楽しみが原因であろう。

 早速、アリエルから不満が飛び出て、


「こんな早くから訓練なんて必要かしら。まだ眠いのよね、誰かさんのせいで……」


「そう言うなアリエル。どんな時にも魔物は襲ってくるのだ。元気な時にだけ魔物が来ると思ったら大間違い。どんな時にも戦える準備がいるのだよわかるかな」


 最もな意見を言う。

 だが彼女達には伝わらない。

 説得力がないのが原因であった。


(こうしてる間にも魔人が来ることもあり得るしな)


 眠い目をしてアリエルが、


「はいはい、その考えはわかりました。冷と私達は違うとだけは覚えておいてってことよ!」


 アリエルは朝から不機嫌である。

 昨夜の疲れもあった。

 ミーコがアリエルに口を挟むと、


「あら1番楽しんでいるように見えましたが?」


「ミーコ! ど、どこがですか! 私のどこが楽しんでると?」


 アリエルは必死に否定するもミーコにはわかっていた。


「そう見えましたが。女神もああなると神族も人族もわからないなあと」


「はあ? やめなさい、神族を馬鹿にするのは。神族とは人族よりも上の立場。そんな言い方は認めませんことよ」


 ミーコに対して説教する。

 偉そうにするとリリスが、


「て言うか、人族よりも下だろう。女神っていうか、女猫だなありぁ」


 リリスは同等どころか下に見ていた。


「リリスさんねえ……いい加減に

しなさいよ!」


「まあまあ落ち着けアリエル。確かに昨日のアリエルは1番可愛かったぞ。それは俺が認める。これからもよろしくな」


 (ミーコの言うことも一理あるよな。何しろあんな風にされたら……)


 冷は喜びを素直に現して言ったのだが、アリエルには逆効果となった。


「もう!! 冷ったら、馬鹿!!」


 余計なひと言に怒り出したアリエル。

 冷にはなぜだかわからないのだった。

 会話が無駄に思えたミーコは、


「アリエルは放っておいて訓練してください。クエストと魔族を倒している間にレベルが上がってました」


「ほうっ、ミーコはレベルが上がったか。それは嬉しいニュースだ。俺にとって1番嬉しいのは君たちが強くなることだから」


 初心者のころと比べて彼女達のレベルは上昇しており、全てのステータスも上昇していた。

 魔族とも戦えたのはそれが大きく貢献していた。

 普通の女の子の冒険者とは違う点があり、どんなに早くてもランク6に来るのが格別に早かった。

 冷の場合は異常であるが、彼女達も相当に早い。

 冷が早すぎて遅く感じてしまうからである。

 

(やはり俺の直感は正しかった。彼女達のレベルの上がり方は相当に早いぞ。もうここまで強くなるとは思ったよりも早いのが俺の正直な感想だ。たくましくて何よりであろう。それならばスキルも覚えているかもな)


 冷はスキルを覚えたかが気になっている。


「ミーコよ、レベルが上がったと言ったよな。レベルが上がってるならば新しいスキルを覚えているのでは?」


「はい、今、確認したら覚えていました。嬉しいです」


「どんなスキルかわかるのかい?」


(大変に興味がある)


「ムーンスライドというスキル。残像をつくれるスキルらしい。残像っていうから戦闘中に私が2人や3人に見えるのかな」


「残像が作れたら魔物からの攻撃もヒットされにくくなるだろ、凄えスキルじゃんかよ」 


 リリスは珍しくミーコを褒めた。


「ラッキーです」


 褒められて笑顔になる。


「ミーコは君たちの中で最も素早さがあるだろ、素早さのステータスが関係してるのかもな。残像を作りつつ相手に攻撃できたらかなり有利に戦えるぜ。まぁそれにはスキルが実践で使えるのが条件だ。スキルは使いこなせないなら持ってないのと同じであるから、今日からムーンスライドも特訓しておこう」


 冷はミーコのスキルを熟練させる訓練を思案する。


(残像をつくるなら対戦相手が居たほうが効果的だよな)


 ミーコには今後は、対人訓練を考える。

 スキルの習得には普通は時間お経験が必要とする。

 即時に使えるのは冷だけの特別であった。

 嬉しいニュースはミーコのスキルだけではなかった。

 アリエルが冷を向いてにこやかにして、


「ふふふ」


「なんだアリエル、ヤケにニヤけてるじゃないか。アリエルがそんな風にニヤけてるのはなぜ?」


(どうしたんだ。何か考えがあるかのようだが)


「ふふ、決まっていてるでしょ冷」


 冷の疑問はアリエルがこのタイミングでニヤけてることだった。

 ここでニヤける理由を考えた。


(ミーコのスキルについて話し合っていた時だからなぁ……)


 答えはひとつに行き着く。


「まさかアリエル、君もスキルを覚えたと?」


「あははははは、正解」


 なぜか勝ち誇るアリエル。

 アリエルも魔族との戦いで大きな経験値を取得していて、レベルアップしていた。

 女神のレベルアップにもスキル習得があった。


「やったねアリエル!」


 ミーコも同じタイミングでのスキル習得を喜んで、アリエルと手をタッチする。

 この時ばかりは仲良くなっていた。

 いつもはここまで仲は良くない。

 

「教えてあげよう冷。新スキルを」


「おお、頼む教えてくれ」


(強気な態度からして期待できそうだ)


 冷はアリエルの次の言葉を待つ。

 しかし待っていたのにアリエルは期待を裏切る言葉で、


「教えて欲しいか?」


 言おうとして中々言わないでいるアリエルは、スキルの詳細をもったいぶると、冷はじれったくなり、早く教えて欲しいと願う。


「欲しい」


(おい、あんまりじらすなよな!)


「ならば教えくださいアリエル様と言ったらお教えしよう」


 なぜかアリエルは冷よりも自分が立場が上だとしたいようだ。


「なぜ……ですか」


 冷としては意味がわからないし、早く知りたいのだが、アリエルの態度をみると指示に従った方がいいのかなとも思う。


(まったくいい正確してるよな!)


「教えて欲しいんでしょ……冷」


「ああ、教えて欲しいですアリエルさん……」


(なぜ俺が……)


 冷は仕方ないなという感じでアリエルにお願いすると、アリエルはニコッと笑顔を作り話を続ける。


「そう、教えて欲しいのね、じゃあ教えるは。女神としの新スキルは……光の壁!」


「光の壁! 名前からすると防御系のスキルと予想するが。俺のスキルストレージには水の壁つてのがあるし、どうなんだ」


「防御系のスキルで正解。体の防御力が一時的にアップするものよ。女神の体に傷はあってはならないとするなら必要なスキルでしょう」


 防御力は元々がまだ低いのであるから、防御力アップはアリエルにとって重要なスキルと言えよう。


「ミーコの残像に、アリエルの壁スキルか。これはいい感じで成長ができそうだな」


 冷はアリエルのスキルにも大いに期待出来ると確信し、訓練のしがいがあるとなった。


(無いよりはあったほうがいいに決まってる)

 

 ミーコはアリエルからリリスに向いて、


「私には新スキルが、アリエルもスキルがあった。となると残りはリリスはどんなスキルですか、、とても気になる?」


 ミーコはリリスにも新スキルがあると思い、促したのだった。

 この流れだとリリスにも新スキルがあると思うのだが、


「……な、ない」


「えっと……今なんて言ったのかなリリスさん?」


 よく聞こえなかったミーコはリリスに訊き返した。

 

「……ない! 新スキルなど無いっていってるのだ、悪いかミーコ」


 2人にはあって自分には無いのが納得いかないが、ないのだから仕方ない。

 そう都合よく増える物ではないからであるとしても、リリスには納得いかないので、話が自分に振られるのを恐れていたところに、ミーコが振ってきたわけである。


「えっと……無いのですか。私とアリエルにあって、リリスには無いと?」


「しつこいぞミーコ! はっきり言う。無いものは無い! お前らだけで訓練したらいい。私は今日は訓練はお休みだ!」


「待って!」


「うるさい!」


「ああ〜行っちゃった」


 自分にだけないのをひがんだリリスは、勝手に宿屋に向かって歩いて行ったのであったが、ミーコとアリエルには、どうしてそこまで怒るのかわからないでいた。

 ミーコは申しわけなさそうに、


「冷氏、リリスは帰ってしまいましたが、訓練はどうしますか?」


「もちろんするに決まってる。リリスが帰ってしまったのはミーコが言い過ぎたんだよ」


「わ、私が言い過ぎたと。そうかしら」


 そんなに悪気は無かったので、全く反省の色はないミーコ。


「まぁ後で謝ればいいだけよ。ああ見えて結構傷つきやすいタイプな女の子なのよね。それはミーコもわかるでしょ」


「アリエルの言ってること全くわかりませんが」


「……ダメだなミーコは鈍感だから。冷、訓練しましょう」


「ああ、その方が良さそうだな」


 冷もアリエルの意見に同意見であり、ミーコがとても鈍感なのだとわかった。


(リリスなしで訓練としよう)


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