表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/351

100

100


 外から部屋の中を監視から見られてるとは知らずに朝を迎える。

 冷は気持ちの良い朝を、彼女達はとても疲れて起きれる者はいなかった。


「まだまだだな〜」


(君たちは体力がまた足りないようだな。そういえばまだ試していないスキルがあった。ガーゴイルの翼ての。よくわからないので使用しなかった。ちょっと試したい。この子達はまだ寝てるだろうから、暇だし)


 彼女達のお休み中に起きて外に出る。

 外は気持ちのいい朝。

 スキルストレージからガーゴイルの翼を選択した。

 ウインドキルは体毛を武器にした。

 

(いったいどんなスキルかな。戦ってる最中にはこのスキルは使ったのかな。特に使った風には思えないが)


 冷にはガーゴイルの翼がどんなスキルかは判明していなかった。

 そして発動させてみると、


「ガーゴイルの翼…………えっっ!!」


 冷がスキルを使用したら思いもしない展開になった。

 なんと両手が翼に変化していく。

 

「なんだこれは!」


(俺の両手が翼になったぞ。これは翼を使って飛べるてことか!)


 翼が生まれたとなると空中に飛べるとなる。

 冷は驚いてしまう。

 しかもそれだけではなかった。


「えっっ!! 足が!」


(足が尾翼の様な形に変化したぞ!)


 両手の次は両足が変化。

 姿は鳥の様な形に変化した。

 そこで空中に飛べるかを考えてみる。


(これなら飛べるのでは、よし試してみよう)


 両手を鳥がするように上下に動かしてみた。

 すると冷の体が空中に舞った。

 

(おお、飛べた!)


 あっという間に家屋よりも高く飛んでいく。


(鳥になったみたいだ)


 コツを掴んだ冷はスピードを出して飛行した。

 高速の速さである。

 鳥の速度を超えていく。


(速い! とても便利だ)


 ピルトの町の上空を旋回して町を見渡した。

 そこからいっきに地平線へ向けて飛行する。

 高速ともよべる速度で飛行。

 あっという間にピルトの町は見えなくなる。


(すげぇスキルだ。これがガーゴイルの翼か。凄いスキルを手にしたもんだ)


 スキルストレージを持つのでガーゴイルから獲得したスキル。

 戦ってる最中に飛行していたのがこのスキルであった。

 まず普通の者には使えるスキルではない。

 冷だけは特別であろう。

 おそらくは人族では冷しか使えないスキルとなろう。

 どこまでも飛行する冷はまるで鳥になったように飛行した。

 飛行したまま旋回。

 再びピルトの町に帰還する。

 宿屋に到着。

 窓を叩いてみる。

 彼女達が起きてるかどうか。


「お〜い、起きてるか?」


(俺の姿を見たらきっと驚いてしまうだろうな)


 宿屋のなかではミーコが起きていた。

 そして窓が叩かれる音がしたので窓際にいく。

 窓を開けてみると、


「!!!!!」


 窓の向こうには冷がいた。

 目が合った。

 

「やぁ、おはよう〜ミーコ!」


 冷は翼を動かして挨拶。

 両手が翼なので。


(両手がこの状態じゃ手は振れないです)


 いきなり大きな鳥がいたら驚いてしまった。


「きゃあ! 鳥が!」


「鳥じゃないよミーコ」


 落ち着くように言う冷。


(ごく自然に鳥だと思われたか)


 ミーコと呼ばれて直ぐに冷だと気づく。

 しかしここは1階ではなかった。

 手は無く翼にしか見えないので、


「あの〜冷氏ですよね、その翼みたいなのはどうなさったの?」


「これはガーゴイルの翼っていう新しいスキル。試してみたら飛行出来たのさ」


「なんだ、そういうことでしたか驚きました」


 スキルと聞いてちょっと安心する。

 そこにアリエルとリリスも顔を出す。

 リリスは冷を見て、


「ついにお前は人族から鳥になったか」


「ついにってなんだよ。俺は人族のままだよ」


(俺をどこかで人族ではないと思ってるのかリリスは)


 アリエルは驚いて、


「鳥ですよね」


「まぁ〜鳥でもあるかな」


(半分は鳥かもな)


 ミーコが詳しく説明をして、


「新しいスキルだそうです」


「なるほど」


「納得です」


 アリエルとリリスは頷く。

 

「かなり速く飛べるので役に立つのは間違いない」


(移動も簡単になる)


 アリエルは不思議に思って、


「どうやって元に戻るの?」


「元にか、普通に戻れるだろ」


 冷は考えてなかったが、スキルを止めてみる。


(たぶん大丈夫だろう。戻れなかったらヤバイよな)


「戻れなかったら?」


「たぶん大丈夫だよ」


 冷はスキルを解いてみた。

 すると翼は両手に。

 尾翼は両足に戻る。

 そのまま地に着地した。

 

(大丈夫、ちゃんと元に戻れる。でも一瞬あせったけどな)


 部屋に歩いて帰る。

 アリエルが不思議に思えて、


「ねぇ、ひとつ疑問があるのよけ」


「なんだよ疑問て、言ってみなよ」


「鳥になってる時は戦えるのかな?」


 アリエルの疑問は両手と両足がなくて戦えるのかという疑問であった。

 確かにこの姿では戦うのは難しく思える。


「戦えるのかか。言われてみると無理かもな。両手両足が使えないとなると限られた戦いしか出来ない。これは戦闘向きではないかもな」


 考えてみて戦える方法が思いつかなかった。


(残念ながら無理のようだ)


 リリスは冷を見て、


「戦闘向きより移動向き。移動用のスキルとして使えばいいだろ。ガーゴイルは翼があるから戦えたんだよ。だから落ち込むことはない」


「移動用にするよ」


 新しいスキルの検証は終わった。

 


 冷の新しいスキルの検証をつぶさに見ていた魔族は驚いてしまう。


「なんだ!!!飛行したぞ!」


「人族のくせに!」


「これも報告だな」


「ゴーレム様は驚くに違いない。まさか人族程度が飛行してとてつもない速度で移動したときいたら」


 魔族はリリスの観察に来た。

 しかし驚いたのは冷であった。

 少女に対する夜の行為。 

 そして飛行して移動。

 どうなってるやら理解できないでいた。




 朝を迎えた王都ではハンマド国王室に冒険者が呼ばれる。

 衛兵とともに国王室の扉の前に来ると、


「ハンマド国王、ナーべマルが到着しました」


 国王は待っていたとばかりに、


「入りなさいナーべマル」


「はい」


 ハンマド国王室に呼ばれたのはB級ランク冒険者のナーべマルであった。

 稲妻の聖者と呼ばれるナーべマルは自由な気風を持つ女の子。

 それ故に国王も来てくれるかは心配であった。

 普段呼ばれることはめったにないのだが、余程のことと感じていた。


「よく来てくれたナーべマル。そなたを呼んだのは、知っているかもしれんが冷についてだ」


「あの冷ですか。ガーゴイルの件の話は耳にしました。またも魔人を討伐し連れてきたとかで、騒がれてますから。僕を呼んで冷をどうされるのかな国王?」


 女の子だが僕と自分を呼ぶのが特徴である。

 

「知っていたなら話は早い。あれ程の実力者である冷。魔人を倒したのも今回で3回目となる。オーク、サイクロプス、そしてガーゴイルと。もはや国にとっても必要不可欠な存在にまでなった。それでだ冷を国に引き寄せたいと思っておる」


「それは冷を……騎士団に入れるというのかなぁ? 国王の言うことを聞くような奴には思えないですよ僕には」 


「騎士団に入れておけば強力な戦力となるのは確実だろう。それに王都に配置しておけば身勝手な行動はとれまい。好き勝手に動かれるとまた魔人と戦いかねない。上位の魔人は現在のところ静かにしているからいいものを。万が一冷に刺激されて動き出してみろ。たまったものじゃない」


 ハンマド国王からしてら、派手に動かれると困るのであり、騎士団に置いておけばコントロール出来ると考えた。

 もちろん戦力的にも期待してのこと。


「僕に言ってきたのは余程お困りなのですね。ラジッチには言ってないのですかな?」


「ラジッチはガーゴイルの件ですでに行動してもらってるのだが、ラジッチでも冷をコントロール出来なかったのだよ。私の言うことを跳ねのけて行動したんだ。ラジッチには荷が重い」


 ハンマド国王がラジッチの名を出して渋い顔を作るとナーべマルは、


「これは驚いた、ラジッチにも手におえないとはね。ラジッチがダメなら僕が出るしかないってわけか。やってみましょう国王。僕が冷に接触してみます。そして騎士団に入団させるように説得してみますよ」


 ナーべマルは自信を持って国王に提言した。

 ラジッチが出てるとはナーべマルは知らないでいて、冷の力は噂に聞く以上であると思った。

 ラジッチの力は知っていて、決して弱い冒険者ではない。

 

「受けてくれるなかナーべマルよ。嬉しいぞ、そなたが出れば百人力だ」


「僕は冷には負けませんからね」


 ナーべマルは軽く笑みを浮かべると国王室からでる。

 簡単に言えば冷を騎士団に無理にでも入れてしまえばいいだろうと考えていた。

 ラジッチが負けたのは計算外ではあったが。

 ラジッチを国王は高く評価していたのにナーべマルは笑いそうになる。

 格の違いをみせてやろう、と思ったからだ。

 とは言っても、ラジッチとは同じ冒険者としてともに戦ったこともある仲である為に、ラジッチの借りを返してやろうとも思った。

 城の出口付近に来た時にナーべマルは気配を感じて足を止めた。

 ナーべマルに気づかれずにここまで接近できる者は多くない。

 

「誰かな僕の背後を取るのは……」


 後ろは向かずに前を向いたまま話した。


「……ナーべマル、何しに城へ来たんだ教えろよな」


「…………ラジッチか、やっぱり」


 ナーべマルの背後にいたのはラジッチであり、正体がバレると姿を現した。


「なぜ、ナーべマルがここにいる、答えろよ」


「ハンマド国王に呼ばれた。これは本当さ。僕に要件があってね」


「どんな要件だ。まぁだいたいは察しがつくけど。どうせ冷の件だろ。それしか考えられないな」


「ハズレ!」


 ナーべマルはラジッチの方に体を向けて言った。


「嘘をつくなっ!!」


「……本当だよ」


「他にあるわけないだろっ!」


「……バレたかな、あのね正直にいうとラジッチの言ったのは正解です。でも内容までは言えないから、僕には関わらないでよね」


「やっぱり冷じゃないか! 俺は冷とはちょっとした因縁があってよ。俺にも手伝わせろよな、いいだろう」


 ラジッチは冷に思っいきり腹が立っていたので、これはいいチャンスと思えた。


「やだねっ! 僕だけで解決する。ラジッチは邪魔だから下がっててくれたまえ!」


 ナーべマルはラジッチに向けて手を差し出したらラジッチは、


「むっ!! ここでやる気かお前!!」


 手を見た瞬間に防御の体勢をした。

 ナーべマルの手からは電撃が発せられ、


「フラワースパーク!!」


 ナーべマルが得意のスキルを何のためらいもなく発したのだった。

 フラワースパークは雷属性の魔法スキルであり、凄まじい電力が手から放たれる。

 ラジッチは反射的に斧で防御が出来ていた為に、ダメージは軽減された。

 城の出入り口はフラワースパークで放電されて、目を開けるのも困難なくらいに閃光がおきた。


「……よく防いだねラジッチ。僕には近づかないことだ。今回は特にね!」


 ラジッチが閃光で目が開けられない間にナーべマルはその場から去っていく。

 目を開けた時には、すでに姿は見えなかった。


「ちえっ……。あの電気女め。俺をあくまで邪魔扱いかよ。そうはいくか……。俺はこんなんでは諦めねえぜ」


 斧を降ろして、ナーべマルを追うことにした。

 ナーべマルが行くところに冷もいるかと踏んだからだ。

 しかしナーべマルのスキルの怖さも改めて知るとこに。

 

「……」


 手は電気で痺れて力が入らないのであり、これをまともに受けたら、致命傷を負うのは確実とわかった。

 ナーべマルはラジッチよりも上のレベルの冒険者。

 見かけは女の子供っぽいのだが、ナメてかかると痛い目にあうのは、何度も話に聞いた。

 それ故に、王都でナーべマルの姿を見た衛兵は、同じように震え、言葉も出ないとなるのは有名であった。

 冷とナーべマルが接触したらどうなるか……。

 普通には終わらないよなと、ラジッチは思い、城から出ていった。

 その様を遠目に見学していた衛兵らは、ナーべマルとラジッチがやり合うのをみて、恐れいって逃げ出した。

 ハンマド国王からしたら、もちろんラジッチは強力な味方である。

 とてもこころ強いに決まっていて、しかも命令に忠実であるから、評価も高い。

 しかし今回は話が違い、冷の件ではラジッチの能力すら及ばなかったのがショックであった。

 そこでラジッチよりも評判の高いナーべマルを呼んだしだいだった。

 ナーべマルはラジッチと比較すると戦闘能力は高いとされていた。

 冷とも十分に戦えるだろうと判断した。

 だが難点もありラジッチは忠実なのに対してナーべマルはどこまで忠実かはわからない。

 評判では誰の指示も聞かずに行動すると知れられており、自分勝手なところがあるのだった。

 国王はそれが心配の種となっていて、今回の件を任せていいのか悩んだ。

 だけども他に適任者がいないとわかり、ナーべマルに頼んだのだった。

 そのハンマド国王もまさか城の中でナーべマルとラジッチが出会い、激しくスキルを放っているとは思いもしていなかった。

 最初からこの展開では今後どうなるか。

 ナーべマルが居なくなった部屋で国王は難しい顔していい報告を待つことにした。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ