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 ゴーレムは怒りを押さえるがどうにも押さえられない程にこみ上げてくる。

 こんなにも怒りを感じたのは何年ぶりか、何十年かわからない。

 一般的に人族に比べて魔族は長寿である。

 長い者で何百年も生きる。

 特に魔人クラスとなると殺されることが無いために、とても長寿となるのだった。

 魔人となるにも長い時間がかかる。

 たいがいは人族など他種族を殺して成果をあげた者が魔人となっていく。

 ゴーレムもそうして魔人となってきたひとりである。

 話を続けてたいがゴーレムの様子を確認しつつ、

 

「ゴーレム様。もう1つ情報がございます。それもかなり信じがたい情報でして」


 ある情報をゴーレムに知らせようとした。

 まだあるのかと顔を向けて、


「その話、冷についてか」


「冷の仲間のパーティーの情報であります。この情報はガーゴイル様が負けたと同じ、いやそれ以上かもしれないインパクトのある情報を手にしました」


 もしガセネタなら殺されるのは必死。

 あえてゴーレムに知らせるのは、重要さが巨大であったから。

 ゴーレムはガーゴイルが負けたこと以上の話と聞いて、


「話せ」


「はい、現在のところ冷は仲間が居るようでして冒険をする時には3人の少女を連れていくそうです。サイクロプス様、ガーゴイル様の時も同じく」


「女の子の話など興味ないが」


 ゴーレムは女の子などどうでも良かった。

 冷以外は眼中にない。

 その為、ギリっと目を細める。

 話が終わるまで命があるかと心配しながら続けて、


「それがとても重要な人物なのです。なんと3人の内ひとりは我らと同じ魔族の血を引く者らしいです。もちろん魔族が人族の中に居るのは必ずしも無いわけではありません。しかしその者はなんと淫魔の血を引く女の子だと情報が入りました」  


 淫魔の魔族であることからリリスであった。

 王都でもリリスが淫魔であるのは、ちょっとした噂になっており、魔族の耳にも入ったわけである。

 淫魔は現在の魔族にも驚いてしまう名前であった。

 当然にゴーレムは驚いて、

 

「んなことがあるか! 淫魔はとうの昔に滅んでるはずだろう。今まで生きてるなど聞いたことはないぞ。きっと何かの間違いだろ」


 長い間生きてるゴーレムですら淫魔は絶滅したものと信じられていた。

 だから淫魔が生きてる、まして冷の仲間だと言われても受け入れがたい。

 震えながらも知ってる限りの情報を言い、


「本当に淫魔らしいです。名前はリリス。一緒に冷と冒険をしているとか。なぜどのようにして仲間になったのかまでは、判明してませんが……」


「……もし今の話が本当なら大変なことになり得る。他の魔人達にも知らせるべき重大な情報だ。直ぐにその女の子、リリスについて偵察をつけろ。淫魔は我々にとっては格別な存在だからな。なにしろ、古き魔族の支配者。魔界の王の一族。しかし歴史上から突如として去っていき絶滅した一族」


 ゴーレムにとっては淫魔は偉大なる一族となっていた。

 魔人と言われるようになった今でも淫魔と聞けば震え上がる存在。

 冗談だとしても調べる必要があった。

 冷の仲間となると興味深い。

 ゴーレムは否定しなかった。


「もし本当なら……」


 少し間を開けてゴーレムは、


「世界を揺るがす事態に発展するだろう」


 リリスについては調査することにした。

 事の重大さが重大であった。

 単なるガセネタであって欲しいとも思った。

 万が一にも真実なら敵になってしまう。

 これは放っておけない問題となる。

 


 淫魔ではと知られつつあるリリス。

 ピルトの町にいるリリスは何の心配もなく平然としている。

 本人は魔人から調べられてるとは思いもしないで暮らしていた。

 よって偵察部隊の派遣が決まる。

 魔族の者を向かわせていた。

 その者は人族に姿を変化させられる能力を持つ二人組。

 宿屋に帰り休んでいる冷達を尾行していた。

 気づかれてはいなかった。


「この宿屋に入ったのは間違いないな」


 二人組は宿屋の外から監視していた。

 目的はリリスのみ。


「ああ、この目で見たからな。女の子は3人一緒だった。情報では赤い髪の毛をしてるとか」


「赤い髪の毛の子か。その子が本当に淫魔だとしよう。なぜ冒険者のパーティーにいるのだろうか」


 疑問は尽きない。

 伝説的な一族の末裔と聞いて、魔族の血が騒いだのだった。

 それと身震いした。

 魔族には特別な名称となる。


「さあな、そんなの知らねえよ。窓があるだろ、そこから中の様子の監視は怠るなよな」


「ああ、目は良いから任せろや」


 潜入した魔族は窓から監視する。

 視力がとても良い為、中の様子はバッチリ見えた。


 宿屋の部屋では冷達は普段通りにしていた。

 まさか監視されてるとは知らないし、気づかない。

 その日は何もなく夜になる。


「別に異常はないよな」


 監視の二人組はじっと見守る。

 夜中は交代で見張り役をすることにした。


「異常無い。仲良くくつろいでいる。やっぱり嘘の情報かもな。淫魔ならこんなとこにいるわけねえよ」


「うん、仕方ねえよ。これもゴーレム様に言われた仕事だからよ。嫌だとは言えねえ」


 ただ監視するのははっきり言って退屈である。

 つまらない仕事だと感じるも、ゴーレムには逆らえない為、頑張るのだった。

 特に異変はなく思えたし、何も変化もないし、見るべき行動もなかった。

 二人組にとっては暇な仕事だなと思えたのだが、事態は思わぬ急変した。

 監視した時から夜に変わっていた。

 部屋には冷がこの時を待っていたのであった。

 クエストでは体力を使えずに持て余していたから。

 それに興奮もしていた。

 その昔には淫魔のリリスの一族が魔族の王として魔人らを従えていたと。

 更にミーコの勇者は淫魔とは友達であったこと、アリエルの女神は勇者と淫魔と友達だったがケンカしてから世界が大混乱したとの内容にだった。

 その子らを自分が従えさせてやれる時間が来たからで、お楽しみの時間であろう。

 

(今夜は寝かせないぞ)


 さっそく集めると、


「君たちに言いたいことがある」


「なんですか」


「ミーコ、リリス、アリエル全員そこに立ってくれ。ネイルもだ」

  

「はい」


 4人を部屋で整列させた。

 不思議そうに立つ。

 最初に気づいたのはリリス。

 冷の行動の異変に気づくと、


「まさかアレをする気か。ワームズでどれだけ体力を使ったと思っておる?」


「今夜は疲れました、それくらい理解してますか冷氏?」


 慌てて反対するが冷は動じないで、


「そんなんじゃまだひよっ子だ。俺くらい体力を増やさないと強くはなれないんだよ!」


 疲れましたと発言しても考えは変わらない。


(夜は長いからな)


 やっと気づいたアリエルは、


「や、や、やめなさい!」


 アリエルの言うこともむなしく、あっという間に衣服は脱がされていた。

 

「いやー、冷、いい加減にしなさい!」


「冷氏、あなたは変態です!」


「お前はやっぱり魔人に殺されるべきだった!」


「ご主人様!!」


 アリエル、ミーコ、リリスは脱がされてもう反発したが、ネイルはいつものように喜んでいた。

 結局はいつものように脱がされて朝まで冷が楽しむことになった。

 もちろん一対四の戦いは冷の圧勝で終わる。

 それでも冷は余裕があった。

 

(まだ半分も体力を使っていないんだけど)


 冷からしたら、4人を相手にするのは体力の訓練としても良かった。

 ベッドで力尽きている4人の女の子は言葉も出ない状態となり果てていた。

 これは冷の普段の生活であり、特別な意識はなかったが、監視をしていた魔族の二人組には、理解出来ない光景となっていた。


「お、お、おい、見たか……」


 視力がいいからと遠くから窓を覗いている二人組は、冷の行動を全部見てしまった。


「見たぞ。何だ今のは……。あの冷って野朗、女の子を4人をずっとあんな風にしてるとは。外見とは違い、大胆な野朗だぜ」


 あきれるのを通り越して驚がく。


「情報にはなかったな。これも報告しておいた方がいいよな……」


 念のため報告することにした。


「他の女の子は構わないが、リリスにまであの様な事をして良いものか。淫魔だとしたら、我々魔族を支配していた一族であるのだぞ。その淫魔族の子にあんな事をして許されない行動だろう。ゴーレム様に知らせるのは不味いぜ……」


 監視役は手が震えていた。

 まさかこんな光景を見てしまうことになるとは思いもしなかったからだ。

 受け入れがたい情報であるからして、隠す手も考えた。

 

「バカ言えよ。もし隠して後でバレたらどうするんだ!」


 確かに嘘は不味い。


「ヤバイよな。ゴーレム様に怒られるわな」


「怒られるどころか叩き殺されかねないぜ。言いたくないが言うのも仕事だからよ」


「わかってる。でもあの冷って野朗、変態じゃないか」


 魔族から見ても異常な行動に思えたのだった。


「ああ、変態だよ。見たこともないレベルの変態だよな。この事も知らせる必要がある。戦闘能力だけでなくアッチも凄いとな」


 二人組は監視を続行することに。

 冷はこの夜の出来事を魔族に監視されてるとは想像もしていない。

 もし知ったら恥ずかしくて死にたくなるだろう。

 

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