追補1: 総文字数が一万文字の短編と連載、どちらが良いか?
ここからは一旦完結した後、補足として追記した内容です。
したがって本エッセイの当初の趣旨から離れています。
・同じ文字数の短編と完結済み連載、どちらが良いか?
「一万文字の短編」と「全体で一万文字だが複数話に分割した連載」のどちらが望ましいか、というご質問を感想でいただきました。
もちろん、これは作品の良し悪しとは別であり、見せ方の問題ではあります。ですが、多くの作者様が悩まれる問題でもあります。
そこで「10,000±1,000文字」を対象に「短編」と「完結済み連載」を収集してみました。
対象としたジャンルは「恋愛」「ファンタジー」「文芸」「SF」の四ジャンルです。なお、以下ではこれを「四大ジャンル」と仮称します。
表8: 「四大ジャンル」の「10,000±1,000文字」のポイントの傾向
・表8の対象範囲
上記の縦軸ですが、「短編」はその通り短編作品、「連載全体」は完結済み連載作品です。どちらも対象は「四大ジャンル」の「10,000±1,000文字」に該当する作品です
また「1話連載」から「10話連載」は、「連載全体」に該当する作品から連載の話数で1話の場合、2話の場合……と10話まで分けて調べたものです。
・表8の各項目
横軸ですが以下のようになります。
「作品数」は該当する母集団に含まれる作品の数です。たとえば「短編」(=「四大ジャンル」の「10,000±1,000文字」に該当する短編作品)は1,891作品となります。
「各集団ごとのポイント」の項目は、それぞれの範囲内について、ポイントの平均値、中央値、最大値、95%タイル(上位5%に相当)、90%タイル(上位10%に相当)を示したものです。
「短編」の場合、ポイントに関する統計情報は以下のようになります。
平均値=307
中央値=16
最大値=28,055
95%タイル=1,709
90%タイル=762
・表8からの所感
表8から読み取れる範囲では、一万文字前後であれば、短編としてそのまま投稿しても良さそうです。
また連載として2話に分割しても良いかもしれません。この場合「完結済みの連載小説」に載るメリットがあります。
連載の場合、話数が2話以外でも3話や4話は95%タイルの値、つまり上位5%は多くのポイントを得られそうです。
また理由は不明ですが、話数が5話と6話の場合、あまり良い結果になっていません。しかし話数が7話と8話の場合は、また95%タイルの値が良くなっています。
ですが、話数が7話と8話の場合、90%タイル、つまり上位10%はさほどでもありません。
このことから、以下が言えそうです。
・短編か連載か?
作品全体で一万文字程度なら、短編のままでも良い。
・連載にする場合の話数、1話のみは?
1話のみは好まれない。
・連載なら、どのくらいに分割すべき?
話数が2話~4話くらいは、上位5%や上位10%に入ればかなりのポイントが期待できる。もしくはかなりのポイントを得られないと、その範囲に入らない。
話数が7話~8話は、上位5%はかなり高ポイントだが、上位10%くらいだと伸びない。
つまり2話から4話(5000文字~2500文字程度)を好む層を狙うか、7話か8話(1400文字~1250文字程度)を好む層を狙うか、この二つが考えられる(※1)。
※1 上記の「7話か8話を好む層を狙う」を次項で掘り下げ、該当例の少なさや不確実性を示しました。
以上、大まかな調査ですが掲載します。次項では一万六千字前後の例を挙げ、一般的な事象か確認しつつ更に掘り下げます。
2017年2月2日追記:
次話追加に伴い注釈(※1)を挿入。また、末尾を「後日調査の予定あり」から「次項紹介」に変更。