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1.ジャンルごとの文字数の傾向

 ここでは、ジャンルごとの傾向を記します。


 以下のジャンル分けでは「異世界転生/転移」の除外をしていません。そのため「異世界転生/転移」の各ランキングに含まれる作品も、それぞれのジャンルに含んでいます。

 そのようにした理由は幾つかあります。


 最大の理由は、私の知りたい情報が「小説家になろう」のジャンル分けに従ったものではなく、恋愛なら恋愛、ファンタジーならファンタジーといった区分でどうなるか、だったというものです。

 あくまで個人的にですが「恋愛を主題とした作品」であれば、舞台がどこであろうが、主人公の出身がいかなるものであろうが、同じ「恋愛を主題とした作品」ではないかと思うのです。


 また、私自身が「異世界転移」の作品を書いているというのも理由の一つです。要するに、語る上で仲間外れにしたくない、ということです。

 細かく分けると調査や図表の作成の手間が増えるのも、分割しなかった理由です。もし、ご要望が大きければ、それらを別途調査し掲載するかもしれませんが、まずは扱いやすい範囲で語りたいと思います。




1.ポイント上位500位で見る、ジャンルごとの文字数の統計的な傾向


表3: ジャンル別のポイント上位500位までの作品の傾向

挿絵(By みてみん)


 図や表は全体での通し番号とし、表3にしました。


 縦の区分ですが「恋愛」から「SF」までは各大ジャンル、「童話」と「エッセイ」は「その他」大ジャンルの中の下位ジャンルを意味します。また参考として前回の表1で示した「全短編」も加えています。


 なお以下では、カッコつきで大ジャンル名もしくは下位ジャンル名を記した場合、そのジャンル全体を示します。


 横の項目は「総数(作品数)」以外、表1と同じですので説明を割愛します。


 「総数(作品数)」は、該当ジャンルの全短編の作品数です。たとえば「恋愛」の場合、全部で12,449作品ありました。


 各ジャンルには、平均値や中央値、最頻出の傾向に差異が明らかに存在します。

 大まかに言えば「恋愛」は文字数が多い作品が高評価、以下「ファンタジー」「文芸」「SF」の順で文字数が少ない作品が有利になるようです。


 ただし、読み解く上での問題もあります。

 各区分で作品数が大きく違うため、同じ500位でも意味合いが大きく違います。「全短編」では上位500位は上から0.24%に入った稀なる作品ですが、「恋愛」だと4.02%で、「SF」だと21.4%です。

 つまり「全短編」と「SF」の上位500位は稀少度に90倍近い差があります。また「全短編」と「恋愛」でも16倍以上の差です。


 それはポイント数にも現れています。大ジャンルで最も高ポイントの「恋愛」は500位で1800ポイントを超えていますが、「SF」は26ポイントです。

 そのため本来は「各区分の上位何割」を対象にすべきかもしれません。しかし、その場合「SF」の上位一割は233作品、「文芸」だと2267作品などサンプル数に大きな差が出来てしまいます。


 また「なろう小説API」の性質上、一度に取得できるのは500件、しかも同じ条件だと上から2000作品までしか抽出できません(四回に分けて取得します)。そのため少ない取得回数で調査するには最大でも対象を2000作品に抑えなくてはなりません。

 この問題は、作品数が多いものを大ジャンルではなく下位のジャンルにするなどで回避できます。しかし調査対象が増えデータ収集や図表作成の手間が増えるので、今回は区分を少なくしました。




2.「全短編」のポイント上位500位内の文字数の傾向


図1: 全短編 ポイント上位500内 文字数ごとの作品数

(前回からの再掲載)

挿絵(By みてみん)


 比較のため再掲載しましたが、前回で触れたので説明は省略します。




3.「恋愛」のポイント上位500位内の文字数の傾向


図6: 恋愛短編 ポイント上位500内 文字数ごとの作品数

挿絵(By みてみん)

総数:12,449作品

500位:1,896pt

平均値:9,448文字

中央値:8,030文字


 表3と随分位置が離れたので、図から読み取れない情報を再度記しました。

 「恋愛500位内」の最頻出は、表3だと5千文字台でした。しかし実際には、3千文字台から8千文字台がほぼ同じです。また9千文字台から1万1千文字台も、相当なボリュームがあります。

 このことから「恋愛」は文字数の多い作品でもかなり上位に入ると理解できます。


 また、あくまで推測ですが、「恋愛」はジャンルの方向性から心理描写などで文字数が多くなりやすいのでは、と考えます。




4.「ファンタジー」のポイント上位500位内の文字数の傾向


図7: ファンタジー短編 ポイント上位500内 文字数ごとの作品数

挿絵(By みてみん)

総数:7,684作品

500位:417pt

平均値:7,298文字

中央値:5,828文字


 「ファンタジー500位内」の最頻出は3千文字台で、しかもかなり突出しています。前後も多く、何らかの意味がありそうです。とはいえ5千文字台から8千文字台までもかなり多いです。一見すると3千文字台を中心とする山が印象に残りますが、8千文字台までも恋愛の大きな山と変わらぬ高さです。

 もっとも大雑把に言えば、「ファンタジー」は「恋愛」に比べて少ない文字数でも上位に入りやすいと考えられます。「ファンタジー500位内」の平均値や中央値が双方とも「恋愛500位内」より二千文字下がっているのは、それを示していると言えそうです。


 ただし「恋愛」の第500位は1800ポイントを超えていますが、「ファンタジー」は400ポイント少々です。また作品数も違いますから、同じように読み取って良いかは疑問が残ります。

 この問題については、後ほど別項目で触れます。




5.「文芸」のポイント上位500位内の文字数の傾向


図8: 文芸短編 ポイント上位500内 文字数ごとの作品数

挿絵(By みてみん)

総数:22,670作品

500位:413pt

平均値:6,729文字

中央値:5,358文字


 「文芸500位内」の最頻出は2千文字台です。また文字数の増加につれ、なだらかに作品数が減っているのも興味深いです。

 ただし、文芸には性質の違う下位ジャンルを多数含んでおり、事実上「恋愛とファンタジー、SF以外」と表現できそうです。

 したがって、あまり特別なジャンルの性質を表していない可能性が高いと思われます。


 また、平均値や中央値が「恋愛500位内」や「ファンタジー500位内」よりも下がっているのは興味深いところです。




6.「SF」のポイント上位500位内の文字数の傾向


図9: SF短編 ポイント上位500内 文字数ごとの作品数

挿絵(By みてみん)

総数:2,337作品

500位:26pt

平均値:6,375文字

中央値:4,435文字


 「SF500位内」の最頻出は2千文字台です。しかも「SF500位内」では今までとは違い1千文字未満や1千文字台も多く存在します。

 これは、ショートショートなど短編SF独自の文化があることを示唆していそうです。

 また、「SF」は作品数が少ないため、上位500位が今までとは違う意味を持っていると考えられます。したがって、これまでと同列に論じて良いかは疑問が残ります。




7.「童話」のポイント上位500位内の文字数の傾向


図10: 童話短編 ポイント上位500内 文字数ごとの作品数

挿絵(By みてみん)

総数:3,780作品

500位:61pt

平均値:4,934文字

中央値:4,191文字


 「童話500位内」の最頻出は3千文字台です。しかも、かなり突出しています。

 しかし、これは「冬童話」の影響だと思われます。実は「冬童話」の条件が、3千文字以上です。

 しかも童話短編には「冬童話」が多く、検索すると1,995作品が該当しました。つまり童話自体の特性に加え、イベントの条件が集計結果を左右していることが理解できます。

 もしかすると、他のジャンルにも同様の外部要因、コンテストなどが関係しているかもしれません。


 作品数についてですが、「童話」は「SF」の倍近くあります。そのため上位500の意味は、少し違うと思われます。

 平均値と中央値は少なめの文字数ですが、これは3千文字への集中で引っ張られた可能性があります。

 童話本来の傾向を調べるには、コンテストによる影響、つまり「冬童話」を除外して調査すべきかもしれません。




8.「エッセイ」のポイント上位500位内の文字数の傾向


図11: エッセイ短編 ポイント上位500内 文字数ごとの作品数

挿絵(By みてみん)

総数:4,214作品

500位:91pt

平均値:2,685文字

中央値:2,162文字


 「エッセイ500位内」の最頻出は1千文字台です。これも、かなり突出しています。これは論旨が明確であれば、むしろ短い評論が好まれるからだと思います。

 随筆など物語性を含むものはともかく、主義主張であれば修飾は不要なのだと思います。

 平均値と中央値も2千文字台ですので、やはり短い作品でも上位に入りやすいようです。


 作品数ですが、「エッセイ」は「童話」より少々多い程度です。そのため、この二つは上位500位の稀少度はほぼ同じで、ジャンルやイベントの有無で傾向の違いが出たものと思われます。




9.ジャンル別の総括


 それぞれのジャンルで、上位に入った作品群の文字数の傾向に有意な差があることは理解できました。


 多くのジャンルでは「全短編500位内」と同様に、一万文字以上でも上位に入った作品が多数あります。

 その一方で「SF500位内」や「エッセイ500位内」では、1千文字台や2千文字台の短い作品も多く含まれています。アイディア勝負のジャンルに関しては、敢えて短くしてみるのも有益だと思います。


 「童話500位内」のようにイベントによる有意差が生まれたジャンルが浮かび上がったのも、興味深い結果でした。このようにジャンル自体の特性や状況を把握しないと読み取れないものもあると思います。



 次項では、幾つかのジャンルを対象に母集団の大きさとの関係を掘り下げてみます。


2017年2月6日追記:

 本文では「全短編500位内」が上から0.24%に入った作品で2,946ポイント以上、同様に「全恋愛短編500位内」が4.02%で1,896ポイント以上、「全SF短編500位内」が21.4%で26ポイント以上、と示しました。

 これらの割合やポイントの意味ですが、「序.趣旨、結果の概要、調査手法など」の後書きで紹介したように、「小説家になろう」全体を元に論じた作品が存在します。


 それは下記に引用元として掲載している、佐々木尽左様の「『小説家になろう』をデータ分析してみた」です。

 上記作品でお示しいただいた情報では「小説家になろう」の全作品だと「0ポイント=全体の45%弱」「25ポイント以上=同20%弱」「100ポイント以上=同9%弱」「500ポイント以上=同4%弱」となっています。これらを踏まえてお読みいただくと、より実情を把握できると思います。


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※対象データ=2016年3月19日時点、ジャンル再編成前

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※作品の紹介は作者様から許可いただいております。

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※調査時期=2018年2月中旬
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