追補6: 商業作品の分量や章立て(お寄せいただいた事例2)
前回の続きで、活動報告にお寄せいただいた事例の紹介です。今回はエッセイやノンフィクションの事例です。
※以下の事例の項番は前回からの続きとしています。
※以下の表題では著作者の名を敬称略とさせていただきます。
1.エッセイの事例
例16:「スラムダンク論語」 遠越段 「総合法令出版」 2010年
ご紹介: デリリウム・トレメンス様
総ページ数=289ページ
ページ単位の文字数=45×15=675文字
話数=6章(63話)
体裁:スラムダンクの名台詞(1ページ)+似た論語(解説付き1ページ)+全体の解説(2~3ページ)
補足:台詞は60~3字。全体の解説は1ページあたり45字×15行。600字~2000字。
ご紹介様コメント:
スラムダンクで学ぶ論語の世界というか、この台詞がどうしてこうなったと楽しめる。
掲載担当コメント:
これは全体の文字数が計算しにくいですね。仮に名台詞と論語を除くと、
289-63×2=163
となり、1ページあたり600文字なら約9万8千文字ですが……。
ただ、1話が600文字~2000文字というのは興味深いです。以前の話「1.ジャンルごとの文字数の傾向」で「エッセイ500位内」の最頻出は1千文字台、平均値2,685文字、中央値2,162文字と示しました。
それらからすると2000文字以内というのは納得がいくような気がします。
例17:「バーのある人生」 枝川公一 「中央公論新社(中公新書)」 2006年
ご紹介: デリリウム・トレメンス様
総ページ数=196ページ
ページ単位の文字数=45×15=600文字
話数=3章(47話)
ご紹介様コメント:
1話あたりの字数は、45字×15行~45字×15行×7ページだったりとバラバラ。
掲載担当コメント:
1話600文字~4200文字……なんてことを考えるよりバーに行きましょう(ただし二十歳以上)。
例18:「動物の言い分人間の言い分」 日高敏隆 「角川書店(角川onテーマ21)」 2001年
ご紹介: デリリウム・トレメンス様
総ページ数=207ページ
ページ単位の文字数=41×16=656文字
話数=5章(34話)
ご紹介様コメント:
1話あたり4~6ページ。
掲載担当コメント:
1話2600文字~3900文字、比較的長めですね。
ちなみに日高敏隆さん関連で私の本棚にあったのは、
「鼻行類 新しく発見された哺乳類の構造と生活」ハラルト・シュテンプケ 日高敏隆・羽田節子訳
です。原著者ではありませんが、この作品を発見して翻訳を推し進めるとは素晴らしいです!
例19:「世にも美しい数学入門」 藤原正彦/小川洋子共著 「筑摩書房(ちくまプリマー新書)」 2005年
ご紹介: デリリウム・トレメンス様
総ページ数=173ページ
ページ単位の文字数=39×13=507文字
話数=2章(19話)
ご紹介様コメント:
対談集。1話あたり6~7ページ。
掲載担当コメント:
1話3000文字~3500文字、この作品も比較的長めですね。
藤原正彦さんは「国家の品格」、小川洋子さんは「博士の愛した数式」でご存知の方は多いかな、と思います。
例20:「スペイン人はなぜ小さいのにサッカーが強いのか:日本がワールドカップで勝つためのヒント」 村松尚登 「ソフトバンク クリエイティブ株式会社(ソフトバンク新書)」 2010年
ご紹介: デリリウム・トレメンス様
総ページ数=231ページ
ページ単位の文字数=40×14=560文字
話数=4章(67話)※1章は2部構成
ご紹介様コメント:
1話あたり4~6ページ。図も含む。
掲載担当コメント:
1話2200文字~3300文字ですね。
著者は10年以上もスペインはバルセロナでユース年代の指導をされたサッカーコーチです。
例21:「職人を生きる」 鮫島敦 「岩波書店(岩波ジュニア新書)」 2008年
ご紹介: デリリウム・トレメンス様
総ページ数=207ページ
ページ単位の文字数=41×15=615文字
話数=5章(58話)
ご紹介様コメント:
1話あたり3ページ程度。江戸切り子職人とか、藍染職人とか、江戸浴衣職人とかの話。
掲載担当コメント:
1話1800文字ですね。
著者は老舗ジャーナリストという肩書きをお持ちだそうです。「宮内庁御用達商品購入ガイド」「これが宮内庁御用達だ こだわりの名品50」などの作もあります。
例22:「進化しすぎた脳:中高生と語る[大脳生理学]の最前線」 池谷裕二 「朝日出版社」 2004年
ご紹介: デリリウム・トレメンス様
総ページ数=373ページ
ページ単位の文字数=42×16=672文字
話数=4章(それぞれ約20話)
ご紹介様コメント:
1話あたり3ページくらい。付録は横書き。
元ネタは、慶応義塾ニューヨーク学院高等部で行われた脳科学講義の記録(全4回)から。
掲載担当コメント:
1話2000文字ですね。
池谷裕二さんは「新・情報7daysニュースキャスター」のコメンテーターもされているので、そちらでご存知の方が多いかもしれません。
例23:「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」 川上和人 「新潮社」 2017年
ご紹介: デリリウム・トレメンス様
総ページ数=221ページ
ページ単位の文字数=42×17=714文字
話数=6章(各4話)1話あたり3~4に更に分かれる
ご紹介様コメント:
1話あたり8ページ前後。
掲載担当コメント:
1話5700文字ですね。ただし3~4に分かれるそうですので、その単位では1600文字程度とも言えます。
川上和人さんは国立研究開発法人森林総合研究所の研究員で、小笠原諸島の鳥類の研究されています。NHKの『ダーウィンが来た!生きもの新伝説』で西之島を扱った回や、『視点・論点「西之島 新島誕生3年(1)新たな陸地と生物の将来」』などにも出演されています。
2.ノンフィクションの事例
例24:「マッハの恐怖」 柳田邦夫 「新潮文庫」版 1986年
※初出媒体:単行本書き下ろし(フジ出版社)1971年
総ページ数=414ページ
推定総文字数=約29万文字
ページ単位の文字数=40×18=720文字
話数=4章(20話)
ご紹介様コメント:
各節のばらつきはそんなに多くないが、部のばらつきは多い。
掲載担当コメント:
1話が約1万5千文字ですね。
各話のページ数は最小13ページ、最大28ページ、平均20.7ページでした。
柳田邦夫さんはノンフィクション作家として著名ですので、説明は不要かと思います。
3.エッセイ・ノンフィクションの事例のまとめ
エッセイの一話は最小で600文字、最大で5700文字、平均すると2400文字程度になるようです。これは「小説家になろう」での調査例に近いと言えそうです。
ノンフィクションは1例のみですので、全体的な傾向へのコメントは差し控えるべきでしょう。
次回は紙とネットの違いなどです。




