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イノヴェイティブ・パニック  作者: 椋之 樹
第5.5章 Memory or Dream?《Ⅴ》
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《始まりはここから》




 目を覚ました時、彼の世界は激変していた。

 見覚えのない身体。

 見覚えのない光景。

 そして。

 “身に覚えのある力”。

 それだけで、彼は確信した。「結局、何も変わらないんだ」、と。

 呆然としていた彼は町に出るものの、その風貌の違いから卑劣な迫害を受けた。だが、彼は人々を恨むことはしなかったらしい。

 それが贖罪になるのなら。

 それが運命だというのなら。

 彼は甘んじて、人々の憤慨の心を受け止めるつもりだった……彼女と、出会うまでは。


「大丈夫?」


 彼女は優しげな言葉と共に、その華奢な手を差し出して、彼に微笑んでくれた。

 それこそ、最初の出会い。

 いずれ、革新という名の滅亡に向かう世界で交わされた、一番最初の邂逅だった。


「初めて見る顔だよね?君、名前は?私の名前は────」


 彼女の屈託の無い笑顔に突き動かされるように、彼はその手を握り返し、こんな言葉を返す。


「俺に名前は無い……だって俺は────支配者の欠片なんだから」

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