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イノヴェイティブ・パニック  作者: 椋之 樹
第4章 集結まで・・・
18/37

彼方へ零る涙



「……星々が、美しい……」

 イムニティ本部の屋上。

 そこに、落下防止の柵に手を掛け、一人ボンヤリと空を眺めるレティーシャ・ダナムの姿があった。

 この日の夜は、雲一つない広々とした星空が広がっている。

 あのオレンジ色の星はうしかい座のアークトゥルス。

 あの南の空の星はおとめ座のスピカ。

 あの大三角形の最後の一角はしし座のデネボラ、だっただろうか。

 無数の星が散乱する広大なそらの中で、自らの存在を主張する、強く美しい星々。それらを見ていると、不思議と心に響いてくるのだ。

 ────私は自分で良いのだ、と。 

「何故、幾ら見ていても飽きないのでしょう?不安感?安心感?いえ、ただ、こうして遥か遠くの世界にも、幾つもの星々が存在していることが……私にとっては、とても温かい」

 曇りの夜空は恐い。

 どれだけ大きくても、どれだけ強い力を発していても……地球の膜という極めて小さな障害物に遮られ、人の目に映ることすら叶わなくなる。

 それが、とてつもなく恐い。

 だが、怯えてばかりはいけない。星々には出来なくとも、自分には為す術があるのだから。

「そうですね……感傷に浸るのは今日までにしましょう……でも、だからこそ、今日位は……」

 気付けば、目尻が熱い。

 疑うまでもない。

 確かめるまでない。

 それはきっと、感情の叫びだ。

 レティーシャ・ダナムが、自ら心を抑えつけた反動で生まれた感情の爆弾が破裂した音だ。

 だから。

「────泣いても構いませんよね」

 止め処なく。

 感情に促されるままに。

 レティーシャの目尻から、涙がこぼれ落ちたのだった。





 ────世界革新まで、残り三日────

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