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イノヴェイティブ・パニック  作者: 椋之 樹
第3.5章 Memory or Dream?《Ⅲ》
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《交わした約束》


 記憶か、もしくは夢か。

 そんなことを考えるのも、段々と馬鹿らしくなってきた。

 何故ならこの光景は……あまりに鮮明だからだ。

 広がる風景も、聞こえる音や声も、何もかも鮮明に現れ過ぎている。

 だからこそ、断定せざるを得ない。

 記憶か夢か、そんな曖昧な現象ではなく……自分が見ているこの世界は、間違いなく現実である、ということを。

「────迷っているの?」

 声が聞こえる。

 流れるような髪が風でなびき、温かく甘い香りが漂う。

 それだけで例の少女がやって来たことを感じて、何となく安心感を抱いたものだ。

 そうだ。

 自分は、彼女のことを知っている。

 間違いなく知っている人物だ。

 それなのに……その顔だけがぼやけて見えない。

「大丈夫、私は君の味方だよ。例え誰が何と言おうと、私はずっと君の味方でいるから、だから……」

 この会話も、知っている。

 とても暖かかった。

 孤独しか知らなかった自分にとって、彼女の言葉が、彼女の想いが、彼女の存在が、何もかもが温かくて、とても嬉しかった。

 そして。

 続けざまに、彼女はこう呟くのだ。


「────私のことも絶対に裏切らないで?」


 裏切る?

 誰が?誰を?

 少なくとも自分はそんなことはしない。

 万が一、彼女の意思に反することがあったとしたら、それは何よりも彼女の為に……。

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