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第9話「紋章」

本日1話目の投稿です。

「そんなことが可能なのですか? あなたは死んだ事にされているのですよね?」


「ええ。でもたった一つ、方法があるの。それが今回の依頼に繋がるのよ」


「なるほど、では依頼をお聞きしましょうか」


 ルブリスの言葉にイルリアが答える。


「依頼は二つよ。一つはある紋章を探し出す手伝いをしてほしいの。もう一つは――」


 イルリアはナーニャの顔を見る。

 ナーニャがうなずき言葉を続けた。


「もう一つは、わたしとサラと共にイルリアさまの身をお守りしてほしいのだ」





「紋章とやらについては後でお伺いするとして」


 ルブリスが問う。


「イルリアさまは誰かに狙われておいでですか?」


「ああ、恐らくギルバート公の命によるものだろう」


 頷いたナーニャに続きサラも一生懸命に話す。


「このところおかしいんです。誰かに後を付けられている感じがしたり、妙な人影を見たり」





「イルリアさまが生きていると困る訳ですから、ギルバートの仕業と見るのが妥当でしょうね」


 ルブリスが頷くと、イルリアが重ねて言う。


「そうね、相手を誘い出すためにわたしが意識的に目立つ行動をしているから」


「ワザとやっているんですか?」


 ルブリスが呆れた。


「そうすることで何か証拠をつかめたらと思って」


「でも危険でしょう。死んだらどうしようもありませんよ」





「……馬鹿な真似を」


 つまらなさそうに呟いたバルドをイルリアは睨む。


「そんなの言われなくても分かってるわ。でも証拠が必要なの! だからあなた達を雇うと言ってるのよ」


「……正当な跡継ぎだの、爵位だの、つまらん話だ」


「どこの野良犬か知らないけど、あなたの様なゴロツキには分からないわ!」


「……誰が野良犬だ?」


 バルドが口の端を上げて睨む。

 牙の様な犬歯が覗く。

 野良犬という言葉が気に障ったらしい。


「まあまあ、この人バルドの事は放って置いて。で、紋章というのは?」





「ファルフォード家に代々伝わる秘密の紋章があるの。王より頂いた侯爵家の宝よ」


「それを探す、と」


「それがあればわたしが正当な後継ぎである証明になるわ」


「場所は分かっているんですか?」


「ええ。間違いなく城の中よ」


「それはギルバートは知らないのですか?」


「恐らくはっきりとは。でも薄々は知っていると思うわ」


「ではなぜ貴女も彼もそれを取りに城に行かないのです?」


「一つはその紋章がどんな形をしているのか、叔父のギルバートもわたしも知らないの」


「どういうことですか?」


「その紋章がどの様な物なのかを知っているのは、正当な跡継ぎと王家の人間だけなの」


「それは大層ですね」


「例えファルフォード家の人間でも、跡継ぎとして認められるまでは紋章の形も在り処も知らされないわ。だから叔父もわたしも知らないの」


「ではそれを持っているという事自体が」


「ええ、正当な跡継ぎの証拠になるのよ」


「なるほどねえ」


次は8時半頃の予定です。

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