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少女と出会った瞬間

「は〜い♪私の勝ち〜たーくんジュース奢りね♪」


白凪は入り口を勢いよく開けて飛び込む様に教室へ入った。


「はぁ……はぁ…待てよ!!」


次いで猛も息を切らしながら教室に入った。

教室にいた生徒たちが入り口を開ける音に反応して白凪と猛に視線を向けてくる。

生徒の数はまだ朝早いせいなのか少ない。


「おはよう相変わらず仲良いなお前ら」


視線を向けてきた生徒の中から男が手を振って猛に話しかけてきた。


「おうおはよ石田」


猛も手を振り返して返事する。

こいつの名前は石田いしだ 海音かいと

中学からの親友だ。

背が高く細身な体型で青がかった短い髪の爽やかな面の男だ。


「かいちゃんだ♪」


「おはよう白凪」


「おっはよー♪♪」


両手を大きく上げて嬉しそうに笑っている。

隣で見ているだけで元気をもらえる。


「かいちゃん聞いて!!聞いて!!今日ね私たーくんと学校まで競争して勝ったの♪」


「すごいな」


海音が微笑みながら頷く。


「待て待て!お前、フライングしたし途中ぬかれそうになったら足引っ掛けて転かすし俺のリュック奪って川に放り投げるし終いには校門の鍵閉めて裏口からしか入ってこれなくしたし」


「……はは…大変だったな。道理でリュックがびしょびしょなわけだ」


猛の背負ったリュックサックを指差して苦笑い。

白凪は納得いかないという様子で頬を膨らませて猛を凝視する。

怒っているのだろうがそんな顔でも可愛いのでつい口もとが緩んでしまう。


「もぉ!!そんなこと言ったら私悪い子じゃん!!」


「本当のことだろ」


「うるさい!たーくんに奢ってほしかったんだもん!」


「そんな事でリュック、川に投げるな!」


「他に思いつかなかったんだもん!」


「思いつけよ!思いついてくれよ!そのせいで俺の教科書とノートがもうワカメだよ!」


「どういう意味?」


「もぅいいよ!説明するの恥ずかしいわ!」


「とろろのほうが好き」


「海藻だけどぉ!関係無いから!」


「関係ないんだ」


「おう。はぁ……まぁいいや許してやるよ」


「流石たーくん♪かっこいい♪♪」


突然いつもの調子に戻ったのでペースを掴めず汗を滲ませる猛。

そんな事をしていると予鈴が教室に響き渡る。

あたりを見渡せば猛が来た時より生徒の数が増えていた。

教室の戸が開かれ担任の先生が教室に入ってきた。

朝のホームルームの時間だ










授業が全て終わりどこの部活にも所属していない猛は帰宅するため下駄箱で外靴に履き替えていた。


「たーくーーーん」


すると遠くの方から大きな声で白凪が呼んでいるのが分かる。


「どうした?」


階段を一つとばしに下りて猛のいる下駄箱の前まで走ってきた。


「ジュースの代わりに今日たーくんのお家で手料理が食べたい」


「え、ジュースでいいじゃん」


「いやだぁぁあ」


「面倒くさいだろ」


「知らないよ」


「知らないよじゃねぇだろ」


「だって童貞じゃん」


「だからなんでそれが関係あんだよ!お前童貞言いたいだけだろ!!」


「なんでもいいけど今日夜行くからね♪また連絡するから!じゃあ私部活だからもぅいくね♪テニス頑張るよ〜」


エアー素振りをしてそのまま廊下をスキップして何処かに去ってしまった。

マイペースにも程があるなと猛はため息を吐く。


「まぁいいか」


猛の両親は二人揃って派遣のため海外に行ってしまっているため、いつ誰が来ても特にまずいことは無いのだ。

そして白凪が夕飯を食べに来るのはそんなに珍しいことではないのである。

学校の門をぬけて歩き始めた。


「ぁあ。あいつ食べに来るならなんか材料買わないとな」


独り言を言いながら街の方に足先を向けた。

いつもの帰り道よりかなり遠回りになるのだがしょうがない。

今日のこんだてを考えながら歩くこと約10分、割と早く街の交差点まできた。

スーパーはもう目の前に迫っている。


「信号長いな」


ぼやきながら信号を直視していると


「ねぇ。ちょっとアンタ」


高く綺麗な声に、勝気そうなその態度。


「は、はい!」


いきなり声をかけられ、動揺を示すかのように慌てて振り向く。

すると目に映った華奢で可憐な少女。


少女と出会った瞬間。

次回は来週の水曜日更新です。

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