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デートではないただ服買いに行くだけ

本当に更新遅れてしまいすみませんでした。

人が賑わう都市の中心。視界は人と建物でうめつくされる。

猛の住んでいる地域も田舎ではないもののここに比べれば人も建物も少ない。

二人は駅から出てすぐのアパートを目指していた。


「多い…」


可美は猛の背に隠れるように歩く。

前後から人が迫ってくる空間に慣れていないのだろう。


「大丈夫だぞ?怖くないぞ?」


猛が背後の可美に優しく言葉をかける。


「こ、怖くないよ!」


可美は強がるように猛の背から離れて頬を膨らませる。


「へ〜」


猛がニヤッと可美を見る。


「な、なによ!たけるなんかワンパンなんだから!」


「なんで喧嘩腰?しかもなんで標的が俺?」


「……弱そうだから」


「おぃ!心外だぞ!てっ、着いたな」


歩みを進めていくうちに目的地のデパートについていた。


(まぁ駅から50メートルもないからな)


そうして隣を見ると、立ち止まった可美がその大きな建物を見上げている。


「大きいだろ?」


可美は無言で首肯する。


「ほら、入ろうぜ」


と、猛は前方にある自動ドアを見てあることを思いついた。

そして腕組みして可美にカッコいい声で


「ははは!これから俺がこのドアを手も触れずに開けてやる!」


そう宣言すると可美が興味をもったのようで視線を送ってくる。

おそらく、可美は自動ドアの存在を知らない。ドアは手を触れて開けるものだと思っているだろう。


「どうやって?」


「俺の秘められた力でだよ」


そう言って猛が自動ドアからある程度の距離をとって、右手を掲げる。


「俺の秘められた力!覚醒しろ!うぉぉぉおお」


右手に力が集まってきているかのような動作をとる。

そして


「いでよ!神龍シェンロン!!」


前方に右手を振り下げた。

すると自動ドアが猛の動きとともに開かれる。


「す…すごい!」


可美はとても驚いたようにして呟く。


「だろ!?これが俺の力なんだよ!」


猛が誇らしげに腕を組んで頷く。


「猛、強い」


「だろ?なめてもらっちゃ困るよ。俺はこの力で自動ドアという自動ドアを開いてきた男だからな!」


「すご………………でも……あれ」


いつの間にか自動ドアが閉まっていたらしく、そこを通行した男性を感知した自動ドアが再び開いた光景を可美が見てしまった。


「あ、あの人はま、魔力量がすごく多いから、その……なんのルーティンもなく開けれるんだよ」


猛が慌てて言い訳する。


「そうなんだ」


と、可美が前方の自動ドアに向かって歩みを進めると閉じかけていた自動ドアがまた開く。

そして振り返って半眼で猛を見つめる。


「なんだよその目!お、お前も魔力量が多いんだ…な」


「そうかもね。早く入ろ」


可美は軽く受け流して中に入っていった。

猛は悲しそうにその背後をついて行くのであった。







「これがいいんじゃないか?」


猛は可美に花柄のワンピースを手渡す。

二人はデパートの中にある女性物の服屋さんに来ている。

服や靴、帽子にアクセサリー、女性物のファッションアイテムが店全体に置いてある。


「似合う…かな?」


可美はそれを受け取って不安そうに猛を見る。


「絶対なんでも似合うよ!」


猛は目を輝かせて試着室に案内する。


「ほら。きてみな」


促されるままに可美は試着室に入っていった。

そしてしばらく猛が待っていると中から


「ど、どうかな…」


ゆっくりと試着室のカーテンが開かれていく。

すると、とてつもなく可愛い美少女が姿を現した。


「可愛いぞ!」


猛が叫ぶように言うと可美は恥ずかしそうに急いでカーテンを引っ張って、顔以外を隠す。


「や、やめてよ!みんな見てるよ!」


可美の言葉通り辺りを見渡すと定員や買い物に来ていた客がこちらに視線をやっているのがわかった。しかしどの視線もとても可愛いものを見たときのようなキラキラとした視線を向けてきている。


「ほら、かわいいからいいんだって」


「うぅ……そんなに褒めないでよ」


可美はついに顔までカーテンで隠してしまった。

それから何着か試着してみたら可美が自分で選んだ服が一番気に入ったのか、「これ良くないかな?」と試着室のカーテンを全開にして鏡で自分を見ながら言ってきた。


「良いと思うよ…うん…すごく。でもねそれさ」


猛はその服を見て思うのだ。


(今日着てきた白いワンピースとほぼ一緒なんですけどぉぉお!)


「な、なに…似合わない…?」


急に自信がなくなったのか振り返って直接猛に視線を送る。


「別にそう言うわけじゃないんだよ」


まぁ人は誰しも自分では違う服を買っているつもりでも相手からしたら同じの持ってるじゃんと思われることは多少あるだろうから、こう言うこともあるのかな…。


(でもこれは違くねぇか?全く同じに見えるよ)


「それがいいのか?」


「ぅ…ん」


「はぁ…わかった。それ買ってやるよ…でもお願いがあるあと2着くらい違うやつ選んでくれ」


「え!?いいの?」


可美が嬉しそうに驚いた。

そして「わかった!」と大きく頷いて純白のワンピース(この服屋さんで見つけた方)を着たまま、服を探しに行ってしまった。


「はは…かわいいな」


猛は可美の背中を見ながら呟く。

それから何分か試着室の前で待っていると不意にこの店に来ていた女性の客が俺に変な目を向けてきた。

そしてその女性と目が合うと「妊娠させられるぅう!!」と叫ばれた。


(おい!!!しねぇよ!!!!)


心の中で叫ぶと「きゃぁぁぁあ!変態!」と声を張り上げてきた。


「まって!?なに言ってんの!?」


その客は全速力で走って店を出た。

そしてここを通りかかった警備員に「警備員さん!あのおじさん変なんです!」と言った。

それから警備員とその女性客が猛の前まで走ってきて


「なんだ君は!?」


警備員が大きな声で言ってきた。


「まってまって!俺なんにもしてないですって!」


猛が慌てて警備員に弁解しようとする。

と、警備員が猛の顔をまじまじと見つめてから何かを考えるように頭を抱える。


「どうやらこの人は変なおじさんではないようですよ」まずおじさんじゃねぇんだよ!


警備員が隣の女性に声をかける。

そして女性客は頷いて


「私もそう思います」


「なんだったんだよ!この茶番は!!」


警備員とその女性はどこかに行ってしまった。

そんなことがあって猛が疲れて試着室の前の壁にもたれていると。


「ごめん…まった?」


可美が服を抱えて戻ってきた。


「いや、べつに…はは…はは…」


猛が疲れ果てた顔で答える。


「ど、どうしたの…80年くらい待ってくれたみたいになってるよ…」


「なに?老けたっていいたいの!?それよりどんな服にしたんだ?」


「ぁあ。これ!」


と可美が花柄のワンピースを広げて見せてきた。


「これって…俺が選んだやつじゃん」


「そうだよ」


「これでいいのか?」


「いいの。これがいいの…せ、…せっかくたけるが選んでくれたんだし…」


「な、なんか照れくせぇな」


猛が頬を赤らめて照れ笑いする。


「あと………これ」


可美がもう一つ持ってきた服を広げた。

それを見て思わず猛は固まってしまう。


「へん…かな?」


「良いと思うよ…うん…すごく。でもねそれさ」






二人は花柄のワンピースと純白のワンピース二着(可美には同じには見えてないらしい)を買って店を出た。

可美は嬉しそうにその服が入った袋を持っている。


「ありがと!たける!」


「…いえいえ」


と、不意にあることを猛は思った。

しかしこれは言った方が良いのか、言わないでおいた方が良いのか。しばらく考えこんでからついに俺は前者を選んだ。


「なぁ…」


「なに?」


猛の声に可美が嬉しそうな表情のまま答える。


「……」


「なによ」


猛は言葉を躊躇しつつ、自分の決心を今更変えことも出来ず、視線を逸らして一息。適当に咳してみたり、喉を鳴らしてみてから。唾を飲み込んで再び可美の顔をじっと見る。


「可美…下着どうすんだ?」


可美は、口を開いたまま固まった。

次回は水曜日。


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