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プロローグ

「ねぇ。ちょっとアンタ」


高く綺麗な声に、勝気そうなその態度。


「は、はい!」


いきなり声をかけられ、動揺を示すかのように慌てて振り向く。

すると目に映った華奢で可憐な少女。

ここは街の交差点、人が行き交う空間でその少女だけが目に飛び込んできた。

理由は単純、小さな身体だというのに強気な青い双眸、腰までかかる長い髪は洗髪したものとは到底思えないほどに美しく輝く金色。

肌は白く、しかしながら不健康には見えないツヤとハリ、歳の頃は10代半ばだろう。

身に纏っているのは純白のワンピースのようなデザインの服だ。

白い生地が光にさらされ神々しい。

そう、まるで現実のものとは思えない見た目だからである。


「ここどこ?」


腕を組み、首を傾げて少女が問うてくる。


「………地球」


間抜けな答えだとは思ったが突然のことで少しパニックになっているのだ。

こんな美しい少女を目の前にして誰が平常心で会話できるのか、そんな不動の心をもった者が居るのなら今ここに連れてきてほしい。


「知らない。どこなの?」


少女の言葉に驚いた。

馬鹿にするわけでもなく、ただ怪訝そうに見つめながら言ってくるのだ。

地球を知らない人間がいるのか?

見た目からして外国人なのか、それとも勉学をしてこなかったのか、この子なりの冗談かもしれない。

否、最後のはないような気がする。

彼女は嘘をついているような気配が全くないからだ。

ただ純粋にその言葉を知らないだけに見える。

そこで疑問を抱く。


「どこから来たの?」


「知らない」


少女は首を振って応答。

その様子を見てあることが脳裡をよぎった。何故かはわからない。馬鹿馬鹿しいだとか、愚昧だとか、愚蒙だとか、間抜けだとか、阿呆だとかその時は何も思わなかった。

極自然に当たり前のようにこう言った


「異世界から来たんだね!?」


これが初めての俺と少女の出会い。

こうして俺は長い長い物語の入口に足を踏み入れた。


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