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殺戮者だった魔王様は殺した主人を愛す。  作者: 桐生桜嘉
第一章 魔王レネクス
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魔王の目的 レネクスside


――『あなたは、何が目的なの……?』――


「目的、か……」


家を出てからレネクスの頭には、フェリシアの言葉が離れないでいた。


基本的にはあまり睡眠というものを必要としない魔族ではあるが、寝ようと思えば寝れる。

かつ、レネクスは前世の記憶がある分、睡眠への抵抗が少ない。

そのためフェリシアが起きるまではちゃんと眠っていたのだが、彼女が起きる物音に気付き目が覚めた。

しかし、寝起きの気怠さからそのまま目を瞑ったままでいると、フェリシアが目前に来て身動きが取りにくくなり、挙句寝たフリをすることになったのだ。


正直、フェリシアの言葉に一瞬気が動揺した、というのも理由の一つ。彼女の問いへの答えがはっきりとは浮かばず、思わず考えを巡らせていた。


彼にとっての目的は前世の“彼女”に再び出会うこと。自分がそう簡単に死ねないのなら、“彼女”の生まれ変わりに出会うことが目的である。

――フェリシアが“彼女”である確証はない。しかし、近しい何かを感じるのだ。フェリシアを初めて見た瞬間、ようやく“彼女”に再開できたと錯覚してしまうほどに。


(ならまずは、確証を得ることが目的、ってなんのか。――もし違ぇなら、また探すだけだしな)


ならば、もしフェリシアが“彼女”であったなら、どうなるのか?

レネクスの目的は達成されたことになるが、だからと言って“目的”というものが無くなるわけではない。

目的は更新される。――“彼女”を守る、というものに。


そうして、今度こそ、“彼女”を本当の意味(・・・・・)で手に入れるのだ。



フェリシアが“彼女”である確証が掴めない今、確証を得ることと同時に守ることも、必然的に目的として必要となるだろう。


そう結論付けたレネクスは、ふと、また別のことに思考を巡らせた。


それは、フェリシアについて。

彼女は人間ではあるものの、天使の象徴である純白の翼を片翼だけ持っていた。

それのせいだろうか。彼女からは、人間にはないはずの――魔力を、感じる。


それも、今まで感じたこともないほどの、強く膨大なそれを。


(あいつが追われているのは、殺人を犯したからっつぅだけじゃないのかもしれねぇな)


「あ? だとしたら……」


(あいつを一人にすんのはやべぇんじゃね?)


一瞬考えた後、レネクスはため息をつき舌打ちをする。


「……あー、めんどくせぇ」


宙を仰ぎながらレネクスはそう呟き、用事をさっさと済ますべく足を速めた。



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