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私の秘め事 ー1

「ねぇ、クルミも『アナザー・ヘヴン』一緒にやらない? 」


「ゴメンナサイ。さすがにちょっと……」



ここ最近、何度も繰り返されている、恒例イベントである。


私の数少ない友人である、みっちゃんこと長谷川 美々(ハセガワ ミミ)が、私を『アナザー・ヘヴン』に誘い、私がそれを断る。


『アナザー・ヘヴン』というのは、『GMーRMTシステム』すなわち『ゲーム内通貨現実化システム』を採用したVRMMORPGである。


このシステムは違法スレスレ・・・というか、この日本の法律的には現在禁止されているのだが、このグローバル化社会では、国外ネットに繋げば、『日本では違法』なゲームでも、外国のネットで楽しめる。


そして、『アナザー・ヘヴン』はわざわざ日本の会社が、アメリカに作った子会社に作らせた『合法』の日本製GMーRMTシステム採用ゲームなのだ。


まぁ、そのためあまり反デジタル化社会の人たちには評判が良くない。


私は、いつもこれを理由に、誘いを断っていた。



実は、私はこの『アナザー・ヘヴン』をプレイしている。


なら、それを言えばいいじゃないかと言われると、そうはいかない。


私のアバター『シクル』は、ソロプレイに特化したアサシン型のビルドなのだ。


おまけに、私のプレイスタイルは『賞金稼ぎ(ハウンド)』、つまりゲーム内で犯罪を犯し、『賞金首』になったプレイヤーを狩るPKメインのもの。


純粋に、お金のためにプレイしている私は、楽しむためにプレイしているであろうクラスメートたちとは、まったくプレイスタイルが異なるのだ。


「和田君もプレイしているらしいわよ? 」


「・・・!! 本当!? 」


それは衝撃的な情報である。和田君――和田ワダ 竜平リュウヘイは、私の片想いの相手なのだ。


「たしか、アバターネームは『リュウガ』だったわね」


ポロリと、みっちゃんが口にする。


よっしゃキター! と、心の中でガッツポーズ。


わざわざ聞き出す手間が省けた。




「って、騙されないわよ。その情報に信頼性はあるのかしら……? 」


「はい」


その問いに、みっちゃんはスクリーンショットを送ってきた。


和田君が、ファンタジー風の初心者装備を装備して、彼が倒したであろうモンスターの傍らで拳を突き上げている写真だ。


『アナザー・ヘヴン』は、リアルの顔か自分で調整した顔のどちらかを使ってプレイできる。が、他人と同じ顔をここまで正確に再現は出来ないハズだ。


スクリーンショットのログも、『アナザー・ヘヴン』内であることをしめしている。


情報は正しいようだ。


「で、『アナザー・ヘヴン』やらない? 」


「・・・・・・・・・やらない」


「・・・・・・いま、すごい葛藤したでしょ? 」


「ギクッ」


我ながら、ひどいリアクションだ。


「まぁいいわ。また、気が変わったら言ってね? まぁ、変わらなくても言うけど」


「本当、ゴメンね」


「いいよいいよ。あ、そうだ。今からサーティワンいかない? ちょうどアイス食べたいし」


「いい考えね。行きましょう」



アイスを食べた後、みっちゃんはバイトが入っているため、そこでお別れとなった。


私は、いつも通り風呂に入った後、VRゲーム機『ブレイン・コネクター』を起動させる。


そして、『アナザー・ヘヴン』の世界へと、ログインした。



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