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断章・女風呂覗き事件

 

 自室ではベッドと反対側の隅に毒島が三角座りをしていた。

「なにしてるんだ?」

「貴方の事が嫌いなので」

「傷つくよ!」

 なんであれは美少女なんだ。色々と残念な存在とは言え女の子に嫌われて平気な男はいない。

 なおも毒島は目を背けてぶつぶつと文句を言う。

「指舐めるし、風呂覗きだし、変態だし、常軌を逸しているし……」

「うるさいうるさい! そもそもお前の風呂は覗いてないだろ」

「え?」

「え? って、俺は紅華の入浴中に飛び込んだし、そりゃ子供の頃こんなお風呂かぁって覗いたこともあったが、そもそもお前がいつの間に風呂入ったのって気持ちだったぞ」

 何を言っているのかと思ったが、彼女はさっと青ざめた。

「じゃ、じゃあ昨日のは……」

 流石の俺も察した。

「本物の覗きがいたのか!?」

 みるみるうちに毒島の顔色は悪くなっていき、震えだす始末だ。

「おい、大丈夫か?」

 突然立ち上がったかと思うと、毒島は青竜刀を持ってウォークインクローゼットの中に引きこもってしまった。

「おい毒島!」

「敵です!」

「誰が敵だ!?」

「覗きですよ!」

「誰が覗きだ!?」

「ああもう貴方は話がかみ合いませんね!」

 クローゼットからどん、という音と衝撃が走る。叩いたらしい。

「昨日の風呂覗きが敵組織のスパイなんです。私の存在を探るべくやってきたんです……」

 つまり、俺が覗きをした敵だ、ということではなく、昨日の出現した謎の覗きが彼女にとって敵組織の存在であると……。

 はい、全く意味がわかりません。

「こんな時に中二病発動かよ!」


 毒島のことは好きかどうかと言われれば微妙なところだ。

 しかし、彼女も大学生かそこらの女子、覗きがいるとなれば青ざめ震えるほど恐れるか弱い女子である。

 ここで行動するか否かが、主人公が主人公であるかどうかの分かれ目なのだ。

 なので、瑠璃華さんが買い物から帰ってきて即座に俺は訊ねた。

「瑠璃華さん、メイドたちが入るお風呂の場所を教えてください」

 この台詞がそれだけ聞くといかにアブナイかを言ってから気付いてしまったが、この言葉を言ったときの真面目さがどうやら伝わったらしい。

「……何かあったの?」

 彼女にしては非常に珍しく笑顔が剥れたが、当の俺が中途半端な真面目ぶりに戻ってしまった。

「え、えと、言わないっていうのは……駄目ですよね」

 顎に手をあて考える瑠璃華さんは、最後に良い笑顔で言った。

「良いわよ、教えてあげる。その代わり!」


 紅華に秘密であることを条件に風呂場の場所を教えられた。

 出かける時はこっそり出たが、帰って来たらどこに行っていたか追及されるに違いないだろうな。

 けれど今それは関係ない、ただメイドの楽園に蔓延る邪悪を捕まえるのみ。

 して、そのメイドの楽園、場所はなんと町の銭湯。

(聞くまでもねぇ……)

 何でも西條グループの一端であるらしく、メイドたちは結構自由に出入りしているらしい。

 このような町の一角、時代に取り残されたかのようにある古びた銭湯というものはどうしてしつこく残っているのかとよく考えるが、もしかしたら西條グループのようなところから多額の支援と愛好があって残されているのかもしれない。

 などと謎の陰謀説を考えてみたが、太陽が赤みを帯びる前にも関わらず、普通のおじいさんがいっぱいいた。陰謀などなくとも売れるものらしい。

 が、俺は今日湯に浸かりに来たわけではない。

 けれどまず入浴、男風呂では分からないだろうが一応風呂の構造を見て、自分ならどこから覗くかを考え、最終的に張り込むという算段だ。

 そのため管理している人に金を払おうという段階で問題は起こった。

「えーと金、金。あ、これでいいですか?」

 と五百円玉で払う。

「あ、はーい、これおつりね」

 と番台をしているおっさんが返してきたのは三百円。

 ここで料金表を改めて確認。

 大人四百円、小人(小学生以下)二百円。

 確かに、この間まで小学生だった。なのでその旨をおっさんに伝えた。

 だがここであろうことかこのおっさんはこういったのだ。

「えー、嘘はいかんよお嬢ちゃん」

「いやいやいや」

 年齢はおろか性別まで。

 もちろん、俺が危惧しているのは自分の見た目の問題ではなく、いつになったら風呂に入れるのかという話である。

 

 というわけで、わざわざ西條家に戻ってもらいたての生徒手帳をかざし、更にそこに記載された性別を見せ、ようやく男風呂に入ることが許された。

 不憫ではあるが、今は耐え忍ぶ。目的があるのだ、覗きを捕まえるという真面目な目的が。

 そしてようやく入場、そして辺りを見回す。

 壁には風景画、一番奥に横に広い風呂があり、そこからこの入り口まで数列に渡って鏡台とシャワーと風呂桶イスのセットが並んでいる。

 ごくごく普通の銭湯。お爺さんしかいない。

 ひとまずシャワーを浴び始めるが、そこら辺で『近藤さんの孫娘かいのー』などと呆けた会話が繰り広げられているが、気にしない。

 体を清めた俺はタオルを外し入浴、タオルは頭に乗せる。

 うん、良い気分。

 風呂から周りを見渡す。風呂桶イスが積み上げられている以外は左右対称のようで、やはり数列の鏡台シャワー風呂桶のセットが十ほど、入り口付近まで繋がっている。

 風呂の底には排水用の格子みたいなのがあり、更に湯船の中をよく見ると側壁にも格子状がある。

 恐らく女風呂につながっているのだろうが、そこからは熱いお湯が沸き、しかもゴーグルを持ってきても、キメが細かすぎて覗けない。

 湯船から覗くのは、当然だが不可能。

 他に場所を探し、見つけたのは天井際の壁、わずかに隙間があるように見える……が、あそこから覗くとなれば、まず高さが足りない。最寄の鏡台の上に絶妙なバランスで風呂桶をたくさん乗っけたら届くだろうが、それは滑って転んでしかも周りの目も気にしないといけない。

 さらに冷静に考えれば、その隙間が三センチもない。たとえ密着しても目から上の頭がつっかえて向こう側を覗くのは物理的に不可能。

 まあ梯子と胃カメラみたいな特殊なカメラを持ってくれば可能にしても、風呂場に梯子と胃カメラを持ってくる奴がいたら番頭も周りの客も通報する。

 アニメで見た時は壁は上に乗ることが出来るくらいスペースがあるのに、どうしてここはこんなに厳重なんだ?

 さて、俺ならどうやって覗くだろうか……。

 結局一つだけ馬鹿げた答えを思いついたが……実践するには危険が伴う。

 なので否定するために、老人達の話を聞いてみる。

「すいません、ここって女性はあまり入らないんですか?」

「おお? まあ、ここは男湯じゃから滅多には……」

「いえそうじゃなくて」

 と、話を聞くと、お爺さん方はよくこの銭湯に来るが、女性は若い女性が一日にかわるがわる来る(恐らく西條家のメイド達)ぐらいで、滅多に入らないという。

 それにより、俺のそれっぽい推理は否定されるどころか裏づけされた。

 後は、後始末の方法を考えながらその馬鹿げた方法を実行するのみである。



 しばらく、銭湯のとある場所で隠れて待つ。

 すると声が聞こえた。

「花、そんなに心配?」

「だって、覗きは異瀬じゃなかったらしいんですよ?」

 毒島と、知らぬ女の声である。

「異瀬くんね、居候の。彼が嘘を吐いてるだけで本当は覗いてたんじゃない?」

 知らぬ女め、見ず知らずの癖に人を疑うとは……今すぐここを飛び出して文句を言いたいところだが、ぐっとこらえる。

「異瀬は変態ですが、嘘は吐きませんよ。だからあんなにキモいんです」

 ぐさっと来る一言で知らぬ女が爆笑。しかし毒島の悩みは解決されていない。

「ともかくさ、私も今回付き合ったげるから安心してよ!」

 と、扉の開く音、そして閉まる音が聞こえた。恐らく二人とも風呂に入ったのだろう。

 さて、俺は今どこにいるでしょうか。

 このクイズは決して女風呂側の更衣ロッカーの中で窮屈になりながらも息を潜める努力を誰かに認めて欲しいわけではない、誰かの知的好奇心を揺さぶっただけである。

 風呂に浸かって色々考えた俺の結論はこうである。

 覗けないなら、直接見ればいいじゃない!

 あんまり女性客がいないのなら、風呂場の外の番台に見えない絶妙な角度で隠れるなり、このようにロッカーの中で隠れるなどしてタイミングを見計らい、そこで侵入して直接見る、という推理。

 自分で考えてもこの推理の穴は三つ四つ見つかったが、もうこれしか思いつかないのだ。

 そして、これが一番確率が高いとみた。

 もし俺が失敗し、番台や他の女性客に見つかったら警察沙汰になるかもしれないが、覗かれ役の毒島とその仲間に見つかり猛土下座で許してもらえると踏んだ。

 それでも厳しい賭けだ。

 それに証言通り現在他の女性客はいない。時間帯も風呂に入るには早めだし。

 ちなみにあの番台は結構場所を空ける癖があるらしい。俺があっさりと女子ロッカーに身を隠せたのもそれのおかげである。

 おっと、ついにシャワーの音が聞こえてきた。

 俺の考えでは、侵入するタイミングとしては間違いなく毒島が一人で、シャンプーをするなどで目を閉じざるを得ない時だ。

 けど、そもそもシャンプーで目を閉じないことだってできるし、そもそもシャワーの音だけじゃ体を洗うか頭を洗うかの区別がつかない。

 これが推理の穴の一つ。

 一体その区別をどのようにして侵入するのか。一歩間違えれば姿も顔も丸見えで青竜刀のさびになる事間違い無しだろう。

 だから今俺は動かない。恐らく犯人はその辺の目処を既に立てているのだろう。毒島の服装どうなっているか知らないが、髪は水色の反重力ツインテール、目立つから覗きのターゲットとして入念に調べることが可能。

 ので、狙い撃ちするに相応しいのだけれど、いかんせん今回は友達の女がいる。

 友達の女がいては侵入してもすぐ逮捕だ。

 結局俺は今回、ここで隠れ続けるしかない。

 諦めた。匙を投げた。ここからじゃ番台がどのタイミングで場を空けるか知りようがない。毒島が風呂から出てきたら謝りながら息子か弟として扱ってもらい何とかしてもらおう。

 冷や汗を垂らしながらがむしゃらに祈りを捧げていると、突然女風呂側の扉が開いた音が聞こえた。

 しかも、誰かが風呂から出てきた様子はない。

 怪しい、驚きは不審に変わり、出ようと思い体をよじる。音を立てないように、だけど急いで。

 扉が閉まる気配は一向にない。

 これは、間違いない。

 ロッカーから何とか抜け出し女湯に入る。

「だっ、誰ですか!?」

 声を上げたのは毒島だった。

 彼女はシャンプーの途中らしく、しかしシャワーは抑える人が居らずタイルの上でで暴れまわり、恐らく友達女と思われる人物が毒島の頭に手をやり、泡を目につけているように見える。

「二人だけ、二人だけなのか」

 言葉に出して、周りを見る。女湯の中には、俺を含めて毒島と友達女しかいない。

「異瀬ッ、その声は異瀬ですね! このクソガキ、やっぱりあんた……」

「毒島」

 一言だけ、名前を呼んだ。

 友達女はなぜ、どうして、という表情で突っ立っている。

「とりあえず、話を聞かせて貰う」

 不審すぎる、状況は決定的だ。

 この友達女が何かをしたに間違いない。

 しかし、友達女は叫んだ。

「きゃ、きゃー、覗き!」

「なんだと!」

 確かに状況的には覗きであるが、俺は今回は覗きが目的で覗きにきたわけではないし、そもそも覗きに覗きと言われる筋合いは……。

 そこで大きな疑問にぶち当たった。

 反応やその所作を見る限り、友達女こそが覗き事件の犯人だと思われる。

 しかし、女ならわざわざ覗かずとも、堂々と見ればいいじゃないか?

 え、なにおかしいってこれ。アイツが覗きというか、毒島を怖がらせてたのは間違いないのに……。

 アイツが覗きだと立証できるものを今見つけるか考えるかしないと、奴は俺を覗きとして扱い、最悪逮捕?

 まだ毒島は回復できていないものの、手探りでシャワーを掴み当てようと腕を振るう。

「待て毒島! 昨日の覗きはどんな感じだったんだ!?」

 毒島の状況が良く分かっていなかった問題だったんだ。

 もしその覗きが今のようにシャワーの途中、突然現れて触ってきたとかならあの女が犯人で間違いない。覗きという言葉のせいでてっきり隙間から目が見えるとかだと思っていたが、そうじゃないならむしろイタズラ犯人は女という方が妥当ではないか。

「何の話ですか!?」

「大切な話だ、頼むから話してくれ!」

「とりあえず花、これ」

 友達女がシャワーを毒島に渡す。

 その際にシャワーで、毒島の泡がついた自分の手を洗うことを忘れずに。

「おい女! 証拠隠滅してんじゃねえ!」

「状況が良く分かるように、シャワーで顔を洗わせることが、証拠隠滅なの!?」

 この女、狡猾。何を考える。まず、こいつの正体を探らねば……。

「もういいよ」

 しかし、先ほどと打って変わって低い声を出す毒島に、俺も友達女も驚愕した。

「どうして香奈(かな)が、ここにいるの……?」

 どうして、とは毒島が覗きを恐がって呼んだのではないのか?

 けれど、心底悲しそうな、暗い表情で言う言葉は、普段のメイドの姿ではなく、年相応の女の子であった。

 友達女はそれこそ気絶せんばかりに驚いているが、それでも弁明を欠かさない。

「そ、それは、異瀬を押しのけて花を守ろうと……」

「それはおかしいよ。だって香奈さっき『風呂場の外で』見張っててくれるはずだったのに……」

 風呂場の外? 香奈という奴はずっと風呂に入っていなかったのか!

 なら確かに、毒島が風呂に入っている中堂々と俺が風呂に入るのを見過ごすのは不自然。

 香奈は俺を見逃してから俺を押しのけるという説明できない行動をとったことになる。

 それに風呂場の扉が開く音。

 香奈が最初から風呂に入っていたとしたら扉を開ける必要は、精々偽装工作ぐらいだけど、香奈が風呂場の外で見張っていたなら侵入のために扉を開けたのだ。

「ねえ、どうして、香奈。もしかして『天大』のスパイなの?」

「中二病かい!」

 俺の突っ込みは誰にも受け付けられなかった。

「……花には、いえないよ」

 それだけいうと、香奈は俺を押しのけ走って出て行ってしまった。



 番台には毒島の弟ということで、風呂場に他の女性がいないこともあり事なきを得、ともかく無事に共に帰ることとなった。

 銭湯自体は西條家と距離はないのだが、毒島と道を歩くのはただでさえ色々と気苦労をするのに、この重い空気が余計に苦労させる。

「香奈は」

 と彼女は切り出した。

「私の一番の親友です。一番で、一人だけで、理解者で、大好きでした」

 決してこっちを見ず、顔を見られないよう俺より前を歩きながら。

「それにしては、偉く普通の子だったな。茶髪だし」

 普通に裸の女性など見る機会はないので強烈な印象が残っている。前髪は眉にかかるぐらい、周りの髪は下の歯ぐらいまで切りそろえてあるツヤツヤのショート、顔は丸みがあって目もそんな感じのまるこさ、いかにも穏やかそうで悪いことをするようには見えなかった。といってもそういう奴に限って目的の為には盲目になるものか。

「香奈は確かに、普通の子です。けど私に対しても普通でいてくれました。私に対して普通でいてくれるのは香奈と瑠璃華さんと、異瀬ぐらいですよ」

「ふうん、じゃあ俺のことは一番のご主人様として見ていくんだな」

「どうだか」

 彼女は少しはにかんだ風に言った。否定しないというだけで心が熱くなる。

「ところで、あの子も西條家のメイドさんなのか?」

 俺のことを多少知っている口ぶりだった。

「そうです。瑠璃華さんの計らいのおかげで異瀬に見知った奴だけが大っぴらに邸宅に出るようになっています。だから私と瑠璃華さんぐらいしか屋敷で見ないでしょう?」

「そういえば……確かに」

 わざわざ瑠璃華さんが飯を作ったり運んだりしていたが、それは良妻だからではなく、人見知りするもしくはメイドに対し暴挙に出るだろう俺のための行動だったのか。

「お前は俺の専属メイドになって苦労しないか?」

「全く苦労ばかり……ん?」

 西條家の前、服を着ているが、その顔には見覚えがあった。

「香奈だな、お前!」

「異瀬、黙ってください」

 毒島に遮られるが、香奈さんももとより俺のことは気にしていないらしい。

「花、話があるの」

 真剣な表情は鬼気迫るものがあり、毒島も真剣に頷いた。

 そのまま二人でどこかに行きそうな雰囲気なので、俺はかねてからの質問をここで聞く。

「毒島、一つ聞いていいか?」

「なんでしょう?」

「独眼老比奈鳥ってなんだったの?」

 毒島は拳骨を俺に食らわすと、香奈と二人でどこかに行ってしまった。

「本名はやっぱり、毒島花なのか……」


 その日あった事を紅華がいないところで瑠璃華さんに話したところ、色々と話し合ったが結局独眼老比奈鳥には全く聞き覚えも何もないらしい。

「結局なんだったんでしょうね、独眼老比奈鳥って」

 彼女なりの中二病なのだろうか。

「貴方が気になるのはそこじゃないでしょう?」

 時間は午後五時半を回るところで、瑠璃華さんは晩御飯の準備にかかるところ。

 長い話をするわけにはいかないので一番気になる独眼老のことを聞いたのだが、失敗したので仕方がない。

「それじゃ、木戸香奈(きどかな)について勝手に喋るわね」

「はいどうぞ」

 それまでずっとこのキッチンにいないと駄目なのかと溜息を吐きたくもなるが、瑠璃華さんの思いを無碍にするわけにもいかず聞く事にした。

「彼女はね、一言でいうと良い子よ。誰にでも分け隔てなく話しかけて、皆と仲良くなる子。新入りの毒島さんに最初に声をかけたのも彼女だったわ」

 毒島はゲテモノだ。声をかけたのは良い子だからというより貧乏くじを引かされただけなような気が。

「でもね、毒島さんと仲良くなってからあんまり他の人と話さなくなったのよ。器用な子だから色んな人と付き合うのは慣れているでしょうに」

「へー」

 そこで話は終わった。

 結局晩御飯が出来るまでそこでぼーっと待ち、晩御飯中紅華のどこでなにしてたかという追及を避けに避け、そのまま毒島が帰って来なかったのでそのまま就寝した。

 この束の間の平和の間、毒島は壮絶な人生の分かれ目に立たされたらしいが、俺は知ったこっちゃなかったのである。

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