雪風
果たしてこれを小説と言っていいのか・・・
駄文ですが楽しんで頂ければ幸いです。
彼女には十七人の姉妹達がいた。
彼女達の役割は従者であった。
自らの数倍の体躯を誇る主人に仕え、戦場を駆けた。時に強大な敵に長槍を手に突進し、時に夜闇に潜む辻斬りを狩り、煩い羽虫を追い払い。
激しい戦いの中で彼女達は次々に傷つき、倒れて行った。
それでも彼女は戦い続けた。
激しい戦いの、常に最前線に立ち続け、姉妹達が、守るべき主人達が倒れていくのを見届けながら。
戦い続け、そして彼女は生き残った。
十七いた姉妹達は皆海の底に静かに身を横たえていた。
それでも彼女に平穏は訪れなかった。
実家の台所事情は厳しく、身売りするよりなかったのだ。
彼女は再び戦いに身を投じる。
その小さな身には大きすぎる旗を背に。
それから暫くして、彼女は引退した。
年老いた彼女はもう、以前のように走ることは出来なかった。
そして
ある夜
嵐が来た。
年老いた彼女は静かに、その身を横たえた。
今、彼女は小さな、2つの欠片となって祖国にいる。そしてかつて共に海を駆けた者達と志を同じくする若者を見守っている。
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