▼幽霊少女、困惑。思案…後に逃走。
サブタイはシリアスっぽいですが、内容は相変わらず普通にギャグです。
いやいやいやいやぁ、ちょっと待ってくれよ?フローリアさんはリュシオルの事が好きじゃなかったの?て言うか二人とも私が好きだって言ったよね…待てーい、リュシオルは百歩…いや二百歩譲って…まぁ、今朝とかそれ以外の言動の端々から何となーく微かに分かるとしてもさ、なしてフローリアさんが私の事好きになるねん~?名前だって、ミミィ(お使い帰りにあっち向いてホイして遊びました~。)に聞いてやっと分かったのにさ、そんな相手を好きになるって…いや、本で見たことあるぞ…一目惚れってやつではあり得るらしいな…あと、思春期女子は同性に走りやすいとも聞いたことが…。生前の記憶な上に世界自体違うけど、多分この法則は成立するんだろうな!うん、落ち着こうか私!
『どうでも良いけどさ、よりにもよって幽霊を好きにならんでも良くないか?』
交わることも――手を取って共に人生を歩む事すら出来ない存在なんだけど。…そもそも、何で私ここ居んの?小説やゲームとかのセオリーに当てはめたら、生きてるときに未練あるから現し世に居るわけだよね?
『…うん、確かに。余りにも未練たらたら過ぎて何か逆に泣けるわ。』
あの漫画の最終回読みたかったとか、あのシリーズの小説全部見たかったなぁっとか、一度で良いから子猫モフりたかったとか、そう言えば爪切りたかったなぁとか…細かくあげたらキリがないけど、大雑把に一つだけなら…。
『家族に、〔ありがとう。〕とお別れの言葉を言いたかったなぁ。』
今は、もしかしたらもう叶わない夢(未練)だけど…。
……って、しんみりしてる場合じゃなかったんだ。取り敢えず、今現在で目下の問題はフローリアさんだよね!
『同性には興味ありませんって、ハッキリ言うべき…だよね。』
幽霊だからとかを言い訳にするんじゃなく、今出来る最大限丁寧な断り方を選ぼう。ハッキリとフったほうが、反って女子は気持ちの整理が付きやすい…って聞くし!(恋人いない歴が、そのまま永眠した年齢ですけど何か?)
『…もう一つは、リュシオルだよなぁ。』
正直な話、真面目に親戚の年が近めのお兄さん的な感じ…もしくは、良く弄られる学校の先輩だしなぁ。(前者は、完璧に身内扱いだな…。後者も後者で恋愛対象としては、何気に見てないしねぇ…。)
『今から恋愛的に見るの?…うわぁ、喉回りが痒い!もう痛覚も触覚もないけどなんか痒い!!』
生きてるときに最後に見た恋愛小説が大人な切ない系だったから、青春物なんて…恥ずかしすぎて見れないって。そもそも、生きてる時ですら青春恋愛物が性に合わなすぎて読んだことないし…。
『取り敢えずは…うん、いつも通りに過ごしてみようかなっ。こう言った問題は、先送り棚上げに限るよね!』
リュシオルには悪いけど、返事は暫く出来そうにないな。そもそも、私自体が恋愛をしにくい体質元い性格だしね。
『そうと決まれば、さっさと家に帰ろうか!…何となく…なんだけどさ、私がさっきいた場所にリュシオルとかフローリアさんとか居そうだなぁ…。』
ガサッと物音は聞こえない…な。まぁ、隠れるんならんなヘマはしないか。
『じゃあ、虱潰しに木陰とか探っていくか。…不自然にこの庭の外に出る人が居たら、直ぐに分かるしね。』
いやぁ…幽霊になった特権と言うか、“そう言う”感覚は生前より鋭くなってるのよね…。
「…はぁ、ミナト降参。全く、いつから俺の事気付いて『うっそ、マジで居たのリュシオル!?』え、アレ当てずっぽうだったのかよ!?」
『私、結構疑りゲフン…注意深いと言うか、心配性と言うか…昔っからそう言うのは人より気にしやすい体質だったのよ。それこそ、周りが呆れるくらいには。…いつから居たの?』
事と次第によったら…取り敢えず回し蹴りから右ストレートのコンボをして、様子見で飛び膝蹴りか鳩尾に拳にしとかなければいけないわね。
「…えっと、先送りの棚上げ…辺りかな。」
『目が泳いでるね。…どうせ、私が悩み始めた最初っから居たんでしょ?』
もし立ち聞きしていたのがリュシオルではなく、他の人だったらこの発言にも同意できたんだけどね。
…私の一人言だけだったら、それ自体は余り意味をなさないが、フローリアさんと会話をしていたリュシオルには私の一人言の“本当の意味”が分かったはずだ。…盗み聞きって点は、私が強く言えた事ではないけどさ。
「…っ、はぁ…。ミナトって、本当にそう言う所は勘が鋭いよね。」
『年齢…まぁ、享年が17な上に普段が割りとふわっふわってしてるみたいだから気付かれ難いけど…私、案外頭の回転は速い方なのよ?多分、リュシオルが思っているより速いわ。』
生きてる頃はしょっちゅう頭痛がしてたけど…幽霊になってからはどんなに考え過ぎても頭が痛くならないから良いなぁ。『…今は、リュシオルの言葉には返事は出来ない。…フローリアさんは、時と場合を見計らってお断りの旨を伝える…私から言えるのはそれだけ。』
「…そっか。」
『私、先に家帰っとくね。…あ、あと…今度からちゃんと“男”としてリュシオルを見るから…よ、よろしく。』
リュシオルの返事を聞かないで私はフワリと浮いてから、今出せる最高スピードでその場から逃走した。…幽霊になってから、声以外で引き留められなくなったのはデメリットも多いけど…今だけはメリット大有りだわっ。え、それじゃあまるで言い逃げじゃないか?結局リュシオルとは帰るところが一緒だから、数分かそこらしか効果ないわよチクショウ!明日からどう接したら……まぁ、私バカだしね。深く考えても始まんないからいつも通りにいってみよう!何か似たような事数分前にも考えたけど気にしない、気にしない。…完璧に墓穴掘ったけど、気にしないっ!
「っ~~…ミナト、その顔は反則…だよ。」
後ろで何か聞こえた気がしたけど気のせいだよきっと!ただの照れ顔に、反則も何もないだろ!?