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▼幽霊少女の日常生活。

全体的にぐた~っとしてます。


『リュシオル~、朝だよ~?早く起きないと、鳩尾に肘打ちするよ?』


我ながら、バイオレンスな起こし方だな。


「うぅー、あともう少し……むにゃ…。『…イラッ。…必殺、乙女のお目覚めアタック(鳩尾に喰らわせるただの肘打ち)!!』ゴファッ!?…っ~~、いってェ。もう少し優しく起こしても良いじゃんか、ミナト!…ってうわぁぁぁぁあ!!?」


『早く起きない方が悪いわ。私、意外と短気なのよ?…後、初対面の時みたいな叫び声上げてどうしたの。』


「ミナト!?ななな何て言う格好をしてるんだ!」


『ああ、これ?今日から寝間着をネグリジェって言うのに変えてみたよ。……成程、その反応だとリュシオルには刺激が強すぎたか。…クックック。』


「何その悪巧みしてそうな微笑みは!」


『べっつに?次は少し透けてる感じの色が黒のやつにしようと思っただけよ?』


「止めて止めて止めてっ!き、君には恥じらいってものはないのか!?」


『そんなの、死んだときに吹っ飛んだわ。』


「吹っ飛ばないで!」






「そこの二人、戯れあってないでそろそろ支度をしてくれるかい?」



結局お母さんが来るまで、二人で騒いでいました。




アーベ家に来てから早2ヶ月ちょい。私の1日は、服を寝間着(さっきのとか、普通のパジャマとか。)から普段着(Yシャツの上ににカーディガンを羽織って、膝丈のフレアスカートを穿いている。)に着替え…イメージでパッと変わるから、着替えかな?コレ。…まあいいや。それに着替えたあと、朝食の手伝いから始まります。


リュシオルを起こすこと(弄り倒すとも言う。)は、最早毎朝の日課です。



『お母さん、お皿とコップ出しとくね。』


「お!気が利くね、ミナトちゃん。ありがとう。」


『いえいえ、私居候の身ですから、これくらい当然ですよ。…あ、リュシオル。テーブル拭いて貰える?両手が塞がっちゃって…。』


「…ああ、良いよ。(うぐ…ミナトを見ると、さっきの光景思い出してしまう…。意外と大きな胸だったな…って、いかんいかん!)」


『リュシオル?何百面相してんの。早くテーブル拭いてよ。』



何か、リュシオルが挙動不審だな…。後で、理由を聞こう。ニヤニヤ。(確信犯ですけど何か?)




「ミナトちゃんが手伝ってくれるから、リュシオルと二人の時より早く準備が出来るよ。」


『まぁ、私幽霊ですから…。物を食べなくてもいいから、食事は従来の二人分で良いですしね。』


「またそんな…。幽霊だからって自分を卑下しなくても…。」


『事実ですから。私と言う異端な存在を受け入れてくれるだけでも有り難いんですから、少しでも恩返ししたいですし。』


「…ミナトはちょっと変わってるだけで、全然異端な存在じゃない。」


『リュシオル…。それを人は異端と呼ぶのよ?』


「ミナトはミナトだろ?」



「そこー、イチャつくなら朝ごはん食べてからにしなさい。」


『イチャついてなんかいませんよ!』



「ミナト、即答…。」



こう言うからかいには、幽霊になる前も、幽霊になってからも慣れていない…。ってリュシオルにバレたら、絶対調子に乗る。……幽霊が顔赤くならなくて良かったわ。




『では、お母さん。私はお使いに行ってきます。』


「んー、行ってらっしゃい。」


「じゃあ、お袋。俺も猟に行ってくる。…朝ごはん、今日も美味しかった。」


「今度こそ、可愛い幽霊ちゃんじゃなくて、【雪ウサギ】を捕まえてきなよ?…朝ごはんが旨いのはいつもだよ。」


「分かってるよっ。」



リュシオル、その[分かってる。]はどっちの意味の分かってるなんだろ?



『後お母さん、私は可愛くないですよ?』


「だから、自分を過小評価し過ぎだよミナトちゃん!」



またちょっとばかしお母さんと一悶着あったけど、長くなるから割愛。




「お、ミナトちゃん!今日は何買ってく?野菜安くしとくよ!」


「ミナトお姉ちゃん、遊んで!」


「ミナトちゃんおはよー。」




いやいや、この村の人達私(幽霊)の存在に馴染みすぎじゃね?すっげぇナチュラルに受け入れすぎじゃね?と言うか、私の姿って、思いっきり見えちゃってるんですね。



『(私に何かあんのか?)…今日は玉葱を二つに人参を三本、あとジャガイモを五つお願いできますか?…ミミィ(子供の名前。)お使いが終わったら遊んであげるよ。』


「やったー!」


「ほい。玉葱二つに人参三本、ジャガイモ五つで7ゲルトだ。」



ゲルトはお金の単位。1ゲルト硬貨=100円みたいな感覚。他にも、1000円ポジションの10ゲルド硬貨や、5000円ポジションの50ゲルト硬貨ってのもある。(この村だと滅多に使うことないけど。)



『はい、これで足りますか?』


「ん、ちょうどだ。…毎度ありがとうな!また利用してくれな〜!」



八百屋のおっちゃんは、気さくでいい人。



「ミナトお姉ちゃん!遊んで遊んで!」


『ミミィ、まだ私お使いが終わってないんだけど…。』


「えぇぇえ!!?じゃあいつ終わるのさ?」


『このあと野菜が入った籠を家に置きに行くから、その後ね。』


「うぅー…分かったよ!」


子供は素直で可愛いなぁ。


リュシオルも素直だけど、あっちは弄った方がいい味出るんだよね。普段から弄られキャラっぽいし。



『(あ、近所にある花屋の娘さんだ。…家の前うろちょろしてどうしたんだ?)…こんにちは〜。』


「っ!?こここんにちは!」


『家に何かご用で?お母さん呼びましょうか?』


「いいいい良いよ!呼ばなくて!寧ろ呼ばないでっ!!」


この人、さっきから吃り過ぎじゃね?何かあったの?



あ、手に真っ赤なチューリップの花束持ってる…。……ははぁん、そう言うことか。


『リュシオルなら、夕方に戻ってきますよ?……告白するなら、村の教会の裏庭が良いよ。夕方ぐらいだとキレイな夕焼けが見れるから、ムード満点だし。(ボソッ)』



「っ~!!!?」



娘さんの耳元でそう囁いたら、面白いほど顔を真っ赤にさせた。あはは、リンゴみたい!


あの顔は恋する乙女のそれですな!いやー、青春だね。



『私、青春する前に死んだからなぁ。…ちょっと羨ましい。』


「えっ、ミナトさんって何歳なんですか?」


『17歳で死んだから…永遠の17歳だぜ!』


「ウソッ!私と同い年なんですか!?と、年下…13歳ぐらいかと思ったのに…。」



…東洋人種は幼く見られるからなぁ。…にしても13歳って…。流石にサバ読み過ぎだろ、お姉さん。私そんなに幼くないわ!…幼くないつもりよ!





花屋の娘さんの名前は、フローリア・リリーと言います。


因みに、赤いチューリップの花言葉は《愛の告白》です。



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