表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

▼幽霊少女は、異世界人と遭遇しました。

あ、死んだ。



そう認識したのは、真っ赤に染まった道路と、砕けたメガネ、逃げ去る車のナンバープレートを、激痛で朧気になった意識でぼんやり見つめた時だ。



居眠り運転だったのか、酒気帯び運転だったのか、その後の轢き逃げ犯が有罪になったのか無罪になったのか、私は知らない。知る術がない。



何故なら、



『ココ、何処よ。』



訳のわからない世界に居たからだ。





いやいや。私、轢き逃げされて思いっきり死んだよね。その証拠か知らんけど、手とか透けちゃってるし…。…幽霊になったんだろう。



だとしても、それならその轢き逃げ犯に取り憑くか(呪う気満々です。)、その場に留まって地縛霊になるか(適当に姿表して、そこを心霊スポットにしてやる。)、そのまま浮遊霊になるよね?断じてモンスターをハントするような世界に在りそうな森の中に漂うわけないよね?



『…あー、全くわっかんね。』



だいたい、私しがない学生よ?…もう[だった。]…過去形な訳だけど、それでもしがない浮遊霊よ?何かしましたか?私。



むおーっと、変な声上げながらジタバタゴロゴロと悩んでいたら、近くの茂みがガサガサって音をたてた。



『…まさか、マジでモンスター的な生物?』



幽霊だから喰われることないだろう…ないといいな!


もう鳴らないはずの心臓が、ドキドキと脈打つ。(脈もないけど…気分的に。)




「うわっ!」



ドッテーン!




『………何だ、人かよ。』


茂みの中から出てきたのは、私と同い年ぽい青年だった。


「イテテ…くっそ、また逃がした!」



何か追い掛けてるのかな?


『何追い掛けてるの?』


「【雪ウサギ(スノウラビット)】って言う兎だよ。毛皮は手触り良いし、肉も旨いから、狩って市場に出すと、そこそこ高値で売れるんだけど…。アイツ、すばしっこくて中々捕まえられないんだ。」


『へぇー、大変だね。』


「他人事だと思って…。君は何のために…ここへ……へ?」


『あ、漸く気付いた?初めまして、私は「うわぁぁぁぁあ!!!!?」…って、自己紹介する前に逃げたし…。』



でもあの青年、私の姿が見えてたな。



『後追っかけてやろ。』






「はぁはぁ、っ…はぁ。ここまで来れば、大丈夫かな…。」


『足速いねー。』


「まぁ、いっつも【雪ウサギ】追いかけてたから、これくらいは序の口…ってあぁぁぁぁ!!!?」


『その大声、森だとともかく、ココだと近所迷惑だよ〜?』


「っあ…!〜〜〜!!!?」



『そして、私に指摘されて口を押さえながら悲鳴あげるってか。素直だねー、おにーさん。


自己紹介が遅れたけど、私の名前は宮城(ミヤシロ) (ミナト)、湊が名前ね。人間で、因みに17歳で永眠しました。


見ての通り幽霊だけど、別におにーさんに危害を加えに来たわけではないの。…おにーさんの名前は?何歳?種族何?』



「お、俺はリュシオル。リュシオル・アーベ。今年の春で19になる。種族は…ちょっと特殊だけど人間。」



『わお、同い年かと思ったら意外に年上だ!リュシオルさん背ェ高いのに童顔〜。(…人間なのに、ちょっと特殊って何だよ。)』


「地味に気にしてることを、さらっと…!」


『あら、ごめんね?わざと。』


「尚の事たち悪い!」





「で、ミナトは何のために俺を追ってきたの?」


『ん〜、何となく。「傍迷惑なっ!」あはは、うそうそ。私の姿見えたから、どんな人かな〜って思って。』


「姿が見えたって…、ここの村の人は全員見えると思うけど…。」


『本当に?確証持てる?』


「確証は…。っあ、俺のお袋に会わせてみよう。そうすれば、少なくとも俺の家族には見えてるって分かるだろ?」


『…分かったけど、私の姿見せて大丈夫かな?リュシオルさんみたいに叫ばない?』


「お袋の方が神経図太いから…。寧ろ歓迎するかも。」


『頼もしいお母さんだねぇ。』




リュシオルさんの後ろをふよふよと浮いて付いて行く。(憑いて行くって言った方が言いかな?)


その際、村人であろう人達に、ジロジロ見られまくった。



『リュシオルさんの言葉、本当みたいだね。さっきから視線が痛いや。』


「だろ?」


ドヤ顔してきたのがイラッとしたので、リュシオルさんの後頭部をぶっ叩いてみた。


バシッ



…わお。


「っ〜!痛いじゃないかミナト!」


『いや、まさか物理攻撃できるとは思わなくて…。私幽霊なのに。』



ビックリしたのは、寧ろ私の方よ。





リュシオルさんの家に着いたは良いんだけど、


「まぁ〜、リュシオルったら!可愛らしい女の子連れてきて!え、幽霊?こんなに可愛い幽霊なら大歓迎さね!行くところないなら、うちに居なよ。…あ゛?リュシオル何か文句あるかい!?…ミナトちゃん…だっけ?ようこそアーベ家へ。これからはヨロシクね!」



…マジで歓迎されたよ。有り難いけど。


お母さんの顔通しが一応済んだところで、一度リュシオルさんの部屋を訪れた。



『何か豪快なお母さんだね。』


「いきなり入ってくるなよ…。…お袋は若い頃冒険者やってたらしくて…。お陰で大概のものは驚かなくなったらしい。」


『ふーん、そうなんだ。リュシオルさんも、ちょっとはお母さんの図太い所見習えばいいのに。』


「無理だよ。俺は、お袋みたいにはなれない…。」


『当たり前じゃない。人は、人。自分は自分。その人みたいになりたいと思っても、なれないのが現状。

だけど、その人に近づくためにした努力は、きっと別のところで役立つと思うよ?』


「そうかな…。」




『あ、どうして私がリュシオルさんを叩けたか多分分かったよ。』


「何だったんだ?」


『ポルダーガイスト…普通は、霊が物理干渉で起こす念動力的な現象なんだけど、それかなって。』



「へぇー、それで俺の頭を叩けたって訳か。」


『今度は、私の方が確証ないけどね。』



「まぁ、今日から一緒に住むんだし…ヨロシクな、ミナト。」


『こちらこそヨロシクね、リュシオルさん。…ん~、そっちの方が年上なんだし、《お兄ちゃん》って呼ぼうか?』


「ぶっ!止めてよ、恥ずかしい!…でも、さんは付けなくても良いよ?何かむず痒いから。」


『了解、リュシオル。』




こうして、幽霊少女と童顔青年は出会った。



リュシオル達の《特殊》って意味を追々書ければと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ