狂愛の黒猫
皆さんこんにちは。
ようこそ『遙か遠くの物語』へ。
前回に引き続き、案内人を務めさせて頂く鈴音と申します。
この物語では、遙か遠く、様々な国で語り継がれてきた童話・民話をお話しています。
さて、今回は狂おしくも愛しい黒猫の物語です。
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君が喜ぶ事、してあげたいよ。
君の笑顔が見たいんだ。
何で泣いているの?
キミを悲しませる存在。
キミを苦しませる存在。
全てボクが消してあげるから。
だから泣かないで。
ボクの世界でたった一人、大好きなキミ。
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ボクは元々捨て猫だった。
寒くて、暗い箱の中に閉じ込められていた。
そんなボクを拾ってくれたのはキミだった。
それからは、ボクはキミの側を離れないと誓った。
ずっと一緒にいるんだ。
キミの笑顔を守るんだ。
だけどボクは、また捨てられた。
キミの存在を煙たがる人達によって、殺された。
ナンデ殺サレナキャナラナイノ?
ボクハ悪イ事ナンテシテイナイノニ。
キミヲ守レナイ。
悔シイヨ───。
その想いがボクを魔物へと変えた。
これでまたキミを守れるね。
キミがまた笑顔を見せてくれた。
それだけで存在するには十分だよ。
キミは何が欲しい?
何を望む?
何がいらない?
何が邪魔?
全て叶えるよ?
“あの人たちが許せない”
キミが指さした先には、ボクを殺した奴ら。
“あいつらが許せないならば葬り去ってあげるよ”
キミの為。
“少し後ろを向いていたら、すぐに終わるからね”
キミは瞳を閉ざし、後ろを向く。
“さぁ、死んで?”
不快な音は立てやしない。
キミが嫌だと言うからね。
部屋も全てが元通り。
違うのは、そこに人がいないこと。
存在しないこと。
“ありがとう、ロイ”
キミのその言葉が、ボクにとって唯一の安らぎ。
次は何をしたい?
“次はあれがいらないわ”
キミに危害を加えようとした奴ら。
全部全部壊すよ。
消すよ。
“次はこれ”
“その次はあっち”
ねぇ、何で泣いているの?
“淋しいのよ”
どうして淋しがるの?
ボクがいるのに。
“いつか別れが来てしまう。ロイが居なくなるのが怖いの”
そうか。
ならずっと一緒に居ればいい。
ボクはキミの側を離れない。
朽ち果てる時までずっと────。
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如何でしたでしょうか?
古来より黒猫は幸運・不運、どちらの象徴にもされて来ました。
ですが私はこう考えました。
もしかしたら黒猫は、愛や服従、狂気の象徴なのではないかと。
皆様は如何ですか?
何にせよ、それは貴方の思う事。
貴方の心のままに。
昔々ある処、また逢える日まで、ご機嫌よう。




