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狂愛の黒猫

皆さんこんにちは。

ようこそ『遙か遠くの物語』へ。

前回に引き続き、案内人を務めさせて頂く鈴音と申します。

この物語では、遙か遠く、様々な国で語り継がれてきた童話・民話をお話しています。

さて、今回は狂おしくも愛しい黒猫の物語です。


                ★━━━━━━━━━★


君が喜ぶ事、してあげたいよ。

君の笑顔が見たいんだ。

何で泣いているの?

キミを悲しませる存在。

キミを苦しませる存在。

全てボクが消してあげるから。

だから泣かないで。

ボクの世界でたった一人、大好きなキミ。


                ★━━━━━━━━━★


ボクは元々捨て猫だった。

寒くて、暗い箱の中に閉じ込められていた。

そんなボクを拾ってくれたのはキミだった。

それからは、ボクはキミの側を離れないと誓った。

ずっと一緒にいるんだ。

キミの笑顔を守るんだ。

だけどボクは、また捨てられた。

キミの存在を煙たがる人達によって、殺された。


ナンデ殺サレナキャナラナイノ?

ボクハ悪イ事ナンテシテイナイノニ。

キミヲ守レナイ。

悔シイヨ───。


その想いがボクを魔物へと変えた。

これでまたキミを守れるね。

キミがまた笑顔を見せてくれた。

それだけで存在するには十分だよ。

キミは何が欲しい?

何を望む?

何がいらない?

何が邪魔?

全て叶えるよ?


“あの人たちが許せない”


キミが指さした先には、ボクを殺した奴ら。


“あいつらが許せないならば葬り去ってあげるよ”


キミの為。


“少し後ろを向いていたら、すぐに終わるからね”


キミは瞳を閉ざし、後ろを向く。


“さぁ、死んで?”


不快な音は立てやしない。

キミが嫌だと言うからね。

部屋も全てが元通り。

違うのは、そこに人がいないこと。

存在しないこと。


“ありがとう、ロイ”


キミのその言葉が、ボクにとって唯一の安らぎ。

次は何をしたい?


“次はあれがいらないわ”


キミに危害を加えようとした奴ら。

全部全部壊すよ。

消すよ。


“次はこれ”


“その次はあっち”


ねぇ、何で泣いているの?


“淋しいのよ”


どうして淋しがるの?

ボクがいるのに。


“いつか別れが来てしまう。ロイが居なくなるのが怖いの”


そうか。

ならずっと一緒に居ればいい。

ボクはキミの側を離れない。

朽ち果てる時までずっと────。


                  ★━━━━━━━━━★


如何でしたでしょうか?

古来より黒猫は幸運・不運、どちらの象徴にもされて来ました。

ですが私はこう考えました。

もしかしたら黒猫は、愛や服従、狂気の象徴なのではないかと。

皆様は如何ですか?

何にせよ、それは貴方の思う事。

貴方の心のままに。

昔々ある処、また逢える日まで、ご機嫌よう。


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