第96話 中国主席と会談 続き 2019.12
リリィたちは庭園の一角に設けられた待機室で、美しい庭を眺めていた。
ジャック
「主席の態度、どう思う?」
リリィ
「慎重ね。しかし、決して無視するつもりはなさそうだったわ。」
その時、扉がノックされ、秘書官が再び姿を現した。
秘書官
「主席が再びお会いになりたいとのことです。すぐにお越しください。」
リリィたちは互いに視線を交わし、覚悟を決めて立ち上がった。再び主席との対話が始まる。
主席の執務室に戻ったリリィたちは、先ほどと同じ配置で再び着席した。主席は深いため息をつきながら、リリィたちを見つめた。
主席
「我々は協議を行った。確かに、世界的な危機であることは理解した。そこで、条件がある。」
リリィ
「条件?」
主席
「ワクチンの量産と配布を、中国が主導すること。各国への配布は我が国を通じて行う。」
リリィは眉をひそめた。
リリィ
「それでは、他国の対応が遅れる可能性があります。共同で迅速に進めることが重要なのです。」
主席は腕を組み、しばらく沈黙した。そして、静かに言った。
主席
「それでは、妥協案として中国と他国が合同で管理する国際機関を設立し、ワクチンの配布を調整することにしよう。」
リリィは少し考えた後、うなずいた。
リリィ
「その案ならば、世界全体の利益になりますね。合意します。国際機関といえば、WHOがそれに当たります。中国と他国が合同で管理するよう、WHOに新ウイルスのワクチン製造部署を作るように進言しましょう。」
主席はうなずき、秘書官に指示を出した。
主席
「では、具体的な調整に入ろう。その前に食事の用意ができたようだ。」
リリィ
「主席、お礼と言ってはなんですが、回復の魔法をかけてもよろしいでしょうか。いつも協力していただいた方にサービスしているのですが。病院の患者に施した魔法です。」
主席
「回復? そうか。うむ、では、やってくれ。」
リリィさんが席を立ち、一歩進んで言う。
「ここにいる皆さん全員に、回復魔法をかけましょう。秘書官とSPさんもじっとしててね」
リリイさんの手元が、光り、応接室にいる皆に光が伝わっていく。
主席、秘書官達、SP達は一瞬、身構えたが、光が満ちていくに従い表情が穏やかになっていく。
「おおお、体がぽかぽかする。サウナに入っているようだ」主席がいう。
「本当だ、肩のこりが無くなった」秘書官が驚いている。
「体が熱くなったと感じた人は、体に悪い部位があった人です。そこが健康になったので、よかったですね」
主席は意外そうな顔をしたが、笑顔で答えた。
「そうなのか。ありがとう」
やがて、別室の間に移動すると、大きなテーブルに中華料理が並べられていた。主席とリリィ達一行が食事の席に着き、笑いがもれる。歓談の場となった。
リリィに、また、友人が増えたかもしれない?
・・・・・・・・・
主席
「リリィさん、あなたは、他にも手がけていることが多いとか。例えば国際警察官もあなたが設立したとか。」
リリィ
「そうですね。国際警察官もそうですが、、核融合炉の建設、原子力発電所の廃炉事業、AIゴーレム製造、コンビニボーソンもありますね。」
主席
「なんとも素晴らしいね。核融合発電所の建設もすすんでいるのか。」
リリィ
「発電コストも安く、放射能漏れの心配もありませんから、多くの国から建設の要望が来ております。」
主席
「そうか。我が国からも要望しても大丈夫か?」
リリィ
「大丈夫ですよ。優先してお受けします。」
主席
「それは、ありがたい。ははは」
リリイ
「今後、計画しているのは、宇宙エレベーターですね。巨大隕石群が地球に接近してきても迎撃できるように、2~3年をめどに完成させようと思います。」
主席
「宇宙エレベーター?、あの構想は当面難しいと聞いていたが、、」
リリィ
「科学と魔法の融合で、新素材を開発すれば、私は可能と考えています。」
主席
「それも、素晴らしい話だ。ぜひ、中国にも参画させてほしいね。」
リリィ
「大歓迎ですよ。」
食事後も、有意義な将来の話が行われた。
会談は、終わり、庭に出たリリィ達は、ニューヨークの拠点に転移した。
見送った、主席、秘書官、SP達は、転移の魔法に驚きを隠せなかった。
「なんとも、驚くべきやつらだった。もっと、西側諸国のことを知る必要がある。我が国は取り残されるぞ。励め、みんな」
秘書官たち
「「「はっ」」」
・・・・・・・
ニューヨークの拠点に転移したリリィ一行は、ようやく緊張から解放された。
マモル
「いや~、さすが中国主席、迫力がすごかったな!俺なんか一言も話せなかったよ。」
ジャック
「まあ、リーダーなら、普通のことだ。」
マーガレット
「でも、お食事は美味しかったニャ。味は濃かったけれど。」
リリィ
「みんなも緊張していたでしょうし、今日はゆっくりしましょう。」
マモル
「了解。まずはお茶でも淹れようか。」
リリィたちはラウンジに移動し、各々がリラックスし始めた。マモルはソファに飛び込み、深く息を吐いた。
マモル
「はぁ~、このクッション最高!やっぱり西側の文化っていいよなぁ。」
マーガレットがくすりと笑う。
ガルド
「それにしても、中国での交渉はうまくいったな。次はどこへ行く?」
リリィ
「WHOに行って、ワクチン製造の話をしないと。それから、新ウイルスへの病院の体制を考えないとね。まだまだ、この問題は続くわね。」
ジャック
「まずは、一休みだ。ジャグジーにいこう。」
コモン
「いいな、それ。少しは気を抜くのも大事だ。」
こうして、リリィ一行は久々の休息を楽しむことにした。
・・・・・・・・・・・・
闇の世界
闇将軍が叫ぶ。
「やはり、感染が鈍化、弱化しているぞ。もっともっと変異させて、死体から血を抜き取って、バラまけ、強毒化しろ。もっと人を移動させろ。空を飛ぶ乗り物を使え。拡散しろ。世界中にだ。一気にいけ。もっと魂を集めろ。」
「「「「はっ」」」」
闇獣達が散っていった。




