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第86話 ダンジョンコアの卵   2019.10

ニューヨーク拠点の早朝、リビングルームで、マモルがふと口を開く。


「コモンさん、ちょっと聞いていいですか。」


すぐに、相手は軽く笑いながら答えた。「いいぞ。何でも聞いてくれ。俺の分身能力の件か?」


しかし、マモルは首を横に振り、話題を切り替えた。「いえ、それはまた別の機会に。今回はダンジョンコアについてです。ダンジョンコアって、強すぎませんか? あれは一体どういうものなのですか?」


コモンは、無表情に答えた。「ダンジョンを作るための道具だ。」


さらに問い詰めるマモルに、コモンは事実だけを淡々と述べた。「誰がどうやって作ったかは知らない。昔からあって、ある惑星の崩壊で大量に集められたから、安価で手に入ったが、本来は高価なものだ。」


マモルは納得するように頷きながらも、更に続けた。「それじゃあ、市場に出回っている数は限られているのですね。新規には作られていない、と?」


「そういうことだな。」と、コモンは短く返し、さらに「培養神器の解析作業を進めているグネルなら、ダンジョンコアについてもっと知っているかもしれない」と言う。


「ダンジョンコアは頑丈だと思いますが、壊れることはありますか?」と、マモルは疑問を重ねる。しかし、コモンは「俺は壊したことがないから分からない。壊れたら誰が治せるかも分からん」と、曖昧に返すだけだった。次いで、マモルは「崩壊した惑星に大量にあった理由は分かりますか」と尋ねても、答えは「分からない。」であった。


最後の質問として、マモルは「ダンジョンコアについて詳しい人はいますか」と問い、コモンはため息混じりに、しばらく沈黙した後、「分からない。すまん。今まで、そんなことを考えたこともなかった。あるものを利用する、と単純に考えていただけだ」と、呟いた。


その場の空気は重く、誰もがダンジョンコアの謎に思いを馳せた。静かに聞いていたジャックが、口にした。「なるほど、改めて考えると、ダンジョンコアとは不思議なものなのだな。」


マモルはさらに続ける。「僕が原因かもしれませんが、地球の災害を救うために使っているこの道具が、もし不安定なら……地球上に数多くのダンジョンコアがある現状は、本当に安全なのでしょうか。正体が不安定なものであれば、大変なことになります。」


リリィは深刻な表情で言う。「私も、ダンジョンコアのことは便利な道具だと思っていたわ。しかし、もし不安定になれば、いうことを聞かなくなり、暴走して魔物で溢れるダンジョンになる可能性もあるかもしれない。」


ジャックは、「やはりグネルに聞いてみるのがいいかもしれんな」と、提案する。


――――――


その時、コモンが見えないタッチパネルを操作しながら急に声を上げた。「リーダー、まずいかもしれない。」

リリィがすぐに問いかけた。「どうしたの? コモン」


「マモルに、ダンジョンコアが不安定ならどうするか聞かれたので、全てのダンジョンコアにアクセスしてみたところ、1体だけ返事がないものがあるんだ。」

「それはどこのダンジョンなの?」とリリィが尋ねると、コモンは答えた。「富士樹海の沼ダンジョンだ。」


「みんな、集合。富士樹海の沼ダンジョンが返事をしない。現場で確認が必要よ。全員で行きましょう。」

こうして、リリィたちは転移魔法により、一斉に薄暗い沼ダンジョンへと降り立った。


沼ダンジョンの内部は、かすかな光が差し込み、湿った空気が漂っていた。コモンが、注意を促すように告げた。「少し前に、マッドゴーレムとウッドゴーレムを数体、ここに放してある。突然現れるかもしれんから、気を付けてくれ。」


再びコモンがタッチパネルに触れ、ダンジョンコアを浮き上がらせた。すると、そのダンジョンコアは真っ赤な輝きを放ち、表面にはゴルフボール程度の小さな玉が数個付いていた。リリィは驚いて尋ねた。「これは卵じゃないの?」


「分からない。聞いたこともない。見たのは初めてだ。」と、コモンは答えた。その後も操作を試みるが、返事はない。「眠っているのか、壊れているのか」とジャックが呟く中、マモルは「写真を撮って、グネルさんに見てもらいましょう。何か分かるかもしれない」と提案し、リリィは「そうしましょう。マーガレット、写真に撮っておいて」と命じた。


その後、リリィたちはニューヨーク拠点へ戻り、すぐに、リリィ、コモン、ジャックは転移魔法で勇者ギルド星へ向かった。


――――――


翌日、勇者ギルド星から帰還したリリィは、重い口を開いた。「あれは、ダンジョンコアの卵らしいわ。ああやって数が増えるらしいの。凄く落ち着く安全な場所にダンジョンコアを置くと、稀に卵を生むらしいのよ。グネルが調べてくれたわ。」

続けて彼女は説明する。「産卵中は、病気になりやすいし、気が立っているから、そっとしておくように言われたわ。それと、卵が育ったら、ダンジョンコアから分離するから、一つサンプルに欲しいとグネルに頼まれたわ。」


マモルは歓喜混じりに声を上げた。「卵! コモンさん、良かったですね。ダンジョンコアを増やせるかもしれませんよ。」


しかし、コモンは苦い表情で答えた。「いや、少し問題がある。病気になりやすいなら、あそこに放してあるマッドゴーレムとウッドゴーレムが卵に影響するかもしれない。どんな影響かは分からないが。」


マモルはさらに未来のマーガレットに、ダンジョンに関するメッセージが届いているか尋ねたが、マーガレットからは何もメッセージは来ていないという。


「ということなので、コモンさん、心配ないんじゃないですか」とマモルが言うと、全員が頷いた。


こうして、メンバーはダンジョンコアについて、少しだけ不安を胸に、気にしないことに決めたのだった。

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