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第77話 傭兵ホイホイ作戦 実践編 2019.10

ロシア、モスクワの下町、酒場で


ある小男が、酒場のマスターにいう。


「マスター。これで、酒を飲ませてくれ」

小男が、小指の爪ほどの黄色いコインを見せた。


「あぁん、こりゃ、金貨じゃねえか、純度は低そうだが、昔の金貨か。こんなもん、どこで手に入れた?」


「やっぱりそうか、金貨だったか。それで酒を飲ませてくれ」


「ああ、いいぜ、このボトルをやるよ」とマスターは、半分ほど残っていたウオッカを小男に渡した。


「ありがてぇ」、そう言って、小男が店を出ていった。


マスターがテーブルにいる男たちに、合図した。男たちは、小男の後を追いかけるように店を出ていった。


暫くすると、男たちが帰ってきた。

「あいつ、ちょっと小突いたら、ペラペラとよくしゃべったぜ」


「で、なんて言ってた?」


「なんでも、洞窟の中で見つけたらしい。汚い箱に一つだけ入っていたらしい。」


「ほほぅ、その洞窟はどこにあるって?」


「ああ、それも聞いてきた。あした、行ってくるぜ」


「いや、俺もいくぜ」マスターが笑みをうかべて言った。


翌日、小男が言っていた洞窟は、すぐに見つかった。地面に埋まっている大きな岩が割れて、そのひび割れから入ると、洞窟になっていた。


マスターは、男たちを前に先導させながら、どんどん洞窟を進んでいた。男たちは手持ちに1日分の食料を持っていたが、思ったよりも洞窟は奥が深かった。


1時間ほど、洞窟を進むと、小箱が転がっていた。これが、金貨が入っていた箱のようだとマスターは調べたが、小箱に仕掛けはなく、中も空だった。


「よし、これと同じような小箱をさがせ」マスターが命じる


「ボス、あの金貨は、なんですか」男が聞いた


マスターは実は、傭兵部隊の小隊長だった。最近、傭兵の仕事にあぶれて、飲み屋のマスターをしていたのだ。


「ありゃ、おそらく、帝政よりも前の、貨幣と思うぜ、この洞窟にあの金貨一つとは思えない。もっとある。大きな箱に隠してあると思うぜ」


「なるほど、帝政前の時代に、逃げた商人か、盗賊の隠し財宝か?」


「多分な。俺はそう思う。」


「よし、もっと奥に行こうぜ」


やがて、大きな広い所に出た。


奥の方に大きな箱がいくつか置いてあった。


男たちは、喜んで、大きな箱に近づくが、周りから、多足の虫がぞろぞろと無数に這い出してきた。


「こりゃ、もっと、ゴツい武器をもってこないとダメだな」

傭兵ボスが男たちにいうと、やむなく撤退した。


町に帰った傭兵ボスは、手元にある資金を集めて言った。

「洞窟だから、火炎放射器はダメだ。爆弾も酸欠になるからダメだ。銃も跳弾が怖い。弓か?ボーガンと、クロスボウだな。それと、スリングだな。それらを用意しろ。あの大箱を取りに行くぞ。武器屋に買いに行け。この金で、武器屋にあるだけ買ってこい」


翌日、傭兵たちは、虫たちを殺しまくり、大箱から、数十枚の金貨を手に入れた。


「ちくしょう。もっとあると思ったのに!!」

マスターは悔しがった。武器屋で買った、武器の代金よりも収穫が少なかったからだ。


「明日、もう一度行くぞ。大箱がもっとあるはずだ。」


・・・・・・


武器屋は、ボーガン、クロスボウ、スリングを買いあさっていった傭兵達を見て、不思議だった。

「なんで、銃を使わねえんだ?」


武器屋は、男たちに近づいて、聞き出そうとしたが、男たちの口は固かった。しかたがなく、男たちの後を付けて、洞窟に入っていったが、洞窟内で道に迷ってしまった。さんざん、さまよって、洞窟の中で、入口とは違う出口を見つけた。


武器屋は、外に出ると、見たこともない森の中にいた。しかし、武器屋は、洞窟に戻る気は無くなっていた。食料がなかったからだ。


ジャングルをさまようと、町に着いた。町の住人は変わった人間だった。耳が頭の上についていた。獣人ばかりだった。武器屋は、銃を片手に、獣人に声をかけると、皆、決った方を指さした。


町の中をさまよい、人々の指さす方に進んでいくと、にぎやかな家があった。


武器屋は、その中に入ると、美しい女性が出迎えてくれた。彼女は猫に似ているが、


「旅のお方、冒険者の方ですかニャ?」と聞いてきた。


「いいや、冒険者じゃねぇ、俺は武器屋だ。」


「さようですか。では、冒険者登録はされますかニャ。そのようなみたこともない武器をお持ちニャのですから、さぞ、お強いのでしょうニャ」


周りを見ると、多くの獣人が見ていた。


「他の者は、しゃべらないのか」


「はい、獣人は、見知らぬ人と話はしませんニャ」


「そうか。何か食うものを売ってくれ」


「あちらのカウンターに、食べ物を売ってますニャ」と別のカウンターを指さした。そこには、獣人がパンのようなものを売っていた。


武器屋は、そのカウンターに近づいて、食べ物を売ってくれるように言ったが、武器屋の持つ金は、銅のロシアコインと、紙幣だったので、断られた。


しぶしぶ、受付のカウンターに戻り、食べ物がほしいが金がないといった。


「では、お客様、やはり、ここで冒険者登録をして、ここで冒険者の仕事をして、金を稼ぐしかありませんね。いかかいたしますかニャ?」


武器屋は少し、考えて、冒険者登録をして、金を稼ぐことにした。

女から、ながながと冒険者の心得を聞いたのち、冒険者のカードをもらって、

女からクエストを受けた。町の外に出て、「魔獣を倒して来いニャ」と笑顔でいう。


「いや、俺は、武器屋だからなぁ」といいながら、外に出ると、ジャングルの中かには、光る目をした魔獣が見ていた。武器屋は、散弾銃を撃った。魔獣は簡単に死んだ。犬のような姿の魔獣だった。


そのまま、その魔獣を担いで、持って帰り、受付嬢に見せると


「お客様、素晴らしいニャ」と言って、別の買い取りカウンターに連れていかれた。そこの獣人は不愛想だったが、買取のお金を得た。なんと、金貨だった。


「こりゃぁ、金貨じゃねえか」


「そうですニャ、ここのお金はみんな同じニャ、その1種類しかないニャ、王都に行けばもっと大きな金貨もあるニャ」


「そっ。そうなのか。それで、これで、あそこのパンを買えるのか」


「買えるニャ。金貨1個でパン5つ買えるニャ」


「そっそうか。パンは高いんだな」


武器屋は、パンを5個買って食べた。フランスパンよりも固くて、歯茎にささるようなパンだった。全然美味しくなかった。パンを1個たべるのに固くて苦労した。


もう帰ろう。そう思って、ジャングルに入り洞窟を探しあて、洞窟をさまよい、残りの固いパン4個を食べても、なかなか、洞窟を出られなかった。洞窟の地図が頭に浮かぶほどさまよった。突然、後ろから声をかけられた。


「武器屋、お前、なんでここにいる?」傭兵ボスが凄んで言う。


武器屋はあきらめたように

「助かった。外に出たいんだが、出口を教えてくれ」と笑顔で返事した。


「まず、お前、金貨を手に入れなかったか?」


「ああ、町で金貨を手に入れたよ。」武器屋がいう。


「町って何だよ」傭兵のボスが凄む。

傭兵のボスは、あれから何度も洞窟の中に入っても、金貨を1枚も見つけられなかったのだ。


かみ合わない二人の会話が続き、武器屋の持つ金貨をみつけて傭兵のボスが取り上げた。


「こんなに多くの金貨、どうやって手に入れた」


武器屋は、拷問されるよりマシと、いままでのことを詳細に説明した。洞窟から出ると森に出て、近くに町があって、魔獣を殺して、町の「冒険者ギルド」に持っていくと、金貨に変えてくれると、全て語った。


傭兵のボスは、ニヤリと笑って武器屋の肩に手をかけて、

「今日から、お前は俺のマブダチだ。俺たちをその町まで連れていけ」


武器屋は、肩を羽交い絞めにされて、断ることはできなかった。


もう食料もなくなったのに、もう一度、洞窟に入り、ジャングルに入り、魔獣を狩って、町に入って、冒険者ギルドについたときは、本当に死にそうに疲れていた。傭兵のボスは仲間を連れて、獣人がいる町を珍しそうにみながら、冒険者ギルドの窓口についた。


受付嬢が言う

「旅のお方達、冒険者の方々ですかニャ?」


武器屋が事前にいろいろ教えてくれていたので、あとは簡単だった。傭兵たち全員が冒険者登録して、途中で狩ってきた魔獣を買取カウンターに置くと、金貨が簡単に手に入った。


「なんだよ。こんなに簡単に金が手に入るなんて、俺たちゃついてるぜ。なあ」と仲間たちで爆笑した。武器屋は開放された。


武器屋は洞窟で彷徨い死にそうになりながら、なんとか、ロシアの下町に帰った。

「あの傭兵どもめ、武器屋の俺を脅しやがって、許せねぇ」


それから、武器屋は、武器を買いに来る傭兵には、「ダンジョンに行って金貨を手に入れてみないか」と金貨を見せながら、誘い、対価として、大金をせしめた。噂が広まり、傭兵達が武器屋に来るようになった。それら全てをどんどんと洞窟に案内して、洞窟の地図を売るだけで、大金が手に入った。しかも、武器も飛ぶように売れた。


武器屋は手元の金をもとに、ダンジョンの金貨を現在のロシアのお金に両替する商売をはじめた。銀行屋という奴が来て、ダンジョンの金貨をまとめて両替してくれるから楽だった。銀行屋の金の相場は適正な価格だった。

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