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第59話 コンビニ『ボーソン』計画 2019.5

【ニューヨーク拠点 会議室】


ガラス張りの壁に都市の光が反射する広い会議室。中央の楕円形テーブルには、リリィ、ジャック、ガルド、マーガレット、マモル、コモンが顔をそろえていた。

今日は、少し意外なテーマが議題に上っていた。


リリィが立ち上がり、全員に語りかけた。

「みんな、聞いて。次のプロジェクトは、コンビニチェーン『ボーソン』の世界展開よ。冒険者ギルド株式会社が、日常の便利さを全世界に届ける時が来たわ」


マモルは思わず目を丸くする。

「前から思っていましたけれど、冒険とはずいぶん違う気がするけど、どうしてコンビニなんです?」


ジャックが横にある資料を開きながら答える。

「理由は簡単だ。日常生活に密着する事業を通じて、世界中の人々を助けることができるからだ。冒険者ギルド株式会社の名前も知ってもらえる。そして、収益をさらなるプロジェクトに回すんだ」


マーガレットは猫耳をピコピコと動かし、目を輝かせた。

「おいしいものもたくさん売るニャ? 私もタコスとかおやつを置きたいニャ!」


リリィはくすっと笑いながら応じた。

「もちろんよ。でも、このコンビニには、普通のお店と違う点がいくつもあるわ」


【ボーソンの特徴】

コモンが手元のタブレットで映像を表示しながら説明を始める。


「まず、店員はすべてAIゴーレムが担当するわ。現地の人を雇うのは店長職だけにして、あとの接客や棚の補充はゴーレムでやる」


ガルドが腕を組んで、やや懐疑的に言う。

「ゴーレムが店員だと、人件費は大幅に削減できるな。それにしても、ゴーレムに接客業ができるのか?」


ジャックが頷いて補足した。

「もちろん可能だ。AIゴーレムには、シノブ指導のもと接客のノウハウをデータとして蓄積している。どんなお客様にも適切に対応できる」


マーガレットが首をかしげながら問いかけた。

「ニャハハ、でも、強盗が来たらどうするニャ?」


リリィは自信満々に答える。

「そこも心配いらないわ。強盗が来たら、店やお客様を自動的に結界で守り、ゴーレムがお花畑魔法を魔法陣で展開して相手を放心させるの。平和的な解決を目指すのが私たちの方針よ」


マモルは思わず笑みをこぼした。

「なるほど、強盗を放心させて無力化し拘束するわけだ。なんて平和的なんだ」


【特設ブースと未来の働き方】


再びコモンが資料を指差しながら語る。

「さらに目玉は、店内に設置するVRゴーグルによるアルバイトコーナーだ。空間魔法で利用者が増えればその部屋は自動で広がっていく。VRゴーグルは貸し出しも出来る」


マモルが身を乗り出す。

「アルバイトコーナー?それってどういう仕組みなんです?」


ジャックが頷いて説明する。

「簡単に言うと、VRゴーグルを装着すると世界各地のVRゴーレムとリンクできる。そのゴーレムを操作して、現地で発生しているクエストや作業を行うんだ」


リリィも補足する。

「たとえば、アフリカでの農作業や、ヨーロッパの博物館の清掃、あるいは遺跡発掘のサポートなど、多種多様な仕事をゴーレム越しに行えるアルバイトなの。その経験もAIが学習して、どんどん賢くなるわ」


ガルドが唸るように言った。

「つまり、貸出したVRゴーグルがあれば、体が不自由な人や現役を引退した高齢者でも、自宅にいながら働けるわけか。それはすごいアイデアだな」


マーガレットが手を挙げて質問した。

「ニャー、それって、稼いだお金はどうなるの?」


コモンが即座に答える。

「稼いだお金は、ボーソンの専用仮想通貨『ボン』として支給される。このボンは、ボーソンの商品を買うのに使えるし、さらに国ごとの通貨にも両替可能だ。やがて、コンビニボーソンの世界展開によって、世界共通通貨にするつもりだ」


マモルは驚きと興奮を隠せなかった。

「まさに新しい時代の働き方ですね。これは注目を集めそうだ」


【水と商品の価格戦略】


リリィが真剣な表情で言葉を継いだ。

「それから、水を格安で提供するのも重要なポイントよ。特に発展途上国では、飲料水の質が悪くて、病気になる人が多いわ。だからボーソンで、誰でも手に入る価格で安全な水を提供するわ」


ガルドが力強く頷いた。

「水が安ければ、お店自体の印象も良くなるだろうな。まさに生活必需品の供給拠点だ」


マーガレットがにっこりと笑って提案した。

「それなら、お店でマーガレット印のお菓子も売っていいかニャ?」


リリィは笑顔で返した。

「ええ、もちろん。あなたの猫耳マークをつけたら売れるかもね」


会議が白熱する中、リリィがふと視線をテーブルの奥に向けて口を開いた。


「皆、コンビニボーソンの出店管理を任せることにしたシノブさんが来ているのよ」


マモルは驚いて周囲を見回す。

「え? どこにですか?」


リリィは微笑んで答えた。

「そこのAIゴーレムを操作しているのがシノブさんよ。議事録をとってもらってたのよ」


マーガレットは目を輝かせて言った。

「ニャー! 遠隔操作していたのかニャ!」


コモンは納得したようにうなずく。

「君なら、コンビニ事業の総責任者として役員に抜擢するのもありかもしれない」


リリィはきっぱりと頷いた。

「彼女のポテンシャルを考えれば、最初から役員クラスの待遇で迎えるのがいいわね」


ガルドは目を細めながら感心したように言った。

「若いのにすごいな」


目の前のAIゴーレムが静かに立ち上がり、スピーカー越しに女性の声が響く。

「まさか、こんな大きな会社のプロジェクトに関わることになるなんて信じられません」


リリィは微笑みながら語りかけた。

「あなたの仕事ぶりを見て、私たちは確信したの。あなたなら、このコンビニ事業を成功させられるわ」


ジャックも真顔で続けた。

「コンシェルジュを目指していたなら、この仕事も合っているはずだ。ボーソンの成功のために力を貸してくれるか?」


シノブの声が真剣な色を帯びた。

「はい! 私の経験を活かして、最高のコンビニを作り上げます!」


その瞬間、会議室の空気が新たな希望で満ちていった。


リリィは声を張った。

「まずは最初の100店舗を開設して、この計画を成功させましょう! シノブさん、よろしくね」


「はい! 必ずや期待に応えてみせます!」


マーガレットは猫耳を揺らしながら、にっこり笑った。

「ニャハハ、シノブさんがいれば、このコンビニも安心ニャ!」


マモルはふと昔を思い出したように言った。

「まさか、東京のホテルで出会った彼女が、こんな大きなプロジェクトを担うことになるなんて、人生ってわからないもんですね」


【世界10万店舗の目標】


ジャックが新たなホログラムを投影しながら語りだす。

「そして、このコンビニチェーンを世界中に10万店舗展開するのが目標だ。特に経済的に厳しい地域や、生活インフラが整っていない地域を優先する」


マモルは思わず目を見開いた。

「10万店舗って、ものすごい規模ですね。運営できるんですか?」


リリィは自信満々にうなずいた。

「大丈夫。物流には転移陣を使うから、在庫の補充も効率的に行えるわ」


ガルドも納得するように言った。

「転移陣を使った物流か。確かにそれなら時間もコストも節約できるな」


コモンが補足する。


「現地の店長に任せる部分も多いけど、基本の仕組みはゴーレムが支えるから心配ない」


【地域社会への影響】


リリィは表情を引き締めて言った。

「このコンビニはただの店舗じゃないわ。地域社会への貢献が目的なの。雇用を生むだけじゃなく、地域に安心をもたらす存在になるはずよ」


マーガレットは両手を挙げてにっこり笑う。

「ニャハハ、これならみんなハッピーになるニャ!」


マモルはまっすぐリリィを見て言った。

「本当に世界が変わりそうですね。冒険者ギルド株式会社の名前も広まるし、貧しい人たちにも希望を与えられる」


リリィは静かに頷いた。

「さあ、まずは最初の100店舗を開設して、この計画を成功させましょう!あっ、コンビニが多い日本は1店舗で十分ね。2店舗目は最後の方でいいわね。」


【世界規模の挑戦へ】


その後、コンビニ「ボーソン」開設について、世界規模のコマーシャルが展開された。

VRゴーグルを使った遠隔労働、AIゴーレムによる接客、空間魔法を活用した自動拡張フロア。人々の働き方と暮らし方に、新しい風が吹き始めていた。


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