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第58話 AIゴーレムの開発と進化 2019.5

【ニューヨーク・アーロン・テクノロジーズ ラボ】


巨大なガラス窓から陽が差し込む近未来的な研究施設の中心で、リリィ、ジャック、ガルド、そしてマーガレットが一体の無機質なロボットを囲んでいた。その姿は人型ながら、流れるようなフォルムを持ち、まるで今にも動き出しそうな雰囲気を醸し出していた。


アーロンが誇らしげに腕を組んで彼らに説明する。

「さあ、皆さん。この子が私たちの最新作、VRゴーグル操作型AIロボットのプロトタイプです。名前はまだありませんが、機能はかなり充実しています」


ジャックが機体を見ながらつぶやく。

「見た目は悪くないな。でも、アーロン、これをゴーレム化する必要があるってのは、どういう理由だ?」


アーロンはうなずきながら答えた。

「いい質問だ、ジャック。このAIロボットは非常に精密で、人間に近い動きを実現できるんだけど、複雑な環境や危険な場所での作業になると、安全性が問題になるんだ」


リリィもすぐに理解した様子で返す。

「だから、ゴーレム化すれば魔法的な安全装置を加えることができるってことね?」


「その通りだ、リリィ。ゴーレム化によって、動きがよりスムーズになり、耐久性や自己修復能力も向上する。そして、万が一の暴走や誤作動も防げるようになる」


【ゴーレム化のプロセス】


ガルドが腕を組みながらアーロンに目を向ける。

「でも、アーロン、ゴーレム化は簡単な作業じゃない。AIと魔法を融合させるには、互いの仕組みを完全に理解して調整する必要がある」


アーロンはすぐにモニターの前へ移動し、設計図をホログラムとして映し出す。

「そこは協力してもらえると信じてるよ、ガルド。まず、このAIロボットの動作プログラムを、ゴーレムの制御魔法陣に統合する方法を考えたんだ」


映し出されたのは、精巧なロボットの骨格と、それは制御用ICチップの配置図だった。

「このICチップ部分に魔法陣を刻むことで、ロボットの動きに魔法の力を組み込むことができる。さらに、VRゴーグルを通じて操作する仕組みも強化できる。」


マーガレットが目を輝かせながら言う。


「ニャフフ、すごいニャ!これでAIゴーレムがもっと便利になるニャ」


リリィが首をかしげて尋ねる。

「具体的にはどんな魔法を組み込むの?」


アーロンは指を3本立てて答えた。

「例えば、障害物回避用の反応速度を向上させること、少しの破損なら自己修復すること、そして緊急時に安全停止させることだね」


【試験運用】


テストエリアにプロトタイプが移され、いよいよ実演が始まる。リリィがVRゴーグルを装着し、姿勢を整えた。


「視界はクリアね。さっそく動かしてみるわ。」


その声に呼応するように、AIゴーレムが滑らかに歩き出す。リリィの動きに完全に連動し、指の一本一本まで精密に再現していた。


ジャックが感心したように笑う。

「ほう、これなら俺たちの戦闘にも使えるんじゃないか?」


コモンも頷く。

「確かに戦闘支援には最適かもしれない。ただし、運用コストが気になるが」


アーロンは自信満々に言った。

「安心してくれ、運用コストは考慮して設計している。それに、このゴーレムは戦闘以外の用途でも十分使えるんだ。」


【実用化に向けた改良】


ジャックがゴーレムの腕の動きを見つめながら指摘する。

「アーロン、腕の関節部分が少し硬い気がするな。もう少しスムーズに動けるようにできないか?」


アーロンは設計図を再確認しながらうなずく。

「そこは改良可能だ。関節部分の素材を変えることで、動きの精度を上げられる」


マーガレットがぽんと手を打って提案する。

「ニャフ、あとゴーレムに可愛さが足りないニャ!猫耳をつけたらどうニャ?」


リリィは思わず吹き出しそうになりながらも、優しく返す。

「それは実用性よりも趣味ね。でも、親しみやすさも重要な要素かもしれないわ」


【社会への影響と期待】


作業を進める中、アーロンは真剣な表情で語り出した。

「このAIゴーレムは、危険な作業だけじゃなく、農業、工業分野や介護、教育の現場でも役立つはずだ。そして、VRゴーグルを使えば、身体が不自由な人でもこのゴーレムを操作して仕事ができる」


リリィは静かに頷く。

「それなら、社会全体で活用できるわね。雇用の選択肢も増えるし、環境にも優しい。」


ガルドが低い声で警告するように言う。

「ただし、安全性の確保が最優先だ。暴走のリスクをゼロにするためにも、魔法と技術の調和が必要だな」


【完成と未来への一歩】

ついに改良を終えたAIゴーレムが完成し、ラボ内には新たな活気が満ちていた。


アーロンが笑顔で、だが真剣な声で告げる。

「このAIゴーレムの凄いのは、VRで操作して動いたAIゴーレムが学習していくことだ。世界中の人が使えば、その人たちの経験がAIに反映されて、AIゴーレム賢くなっていく。やがて、少しの指示でなんでもできるようになるよ」


リリィは静かに頷き、まっすぐ彼を見つめて言った。

「これでまた、地球と異世界の技術を融合させる一歩が進んだわね。」


アーロンは笑顔を返しながら、強くうなずいた。

「その通り。これからも一緒に未来を作りましょう。」


【勇者ギルドへの提出】

会議室に戻ると、リリィがジャックに向かって言った。


「ジャック、このAIゴーレムの作り方も勇者マニュアル本にして、勇者ギルドに提出しておきましょう。」


ジャックもすぐに応じる。

「了解した。賛成だ。これもニーズがあると思う。エネルギーを魔石にしているから、人工魔石プラントのマニュアル本も一緒に利用されるかもしれない」


マーガレットは目を細めて笑った。


「マニュアル本が役立てば、勇者ギルドから、貢献ポイントが送られるかもしれないから、楽しみだニャ」


その日のラボには、にぎやかな活気がたえなかった。

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