第52話 インドネシアの火山資源工場プロジェクト その2 2020.4
~突如活発化した火山! そして見えざる妨害の影~
【インドネシア・アナク・クラカタウ火山建設予定地】
アナク・クラカタウの山裾に建設されていた溶岩資源工場の基礎工事は順調に進んでいた。ダンジョンコアを用いた地盤補強は安定し、日本・インドネシア合同の建設チームも着々と作業を進めていた。
コモンが工事現場の監視台から報告する。
「地盤、異常なし。マグマ誘導ルートも稼働中だ。あとは港の整備が終われば、物流もスムーズに流れるようになる」
ジャックは港湾地図をホログラムで確認しながらうなずいた。
「道路と港がつながれば、精錬された金属の輸出も見通しが立つ。あとは予想通りなら・・」
だが、その瞬間。
ゴゴゴゴゴ……
大地がうねるように揺れ、遠くの火山口から黒煙が立ち昇った。
「揺れたニャ!」
マーガレットが空を見上げると、火山の噴煙が風に巻かれて広がっていた。
ジャックがすぐに火山モニターを確認する。
「火山活動が活発化した。だが、想定の範囲内だ」
コモンがすぐにダンジョンコア端末で火山の内部構造を解析させた。
「ダンジョン内のマグマ流路が地震によって変化した。圧力が一時的に上昇しているが、まだ対応可能な範囲だ」
リリィはきっぱりと答えた。
「了解。第2段階の“マグマ逃がしルート”に切り替えましょう」
リリィたちが火山のマグマを転移魔法で海底に逃がし始めた。その時、魔導通信で連絡が入った。
【クロシャの警告】
「こちらクロシャ。妨害の兆候を確認した。周辺国の一部勢力と、既存のレアメタル利権を持つ多国籍企業が裏で連携している。インドネシア国内の不満分子を扇動し、混乱を引き起こそうとしている」
リリィの表情が引き締まった。
「やっぱり動いてきたわね。ジャック、プランRを実行して」
ジャックは無言で頷き、端末を操作した。
【対妨害プラン“R”:掃討作戦始動】
計画されていた火山制御ルートの傍に、リリィたちは小規模な観測拠点を複数配置していた。だがそれらは、妨害勢力の潜入を捕捉するための“擬装拠点”でもあった。
コモンが報告する。
「偽装拠点に侵入した不審な集団5組、確認済み。クロシャの情報通りだ。すでに追尾ドローンを展開中」
リリィ「各拠点の転移トラップ、作動させて。捕縛優先、必要なら無力化」
ガルド「了解。必要なら、転移で隔離エリアに飛ばすぞ」
そして、ほんの数時間後。すべての不審拠点で、潜入者が確保または撃退された。
【周辺国拠点への逆襲】
クロシャの潜入情報は、それだけではなかった。
「彼らの資金と武器の供給拠点は、周辺国の沿岸にある港湾施設だ。そこを叩けば、物資のルートが絶たれる」
リリィ「決まりね。すぐに無力化しよう」
翌晩、クロシャとガルドが密かに港湾施設へ潜入。
閃光弾と転移封印を用いて、補給艦と兵器倉庫を次々に制圧、破壊した。
クロシャが冷ややかに一言。
「背後を狙う者には、足元の影から鉄槌を」
こうして、妨害工作は全て未然に抑え込まれた。
【インドネシア国内の安定】
混乱を起こそうとしていた一部の国内扇動者も、クロシャの手配した証拠と映像記録により、インドネシア政府が即時対応。
国内の治安部隊が速やかに摘発を行い、安定は確保された。
スジャナ内閣官房がほっと息を吐いた。
「あなたたちがここまで準備していたとは。火山だけではなく、政治の混乱まで見越していたのですね」
リリィは静かに頷く。
「未来を創るなら、足元の石ころも見逃さないようにしておかないと」
【再び工事へ】
妨害を潰した翌日、火山資源工場の建設が再開された。
◇ マグマ制御ルート:安定稼働中
◇ 工場建設:レンガ製造棟と港湾整備が同時進行へ
ジャック「これで、やっと本格的な建設フェーズに入れるな」
リリィ「次は、実際にこの火山から“恵み”を取り出す段階ね」
スジャナ内閣官房は、国の代表として深く礼をした。
「インドネシアは、あなたたちとともに未来を歩む覚悟ができました」
リリィ「ありがとう。私たちも、その覚悟に応えるわ」
空の彼方、アナク・クラカタウの火山が静かに蒸気を吐いていた。




