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第48話 アフリカ サイクロン対策 その4 2019.2

【トアマシナ港 実験準備開始】


朝の港に、静かな緊張が漂っていた。リリィたち『虹色の風』は、政府の全面協力のもと、ついに泡によるサイクロン対策の実験を開始する。


リリィ「さあ、いよいよ本番ね。実験が成功すれば、サイクロン対策の第一歩になるわ。」


ジャック「政府関係者や地元住民も見守っている。失敗は許されないな。」


岸辺には、環境大臣をはじめとする政府高官、地元の漁師、科学者、報道関係者までが集まっていた。桟橋には大型モニターが設置され、遠く沖合で行われる作業がリアルタイムで中継されることになっていた。


港湾管理局長がリリィたちに声をかける。


「リリィさん、準備は整っています。実験は港から20キロ沖の深海で行う予定です。どのように進めましょう?」


リリィ「まず高速艇で現場へ出て、イルカ型ゴーレムを投入します。ゴーレムが泡発生用コンテナを深海2000メートルまで沈めて、泡を放出します。」


アーロン「イルカゴーレムもスタンバイ済みだ。動作チェックは完了。準備万端だ。」


マダガスカル環境大臣が眉をひそめながら質問する。


「これで本当に海の温度を下げることができるのですか?」


コモンが落ち着いた声で答える。


「理論上は確実です。ロサンゼルス沖での実験では、明らかな成果がありました。」


だが、懐疑的な声もあった。


漁師「でもよ、本当にそんなことで海水温が下がるのか? 話がうまく出来すぎてる気がするぜ。」


リリィは微笑みを浮かべて応じる。


「だからこそ、実験をお見せします。百聞は一見に如かず、です!」


【高速艇、沖合へ】


午前十一時。波しぶきを上げて、高速艇が港を離れた。乗り込んだのはリリィ、ジャック、ガルド、コモン、アーロン、政府の科学者と港湾関係者たち。


ジャック「沖まで約三十分だ。ゴーレムの最終チェックを頼む。」


アーロン「了解。イルカ型ゴーレム6体、全て異常なし。魔法通信も正常に作動している。」


船上には小型モニターが並び、海中のゴーレムの映像が映し出されていた。


やがて目的海域に到達。


リリィ「目標海域に到着。イルカゴーレム、発進!」


アーロンが操作パネルに触れると、船の側面が開き、6体の銀色のイルカ型ゴーレムが勢いよく海中へ飛び込んだ。


ガルド「速いな、さすがはイルカ型だ。」


ゴーレムたちは、指定された地点に到達すると、水中で魔法陣を展開。そこに転移魔法で呼び出された泡発生用コンテナゴーレムが、ゆっくりと海底へ向けて沈んでいった。


【深海2000メートルでの作業】


コモン「水深2000メートル、到達確認。」


ジャック「よし、空気を転移させて泡を送れ。」


コモン「空気転移、開始。泡の放出、始めます!」


コンテナの中で圧縮されていた空気が、制御魔法陣の作動によって次々に放出され、白く小さな泡が深海から上昇していく。海底から立ち上る泡の柱は、まるで白い塔のようだった。


やがて――


ガルド「見ろ、あそこだ!」


海面の一角が、泡の湧き上がりによって揺らめいていた。やがてその周囲には、白い泡が無数に広がり始める。


アーロン「測定開始。水温計、投入!」


コモン「開始前の海水温は27度、泡の直上では10度まで下がっています!100メートル離れた地点でも20度まで低下!」


ジャック「やったな……!深海の冷水が、確かに海面にまで届いている!」


リリィ「成功ね。これなら、海水温の調整によるサイクロン抑制が現実のものになる!」


【実験結果と住民の反応】


港に戻ると、待ち受けていた人々の間からざわめきが起きた。


漁師「30分で、海の温度が本当に下がるなんて……!」


リリィは微笑み、力強く頷いた。


「ええ。この技術を継続して使えば、サイクロンの発生自体を抑えることができると考えています。」


環境大臣「これは、まさに画期的な成果です!」


港湾管理局長が少し渋い顔で問う。


「だが、これを全国的に展開するとなれば、コストも膨大では?」


ジャック「コストは我々が負担します。今必要なのは、政府と地域の理解と協力です。」


その時、政府からの通信でラジャオナリマンピアニナ大統領の声が届いた。


大統領「実験の成功、お見事です。マダガスカル政府として、この技術を正式に導入する方向で動きましょう。次は本格的な運用試験に進みましょう。」


リリィ「ありがとうございます、大統領。次は、サイクロン・イの発生が予測される時期に合わせて、実際の海域での本格作戦です。」


集まった住民たちの顔に、希望の光が灯る。


漁師「もし本当にサイクロンを抑えられるなら……オレたちの生活は、きっと変わるな。」


リリィはまっすぐに答えた。


「もちろん、そうなるわ。私たちはそのために、ここに来たのだから。」


こうして、泡によるサイクロン対策の本格導入へと、リリィたちは大きく一歩を踏み出したのだった。


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