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第41話 定例会議 2019.1 

真冬の朝、ニューヨーク拠点のリビングルームには湯気を立てるマグカップと書類が散らばり、リリィたちが次々に集まっていた。リリィは中央のソファに腰かけ、仲間たちを見渡す。


「定例会議を開くわよ。進捗管理ね。じゃあ、ジャック、司会をお願い」


「了解」ジャックはメモ端末を手に立ち上がる。「まず、目的を再確認しよう」


「科学と魔法を融合させた力は、この星が破局するのを止められる可能性がある。だからこそ、人災で滅びるのを防がなければならない。科学を導き、平和をつくる。それが我々の目的だ」


ジャックの声は端的かつ力強く響いた。


「順序としては、まず資金を集める。次にその資金で、世界の平和を守る組織を作る。戦争や紛争を終わらせ、人を増やし、教育し、科学者を育て、研究施設を増やす。そして、星の破局を防ぐ技術を開発していく。今は、ちょうど資金と組織作りの段階だ。クエストの期限はあと4年と3カ月。全力で進めよう」


ジャックがうながすと、コモンが前へ出て資料を開いた。


「それでは進捗報告を始める。意見があればその都度、挙げてくれ」


「まず、資金稼ぎの柱だが、菱紅商社への金塊販売を継続している。月に5億円のペースで進んでいる。次に、原子力発電所の廃炉事業だ。錬成魔法でプルトニウムをミスリルに変換できる。つまり、廃炉処理は巨大な鉱山というわけだ。福島の作業は順調。新たにアメリカのスリーマイル島と、ウクライナのチェルノブイリから依頼が入った。EU諸国からも関心が高い」


「細胞活性装置のネットオークション販売も続けている。3個目を出品予定で、1個あたり数千億ドル規模の取引になる見込みだ」


コモンは一度水を飲み、続けた。


「その収益で、国連を通じて国際警察官を維持・増員することを決めた。世界平和を保つには、人命を守る組織が必要だ」


「国際警察官は今、研修中の者も含めて世界各地に配備している。いずれ、本格的な展開を目指すわ」リリィが穏やかな声で補足する。


ジャックが目を上げる。「細胞活性装置は年間3個まで出品することにしよう。ただし、購入者の魂が黒い場合は拒否する手段を考えるべきだ」


「魔素の供給については問題ない」コモンが胸を張る。「惑星崩壊跡地に魔素だまりが残っていて、そこに魔石プラントを建設した。これで人工魔石の量産が可能になった。ギルスの技術に感謝する」


リリィが頷きながら話す。「災害対策も始めているわ。インドネシアのスンダ海峡での津波とアナク・クラカタウ火山の噴火は、ダンジョンコアを使って防いだわね。今後もこの技術は必要になる。もっとダンジョンコアを集めましょう」


「コンビニボーソンの試験店舗は東京で順調だ。現場はシノブが監督している。今後は世界展開を視野に入れている」コモンが付け加える。


そして、会議が終盤に差し掛かる。


「じゃあ、意見があればどうぞ」ジャックが全員に視線を向けた。


「魔石の応用は防衛だけじゃない。迎撃装置の強化にも使える。備蓄分をもっと確保しよう」ガルドが力強く言った。


「未来からのメッセージに備えて、いろいろな災害対策も必要ニャ」マーガレットが真剣な眼差しで続ける。


「敵の妨害を避けるため、影ゴーレムを増やしている。核融合発電開発がニュースになれば、エネルギー関連の既得勢力の動きに警戒が必要だ」クロシャが冷静に告げる。


「コンビニボーソンの新店舗を世界展開するため、菱紅商社が動き始めたわ。世界中の主要都市がターゲットね。新店舗の店長は現地の人を採用する予定よ」と東京からシノブの通信が入った。


◆次なる段階、核融合の設計へ


会議の終盤、ジャックが手元の表示板をタップしながら立ち上がった。空中に立体投影されたスクリーンに、色分けされた3つの素材データが浮かび上がる。


「ルビーフィッシュのルビーはレーザー光源に、火炎ドラゴンの鱗は容器素材に、月面三重水素は燃料に。これで、核融合炉を構成する主要な三要素がすべて揃った」


彼は青い指標で構造図をなぞる。

「レーザー収束によって三重水素を高温状態にし、火炎ドラゴンの鱗で構成した耐熱容器がそれを保持する。そして、生成された膨大なエネルギーを、四菱重工のプラズマ変換ユニットで電気に変える」


マモルが画面を見つめながら小声で言った。

「いよいよ、現実になるんですね。夢だった核融合・・」


ジャックが目を上げる。

「これで定例会議を終わる。次回は3カ月後。開催する」


こうして、2019年最初の会議は静かに幕を閉じた。

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